犬は大根を食べていい?生や葉・皮は大丈夫?適量や与え方の注意点
夏も冬も、ほぼ一年中楽しめる野菜といえば、大根。
大根おろしやふろふき大根など、生でも煮ても美味しいですよね。
消化にも良い大根。
「愛犬にも食べさせてあげたい」と思っている飼い主さんも多いことでしょう。
でも、犬は生の大根を食べていいのかということや、大根の葉や皮は大丈夫なのか、またどのぐらいの量までならあげてもいいのかなど、気になることがたくさんあります。
そこで今回は、犬に大根を与える場合の注意点についてお伝えしたいと思います。
身体に良い大根ですが、与え方次第では害になることもあるので、しっかり確認してくださいね。
犬は大根を食べていい?生や葉・皮は大丈夫?
大根には、犬にとって有毒な成分は含まれていません。
よって、犬は大根を食べられます。
大根は加熱しても、生で食べさせても構いません。
大根の皮にも葉にも、有毒な成分は含まれていませんので、食べさせて大丈夫です。
ただし、食べさせ方や食べさせる量には、気を付けないといけません。
病気を抱えている犬やアレルギーについても注意が必要です。
また、大根の辛みを嫌う犬も。
嫌がるようなら、無理に与えないようにしましょう。
大根を犬に与える時の適量や与え方
それでは、大根を犬に与える時の適量や与え方についてみていきましょう。
与える量の目安は、体重5kgで30g程度
大根は、かなりカロリーが低い食材ですが、与え過ぎると消化不良を起こしたり、お腹がいっぱいになって主食のドッグフードを食べなくなったり、という弊害も起こります。
よって、与える量の目安としては、体重5kgの犬なら、だいたい30g程度にとどめておきましょう。
体重10kgの犬なら60g、体重20kgの犬なら100g程度までです。
毎日継続して与えるのではなく、週に2~3回程度としましょう。
生なら「細かく刻む」か「すりおろす」こと
大根には、多くの食物繊維が含まれています。
犬はもともと肉食であり、進化の過程で雑食化したものの、いまだに食物繊維の消化を苦手とする子は多いようです。
消化不良を起こさないよう、大根を生で与える場合は、細かく刻むかすりおろすことによって消化が良くなります。
煮込む場合も大きくカットせず、なるべく小さくカットしてあげると食べやすいでしょう。
皮も一緒に与える場合は、繊維質が多いため、より細かく刻むようにしましょう。
大根の葉を与える場合は、必ず火を通して細かくカット
大根の葉を犬に与えることもできますが、大根の葉は白い根の部分よりも繊維質が多く、硬いため、必ず加熱して柔らかくしてから与えましょう。
加熱後は必ず細かくカットするか、フードプロセッサー等で細かくみじん切りにしてしまうと、より消化にいいのでおすすめです。
犬が大根を食べるメリットや健康効果
犬が大根を食べるメリットや健康効果について考えてみましょう。
炭水化物の消化を助けるジアスターゼが豊富!
大根には、炭水化物の消化を助けるジアスターゼという消化酵素が豊富に含まれています。
犬は炭水化物の消化もあまり得意としないので、炭水化物と大根とを合わせて与えることによって、より効率よく炭水化物をエネルギーに変えることができます。
ジアスターゼは、加熱すると消えてしまうという性質があるため、ジアスターゼの効果を享受したいなら、生の大根がおすすめです。
例えば、炭水化物の多いサツマイモをおやつに与えて、胸やけを起こしてしまった場合、大根おろしを少量与えることで落ち着くことも。
辛味成分イソチオシアネートで血液サラサラに
大根おろしを食べるとツーンとするあの辛味は、イソチオシアネートによるものです。
イソチオシアネートは、大根をおろしたりカットしたりすることによって発生します。
イソチオシアネートには血液をサラサラにする効果や、殺菌効果、解毒効果、抗炎症作用、抗ガン作用など、多くの健康効果があるとされています。
ただし、大根をすりおろして時間が経つと、イソチオシアネートは自然と消失してしまうそう。
なるべく食べる直前に大根をすりおろしてあげると、高い効果を得られます。
大根の葉にはβカロテンやビタミンEも豊富
大根の白い部分も、かなりの栄養効果がありますが、大根の葉には白い部分にはない栄養効果が期待できます。
例えば、βカロテンやビタミンE、ビタミンCなどのビタミン類の含有量は、圧倒的に大根の葉のほうが多いことが分かっています。
これらのビタミンには、全て抗酸化作用があるので、犬の皮膚や被毛を美しく保ったり、免疫力を向上しガンや病気になるのを防いだり、血行を良くしたりする効果が期待できます。
葉には、食物繊維も豊富なので食べさせ過ぎは良くありませんが、少量を与えることで犬の健康をサポートしてくれるでしょう。
犬は大根を食べていいけど注意点が!
犬にとって色々な健康効果がある大根ですが、犬に食べさせる場合には、いくつか注意点があります。
確認しておきましょう。
食べ過ぎると消化不良で下痢や嘔吐
犬は、食物繊維の消化を得意としません。
上記でご紹介した適量(体重5kgの犬なら、30g程度)を守らず、大量に大根を食べさせると、消化不良を起こして下痢や嘔吐(おうと)といった症状に苦しむことになるかもしれません。
ただし、犬によってその許容量は、大きく違います。
適量でも消化不良を起こす子もいるので、胃腸が弱い子や病気がちな犬には、与えないようにしましょう。
アレルギーの可能性
大根で、アレルギーを起こす犬は少ないと言われていますが、どんな食材でもアレルゲンになる可能性があります。
生まれて初めて大根を犬に食べさせる場合は、まずは少量から様子をみましょう。
また、大根を食べさせた後、皮膚や目、耳などをかゆがったり、赤みが出たり、下痢や嘔吐といった症状が出た場合は、アレルギーかもしれません。
もし、アレルギー症状が出た場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
甲状腺疾患のある犬は注意
大根のようなアブラナ科の野菜に含まれるグルコシノレートは、犬の体内に入ることによって、ゴイトロゲンという成分に変化します。
ゴイトロゲンは、甲状腺ホルモンの分泌に関わるヨウ素の働きを阻害すると言われています。
とは言え、犬が大根を食べたことによって、甲状腺疾患になったという例はありません。
ただ、念のため、すでに甲状腺疾患がある犬には、大根を食べさせないほうがいいでしょう。
ちなみに、グルコシノレートには、ガンを抑制する効果があるという研究もあるそう。
参照:理化学研究所
結石のリスク?
結石のリスクがある犬には、大根の葉を食べさせないほうが無難かもしれません。
大根の葉には、少量ではありますがシュウ酸が含まれています。
ある条件下になると、シュウ酸は体内のカルシウムと結合して、尿結石となります。
ただし、大根の葉に含まれるシュウ酸の量はほうれん草の約17分の1なので、それほど心配する量ではありません。
シュウ酸は水に溶けやすい性質があるため、大根の葉を茹でることによっても減らすことができます。
もともと健康体の犬なら、それほど気にする必要はないでしょう。
あの大根の加工品を犬に与えて大丈夫?
最後に、大根の市販加工品を犬にも与えていいのか、確認しておきましょう。
おでんの大根
コンビニなどで販売されているおでんの大根。
飼い主さんが美味しそうに食べていると「ぼくにもちょうだい!」と催促されることもあるかと思いますが、犬には与えないようにしましょう。
おでんの大根には、しょうゆなど多くの調味料がしみ込んでいて、犬にとっては塩分過多となります。
また、おでんはその他の具材と一緒にコトコトと煮込まれているため、犬にとって有害な成分が含まれていないとも限りません。
大根おろし
ご家庭ですりおろした大根おろしを、犬に与えるのはおすすめです。
ただし、市販加工品のチューブやパウチに入っているものは、既に魅力の栄養素であるグルコシノレートは失われている可能性が高いでしょう。
また、調味料や保存料などの添加物も、多く含まれている可能性があります。
よって、これらを犬に与えるのはやめておきましょう。
大根のつま
刺身パックの中に入っている大根のつま。
これは、単純に大根を千切りにしたものなので、犬に与えても大丈夫です。
ただし、刺身の成分が大根のつまに付着している場合は、与えるのを控えた方がいいでしょう。
もしかしたら、細菌などが大根のつまに付着している可能性もあります。
また、刺身の香りに刺激されて、刺身自体を欲しがるようになってしまう可能性もあります。
刺身を犬に食べさせているという方もいらっしゃるかもしれませんが、寄生虫やビタミンB1欠乏症、ヒスタミン食中毒、アレルギーなど、刺身を犬に食べさせることによるリスクも考えないといけません。
切り干し大根
大根を天日干しして作った切り干し大根は、大根より栄養価が高く、健康食材として注目されていますね。
犬にも、切り干し大根を与えて大丈夫です。
ただし、乾燥したままの状態で与えるのは、やめてください。
乾燥している切り干し大根は、食物繊維がギュッと凝縮された状態になっています。
そのまま与えると消化不良を起こし、嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。
人間が食べられる状態になるまでしっかり水で戻し、細かく刻んでから犬に与えましょう。
大根の漬物
たくあんや浅漬けなど、大根を活用した漬物は実に種類が多く、美味しいですよね。
でも、犬に大根の漬物を食べさせるのはNGです。
漬物は日持ちさせるために、多くの塩分を使っています。
塩分は、もちろん犬にとっても必要なものですが、摂取しすぎると内臓に負担をかけてしまいます。
ドッグフードを主食としている犬の場合、すでにフードに適量の塩分が入っているので、おやつやトッピング等で余分に塩分を摂取するのは避けるべきでしょう。
また、漬物の場合、単純に大根だけでできておらず、ネギや香辛料が使われている場合もあります。
特にネギは、犬にとって中毒物質であり、摂取してはいけない食材の一つなので気を付けましょう。
カイワレ大根
大根のスプラウトであるカイワレ大根。
大根の種から発芽したもので、大根にはない栄養素が多分に含まれています。
カイワレ大根にも、犬にとって中毒となる物質は含まれていませんので与えても大丈夫です。
長いままだと消化しにくいかもしれないので、細かくカットして与えるといいでしょう。
生のまま食べさせて大丈夫です。
ただ、カイワレ大根も大根同様に辛味成分があります。
犬が好まない場合は、無理強いしないようにしましょう。
大根を使った犬ごはんレシピ
犬の大根のメリットを知って、愛犬に大根を食べさせたいと思った方へ。
大根を使った犬ごはんレシピを紹介します。
大根の腸トリートメントムース
犬ごはん先生のいちかわあやこ先生の大根を使った簡単レシピ。
食材(1日分・3kgの犬)
- 大根・・・2cm
- 豆腐・・・150g
- 乾燥わかめ・・・ひとつまみ
- 炊いた玄米・・・大さじ3
- 白すりごま・・・少々
- 酢(お好みで)・・・小さじ1
- 味噌(お好みで)・・・小さじ1
作り方
1.豆腐はキッチンペーパーに包んで水切りをする。(省略可) 木綿豆腐を使うと、よりムース感が出ます。 絹でもOK。
2.わかめを水かぬるま湯で軽く戻す。
3.全ての材料をミキサーにかけて出来上がり!
4.※酢を入れることで固まるので、より一層ムースっぽくなります。
5.※調味料を使う場合は、こだわりの発酵調味料を使用してください。
大好きなトン汁
犬の手作りご飯レッスンを開催している、ドギーズスープカフェさんの大根が入ったトン汁レシピです。
食材(1食分・10kgの犬)
- 豚肉・・・100g
- にんじん・・・適量
- 大根・・・適量
- ごぼう・・・適量
- きくらげ・・・2枚
- ブロッコリーの茎・・・適量
- 味噌・・・小さじ1
- 昆布・・・少々
- しいたけ・・・1/2枚
作り方
1.鍋の中に水を入れ、刻んだ昆布、シイタケ、キクラゲを入れて沸騰させる。
2.その他の食材は食べやすい大きさに切り、1に入れ、柔らかくなるまで煮ます。
3.最後に火を止めて、味噌を入れれば完成です。
まとめ:様々な健康効果のある大根をトッピングに
今回は、犬が大根を食べる場合の注意点についてお伝えしました。
大根は、生のままでも与えることができ、年中手に入るので手軽な食材ですね。
炭水化物の消化を助け、殺菌効果や血液をサラサラにする効果など、様々な健康効果が期待できる大根。
ドッグフードだけの食生活に彩を持たせるべく、大根をトッピング材料として使ってみてはどうでしょうか?
大根も犬におすすめの野菜!