犬はザクロの実を食べても大丈夫?中毒症状の危険性あり!
ザクロは、日本ではあまり食べる習慣ない果物でしたが、海外では比較的メジャーで、近年は美容に効果があるということで日本でも人気に!
美容にいいと言われるザクロをぜひ愛犬にも、と考えている飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんね。
でも、気になるのは「犬がザクロの実を食べても大丈夫なのか?」ということ。
実はザクロには、犬が中毒症状を起こす成分がいくつか含まれています!
つまり、犬にザクロを食べさせるのは危険ということ。
今回は、ネット上でもいまいち情報が少ないザクロについて、徹底深堀します。
犬がザクロの実を食べると危険な理由
ザクロには、ペレチエリンやタンニン、エストロンといった成分が含まれています。
これらを摂取すると、下痢や嘔吐(おうと)などの中毒症状を起こす可能性があるため、犬はザクロの実を食べてはいけません。
犬がザクロを食べると中毒症状を起こす物質
それでは犬がザクロを食べると中毒症状を起こす、ペレチエリンやタンニン、エストロンについて詳しくみていきましょう。
ペレチエリン
ペレチエリンは、ザクロの種子や果皮(かひ)に含まれています。
ペレチエリンはアルカロイドの一種であり、サナダムシの駆除に使われることもある成分。
多量に服用すると、激しい下痢や嘔吐、神経異常、全身麻痺などの症状に苦しむことに…。
もちろん、これは犬だけでなく人間にも言えることなので注意しましょう。
タンニン
タンニンは、ザクロの果皮に多く含まれています。
タンニンは少量摂取する程度なら、抗酸化作用が期待できる成分です。
しかし、多量に摂取すると、胃の中が荒れ、便が出にくくなるなどの症状が出ることも。
胃腸が弱い子や、便秘気味の子には、ザクロを与えないほうがいいでしょう。
エストロン
エストロンとは、女性ホルモン「エストロゲン」に似た成分のこと。
一時期、ザクロには女性ホルモンのエストロゲンが含まれるということで、ザクロは女性の間で一大ブームとなりました。
でも実は、ザクロにはエストロゲンは含まれず、少量のエストロンのみ含まれるということが分かりました。
エストロンは、女性ホルモンのエストロゲンと似たような働きをしますが、ザクロに含まれているエストロンの量はごく微量のため、人間に対してはどの程度作用するのか疑問の声があがっています。
ただ、犬と人間では感受性が異なります。
そのため、特にオス犬にザクロを与えると、メス化するかもしれないという懸念があるそう。
これも、確定的な情報ではありませんが、愛犬の健康を損ねるかもしれない成分を含む果物をあえて与える必要はないでしょう。
犬がザクロを食べると起こる中毒症状
犬がザクロを食べると、特にペレチエリンによる作用によって、下痢や嘔吐、全身麻痺などが起こる可能性があります。
またタンニンの作用によって、便秘や胃腸障害が起こる可能性も。
エストロンによる効果は、今のところ確認されてはいません。
少量でもダメ?犬のザクロによる致死量は?
残念ながら、犬のザクロによる致死量ははっきりとしていません。
そもそも、日本人はザクロの実を食べる習慣がなかった事もあり、愛犬にザクロを与える方も少ないため、実際にザクロを食べて中毒症状が出るという事例もまれ。
データとしては、十分な量がそろっていません。
ただ、多くの動物病院では、少量のザクロを食べた程度なら「様子見」という判断をすることが多いよう。
1粒2粒程度の少量で、すぐに死に至るような成分はザクロには含まれていませんので、慌てなくてもいいでしょう。
愛犬がザクロを食べてしまった場合の対処法
愛犬がザクロを食べてしまった場合は、愛犬の口の中をチェックして、残っている粒があるようなら、かき出してしまいましょう。
そのうえで、
- どのぐらいの量のザクロを食べたのか?
- いつザクロを食べたのか?
- ザクロのどの部位を食べたのか(果皮・実)
- 愛犬の健康状態の変化
ということを確認し、動物病院へ連絡してみましょう。
その際、愛犬の犬種や体重、年齢、病歴等も伝えられるようにしておきます。
少量のザクロを食べただけで、特に体調の変化がない場合は、特に何の処置も施されないことが多いようです。
下痢や嘔吐といった症状があらわれている場合は、嘔吐を誘発させる催吐(さいと)処置を施したり、入院になったりすることも。
犬にザクロ酢を与えるのもダメ!
ザクロ酢とは、ザクロを発酵させて作ったお酢のことです。
また、黒酢などにザクロの果汁を加えて作られたザクロ黒酢なども、ザクロ酢として人気があります。
どちらにしても、ザクロ酢として販売されているものには、ザクロのエキスがたっぷりと含まれています。
つまり、ザクロ酢には犬にとって中毒物質となりうる、ペレチエリンやタンニン、エストロンなどが含まれている可能性があるということ。
ザクロ酢も犬にとって、有毒であるといえるため、犬にザクロ酢を与えるのは、やめましょう。
ザクロ以外に犬が食べてはダメな果物
ザクロ以外にも、犬が食べてはいけない果物があります。
確認しておきましょう。
ブドウとレーズン(干しブドウ)
ブドウの中のどの成分が犬にとって中毒物質となりうるのか?という明確な研究結果はまだ出ていないものの、臨床の現場ではブドウによる犬の中毒例が多くあがっています。
そのため「犬にブドウを食べさせないこと」はもはや常識に。
中毒症状としては、嘔吐や下痢、急性腎不全などがあり、中毒が出る量は体重1kgにつきブドウ3~57gと幅広く、感受性にはかなりの個体差があります。
ブドウを乾燥させたレーズンには、中毒物質が濃縮されていると考えられます。
レーズンの場合、体重1kgにつき2.8g程度で中毒症状が出た例があるため、より注意が必要です。
レーズンパンなどの加工品にも気を付けましょう。
イチジク
イチジクに含まれるフィシンやソラレンが犬にとってNG。
フィシンはタンパク質分解酵素ですが、犬にとって作用が強すぎるため、口腔内の荒れや嘔吐などを引き起こします。
また、紫外線吸収物質であるソラレンも大量に摂取すると下痢や嘔吐、脱水といった症状に苦しむことに。
致死量は不明です。
アボカド(野菜に見えるけど果物)
一見、野菜のようですが、実は果物に分類されるアボカド。
アボカドに関しては「中毒を起こすから危険」という見解と、「犬には大丈夫」という見解とがあります。
アボカドで問題になっているのは、ペルシンという殺菌成分。
牛や山羊には、強い毒性を示す物質ですが、犬に関してはそれほど強い毒性を示さないと言われてはいます。
ただ、実際にアボカドを食べたことによって、心筋障害を起こした例も…。
アボカドが犬に与える影響はまだまだ研究途上なので、心配なら与えないほうがいいでしょう。
プルーン
プルーンの場合、毒性物質が含まれているのは、実よりも葉・茎・種です。
ただ、プルーンはカリウム含有量が多いため、高カリウム血症になるリスクも。
また、食物繊維量も多いため、消化不良を起こす可能性があります。
犬には、プルーンを与えないほうがいいでしょう。
未熟なものや外皮、種
上記以外の果物を犬に与える際にも、与えてはいけない部位があります。
未熟な実や外皮、種には中毒物質が含まれていることが多いため、犬には与えないようにしましょう。
特に、多くて固い種を犬が丸飲みしてしまうと、喉や消化器官に詰まってしまい、腸閉そく等を起こすことも。
犬に果物を与える際には、熟した実部分のみを選んであげましょう。
【まとめ】犬にザクロを与えるのは危険!
今回は、犬にザクロを与えても大丈夫なのか?ということを中心にお伝えしました。
ザクロの実には、犬が中毒を起こす物質が含まれています。
大量に摂取しない限りは、中毒症状が出ることはないかもしれませんが、油断は禁物。
犬にザクロを与えるのは危険!と覚えておきましょう。