犬のカーミングシグナルとは?犬の気持ちが分かるしぐさを確認
犬のボディランゲージのうちの一つに「カーミングシグナル」があります。
カーミングシグナルという言葉自体を聞いたことがあるという方は多いかもしれませんが、カーミングシグナルとは一体何を意味するのか、ご存知でしょうか?
今回は、犬のカーミングシグナルについて詳しく解説します。
カーミングシグナルを理解できるようになれば、犬の気持ちをより深く知ることができると言われています。
愛犬とのコミュニケーションをよりスムーズにしたいとお考えの飼い主さん必見の内容となっていますので、お楽しみに!
犬のカーミングシグナルとは?
犬のカーミングシグナルのCalmingには「落ち着かせる」という意味があります。
カーミングシグナルとは、犬が自分自身や相手を落ち着かせるために行うボディランゲージの一種で、犬に生まれつき備わっている能力とされています。
2006年にノルウェーの動物学者トゥーリッド・ルーガスが初めてカーミングシグナルを提唱し、その種類は27個あります。
カーミングシグナルを理解できると、犬の気持ちを知ることができ、よりコミュニケーションが楽しくなりますよ。
犬がカーミングシグナルを出す時の気持ちや場面
それではまず、犬がカーミングシグナルを出す時の気持ちや場面をみていきましょう。
敵意がないことを示している
犬には、不必要な争いごとを避ける能力が備わっています。
相手に対して「敵意はありません」「私はあなたの敵ではありません」ということを示すために、様々な行動をとります。
例えば、散歩中に知らない犬が近づいてきた時、相手に対して敵意がないことを示すためにお座りしたり、相手の犬とすれ違う時にカーブを描くように歩いたりするのは、相手に対して「ケンカの意思はありません」ということを伝えています。
他にも、真正面から犬を見つめると目をそらしたり、あくびをしたりするのも、敵意がないことを示していることがあります。
不安を感じている
犬は、不安を感じた時もカーミングシグナルを発します。
例えば、病院など苦手な場所で不安になった時に体をブルブルと振るわせたり、やたらと床のにおいを嗅いだりするのは、どうにか気持ちを静めようとしているサインです。
他にも、犬は大きな音や自分のテリトリーを犯すものの存在が苦手。
例えば、雷が鳴り始めるとブルブルと振るえだしたり、耳を倒したりするのも「怖いよ」と不安を感じている合図です。
相手を落ち着かせようとしている
犬は、興奮している相手に対して、落ち着いてほしい時にもカーミングシグナルを出します。
例えば、飼い主さんに怒られた時などは、飼い主さんに落ち着いてほしくてあくびをしたり、飼い主さんから体を背けたりします。
この行動は人間に対してだけでなく、もちろん犬に対してもみられます。
吠え掛かってくる犬に対して、歯をカチカチと鳴らしたりするのはまさに「落ち着いて」というサイン。
犬は、他にも様々な行動で相手を落ち着かせようとします。
よくある犬のカーミングシグナルの例
それではここからは、よくある犬のカーミングシグナルの例を具体的にみていきましょう。
あくびをする
人間の場合、あくびをするのは退屈だったり、眠たかったりする時ですが、犬のあくびはそれ以外に全く違う意味を持つことがあります。
例えば、飼い主さんに怒られて不安になった時、自分自身の緊張をほぐそうとしてあくびをすることも。
また、飼い主さんに対しても「落ち着いてよ」という気持ちを込めているようです。
また、知らない人になでられてあくびが出た時は「緊張するよ~」という意味であることが多いよう。
同じ初めてでも犬の場合は、違う意味を持つことも。
例えば、散歩中に知らないワンちゃんに出会った時に出るあくびは、相手に「敵意はありません」と知らせるサインです。
ブルブル体を振る
犬は体が濡れている時にブルブルと体を振りますが、体が濡れていないのにブルブルする時は、不安や緊張をどうにかやわらげようとしています。
犬が不安や緊張に襲われる場面といえば、飼い主さんに叱られた時や病院へ行く時などがあげられます。
また、家に来訪者があった時や知らない人に不意に触られた時なども、不安や緊張からブルブルと体を振るわせる様子が確認できることも。
初めての場所が苦手な場合は、車に乗せられるたびに体をブルブルさせる子もいます。
体をブルブルさせるということは、犬にとってストレスを感じているという証拠なので、気遣ってあげましょう。
座る・伏せる
犬が命令していないのに、お座りしたり伏せたりする場合も、相手に対してカーミングシグナルを発しています。
例えば、散歩中に正面から知らない犬が向かってきた時に、突然お座りをした場合は、相手の犬に対して「敵意はありません」と示しています。
それでも、相手の犬がやや興奮して近づいてきた場合は、さらに伏せをして相手に「落ち着いてね」という合図を出しています。
ちなみに、尻尾を振りながらお座りしたり伏せをしたりする時は、そこに「嬉しい」という気持ちが加わっています。
「敵じゃないよ、会えて嬉しいよ」という気持ちで相手を待っているということですね。
また遊んでいる最中に突然、尻尾をブンブン振りながら突然伏せをする時は、嬉しすぎてはしゃぎすぎそうになる気持ちを自ら落ち着かせたいという気持ちになっていて、相手にも「落ち着いてね」という合図を送っています。
自分の鼻をなめる
犬の嗅覚(きゅうかく)は、人間の何倍も優れています。
犬は鼻を使って色々なにおいを嗅ぎ分け、生活に活用しています。
つまり、鼻は犬にとってかなり大事な部位と言えます。
その大事な鼻をなめるという行為も、実はカーミングシグナルの一部だとされます。
まず、鼻を使うことが多い犬は、朝起きたばかりの時にペロッと鼻をなめる仕草をします。
「いざ、活動開始!」という意味が含まれていて、鼻を湿らせることによって、嗅覚を敏感にしています。
また、飼い主に怒られたり、苦手な場所や人と会ったりしている時に鼻をペロッとなめる仕草を見せることもあります。
これは、自分にとって大事な鼻をなめることによって、気持ちを落ち着かせようとするカーミングシグナルです。
まばたき
犬は人間に比べて、まばたきをする回数が少ないのが特徴です。
犬は常に瞬膜(しゅんまく)という部位から涙を供給されるため、それほどまばたきをしなくても眼球が乾燥することなく過ごせます。
普段あまりまばたきをしない犬がまばたきをする時は、何らかの合図を含んでいる場合があります。
例えば、真正面から知らない犬が近づいてきたとします。
そういう時に、犬のまばたきが見られた場合は「敵意はありませんよ。仲良くしましょう」という合図を相手に送っています。
人間にとっては当たり前のまばたきですが、犬はあまりまばたきをしないということを考慮すると、犬同士でまばたきするということはかなり目立つ行動ですよね。
人間にとっては何気ない行為なので、愛犬がまばたきするのを見逃しがちですが、犬がまばたきしてきたら「友好」の意味をこめているということ。
ぜひ気持ちをくみとってあげてくださいね。
くしゃみ
くしゃみは、人間にとっては生理現象です。
もちろん、犬にとっても生理現象である場合も多く、ホコリなどを吸い込んだ時や嫌なにおいを嗅いだ時、タバコなどの煙を吸ってしまった時、さらに風邪をひいている時など、生理現象としてのくしゃみはあります。
しかし、それ以外にカーミングシグナルとしてのくしゃみがあるということはあまり知られていませんし、知っていたとしてもなかなか気づきにくいカーミングシグナルのうちの一つです。
カーミングシグナルとしてのくしゃみは、犬が緊張した時や、逆に興奮しすぎてその興奮をおさえたい時に起こります。
緊張によるくしゃみは、緊張しすぎることによって、自律神経が乱れることにより誘発されます。
つまり、くしゃみに限っては意識的というよりはやや無意識的に行われているよう。
前足の片足を上げる
愛犬が前足の片足だけを上げるポーズで静止しているのを見たことがある、という飼い主さんも多いのではないでしょうか?
この前足の片足だけを上げる仕草も、実はカーミングシグナルの一つです。
狩猟犬にも、この仕草はよく見られます。
獲物を見つけた時に、飼い主に「獲物いましたよ!」と知らせるために、前足の片足だけを上げるポーズをとるそう。
つまり、愛犬がこのポーズをとったときには、「何かいますよ!」と愛犬にとって何か興味があるものを見つけたよというサインです。
犬の気持ちとしては、面白いものを発見してソワソワと落ち着かず、でもどうにか気持ちを落ち着けようとフリーズしている状態と言えます。
ちなみに子犬がこのポーズをとったときは、母親の母乳を飲みたいという催促の意味だったり、遊んでほしいという意思表示であったりします。
視線をそらす
犬は真正面から相手を見据えることによって、戦闘態勢に入ります。
つまり、視線をそらすということは、その逆で「敵意はありません」「戦うのをやめましょうよ」という合図を相手に送っているということです。
初めて会う犬同士が、視線をそらしてお互いに近づいていった時は、ケンカになる率は低いので安心して見守っていて大丈夫です。
逆に、視線を外さず、真正面から向かっていった時は、もしもに備えてリードを緩めず、ケンカにならないよう引き離す準備をしていてください。
体を背ける
体を背けるという行動は、上記の「視線をそらす」という行動とほぼセットで行われることが多いカーミングシグナルです。
どちらもほぼ同じ「敵意はありません」「ケンカしないでおきましょうよ」という合図を相手の犬に送っています。
この場合も、ケンカになる可能性は低いので、放っておいて大丈夫です。
また、この行動は人間に対しても見られることがあります。
初めて会う犬に視線をそらされ、そっぽを向かれてしまう場合、それは嫌われたのではなく、「あなたに敵意はありません」「お互い、落ち着いてこの場にいましょうよ」という犬からの合図です。
この合図が出ると、嫌われてはいませんが、積極的に犬のほうから関わりたいとも思われていないため、そっとしておくといいでしょう。
カーブを描くように歩く
散歩中に知らない犬と出会った時、お互いに視線をそらしながら近づき、カーブを描くように歩く姿を目撃したことがあるという飼い主さんも多いと思います。
カーブを描くように歩くという行動も、カーミングシグナルの一つ。
相手の犬に興味があるものの、ちょっと警戒しているという精神状態で、相手に対しては「敵ではありませんよ」という合図を送っています。
相手の反応を見ながら行動しており、動きは実にゆっくりとしています。
この後の相手の出方次第によっては、時にケンカになってしまうこともあるので、飼い主さんもよく愛犬の行動を見守ってください。
地面のニオイをかぐ
嗅覚が発達している犬は、とにかく何でもよくニオイをかぎます。
犬を飼っているとニオイをかぐという行動は、日常茶飯事的によく見られる行動なので、カーミングシグナルであることに気づきにくい行動の一つと言えます。
例えば、初めての場所に連れて行った時に床のニオイをかぎ回るような行動が見られたら、それはどうにかドキドキする気持ちをおさえようしている状態と言えます。
ニオイをかぐことで、自分自身を落ち着かせようとしているのです。
不安や興奮を覚えた時、ニオイをかぐという行動がよく見られます。
犬のカーミングシグナルを理解すれば、犬の気持ちが分かるようになる!
今回は、犬のカーミングシグナルについて、代表的なものを取り上げてみました。
カーミングシグナルを理解できるようになると、犬の気持ちが手に取るように分かるようになると言われています。
カーミングシグナルを学んで、愛犬とのコミュニケーションをもっともっと楽しみましょう!