犬は山芋を食べられる?皮や生は大丈夫?下痢やアレルギーの注意点
滋養強壮効果が高く栄養満点の野菜といえば、ネバネバ成分がたっぷりと含まれた山芋!
愛犬にも「ぜひ山芋を食べさせてみたい」と思っている飼い主さんも、多いのではないでしょうか?
でも、気になるのは、犬は山芋を食べても大丈夫なのかということですよね。
そこで今回は、犬が山芋を食べられるのか徹底解説します。
山芋は、与える量や与え方によっては、下痢をしたり皮膚にアレルギーのような症状が出たりすることも。
栄養豊富ですが、ちょっと扱い方にコツが必要な山芋の特集です。
犬は山芋を食べても大丈夫?
山芋の中には、犬にとって有毒な物質は含まれていませんので、犬は山芋を食べても大丈夫です。
ネバネバ成分を多く含む山芋は、そのイメージ通りにとても栄養価が高い野菜。
滋養強壮効果があり、犬にとっても消化しやすく、またビタミン類も豊富です。
ただし、犬の体質や山芋の調理方法によっては、犬に刺激となることもあります。
また、もともとアレルギーがある犬や、病歴のある犬に山芋を与えてもいいかどうかも判断が難しいところです。
皮や生は大丈夫?犬に与える山芋の適量や与え方
それでは次に、犬に与える山芋の適量や与え方についてみていきましょう。
山芋はカロリーが高い!ごく少量を与えて
まず、犬に与える量について。
山芋はカロリーが高く、100gあたり120キロカロリーほどあります。
ちなみに、カロリーが高めというイメージのあるジャガイモのカロリーは、100gで76キロカロリーほど。
ジャガイモと比較すると、1.5倍ほどもカロリーが高いことが分かりますね。
そのため、食べ過ぎると確実に太ります。
また、山芋には、犬が消化を苦手とする食物繊維も多く含まれています。
よって、犬に与える場合は、ごく少量を目安にしましょう。
体重5kgの小型犬なら、30g程度の山芋が目安となります。
体重10kgの中型犬なら60g程度、体重20kgの大型犬なら120g程度を目安としましょう。
皮は取り除くこと!生でも大丈夫だけど注意点あり
犬に山芋を食べさせる際には、皮を取り除きましょう。
山芋の皮は食感も悪く、多くの食物繊維が含まれています。
また、皮膚に刺激を起こす成分も多く含まれているため、皮を食べさせないほうが安心です。
山芋は生でも大丈夫ですが、生で食べさせる場合は、皮の近くの実を与えるのはやめましょう。
必ず、酢水などにつけてアク抜きをし、水洗いしたものを与えます。
また、芋を加熱すると奪われてしまう栄養素もありますが、加熱すると刺激物質が激減するため、安心です。
山芋を加熱すると、ほくほくとした食感となり、美味しく食べられます。
加熱しても生でも細かく刻むことを忘れずに!とろろは要注意
犬に野菜を与える時の鉄則は、とにかく細かく刻むことですね。
犬は食物繊維の消化を苦手とする子が多いため、野菜を細かく刻むことで繊維を断ち切り、消化を良くしてやります。
山芋も他の野菜同様に、細かくカットしてやることが大切です。
大きいサイズのまま与えると、丸飲みしてしまう可能性が高く、危険。
喉(のど)に詰まらせて、窒息するかもしれません。
ただし、山芋をすりおろしたとろろを与えるのは、ちょっと待ってください。
すりおろしのとろろは、より粘り気が増し、犬が食べる際に口周りがベトベトになります。
皮膚に山芋が付着すると、後処理も面倒ですし、刺激になることも多いので注意しましょう。
犬も山芋で皮膚がかゆくなる?
山芋を調理していると手がかゆくなる、という方も多いのではないでしょうか?
これは、生の山芋に含まれているシュウ酸カルシウム結晶が原因です。
シュウ酸カルシウム結晶は、まるで針のような形状をしています。
その鋭い結晶が皮膚に付着することによって、痛みやかゆみを生じさせます。
これは、人間だけに起こることではなく、犬でも同じと言われています。
生の山芋を食べる際に、誤って犬の皮膚に山芋が付着すると、かゆみが出ることも。
犬にかゆみを起こさせないためには、生の山芋を酢水などにつけて、シュウ酸カルシウム結晶を流してしまうのが一番です。
シュウ酸カルシウム結晶は、酸に弱いという性質があります。
また、山芋の中心部の方がシュウ酸カルシウム結晶が少ないので、犬に生の山芋を与える際には、なるべく中の方をあげましょう。
さらに、熱にも弱いため、山芋を加熱するのは、かなり有効。
ただし、加熱すると壊れてしまう栄養素もあります。
犬が山芋を食べるメリットや栄養効果
それでは次に、犬が山芋を食べるメリットや栄養効果についてみていきましょう。
ネバネバ成分ムチンで健康に!
山芋といえば、やはりネバネバ成分!
このネバネバの中には、ムチンと呼ばれる成分が含まれています。
ムチンには、胃の粘膜を保護する働きがあり、便の排出をスムーズにしてくれるため、腸内環境を整える効果も期待できます。
糖質の吸収をおさえる働きもあるため、糖尿病の予防にも。
また、鼻や口の粘膜にも作用して抗ウィルス効果もあり、免疫力アップに貢献します。
つまりムチンは、犬を健やかな状態に導いてくれる成分として、期待大ということですね。
アミラーゼの効果で消化が楽に
生の山芋には、アミラーゼが含まれています。
アミラーゼは、主にでんぷんの消化を助ける酵素です。
人間と違って、犬の唾液にはアミラーゼが含まれておらず、そのため犬は炭水化物の消化が苦手と言われています。
また、アミラーゼには整腸作用もあり、食欲が減退している犬に与えると、食欲をアップさせてくれる効果も期待できます。
夏バテ気味のワンちゃんのいつものフードの上に生の山芋を少量かけてやると、消化がスムーズになり、食いつきも良くなるかもしれませんね。
アルギニンで疲労回復!
疲労回復効果があるアルギニンは、夏バテ気味のワンちゃんに最適な栄養素。
アルギニンはアミノ酸の一種ですが、疲れ気味の身体に効く成分として注目されています。
また、アルギニンはアンモニアを尿素に変換する時にも使われる成分。
たんぱく質を摂取するとアンモニアが発生するため、たんぱく質をメイン栄養素としている犬にとって、アルギニンは重要な栄養素と言えます。
豊富なビタミン類で体の調子を整える
山芋には、ビタミンも豊富です。
例えば、ビタミンB1は、糖質からエネルギーを生産する際に使われ、皮膚や粘膜を健やかに保ち、疲労回復効果も。
完全栄養食のドッグフードにもビタミンB1は含まれていますが、フードの保管状況によっては損失しやすいため、山芋で補えるといいですね。
ビタミンB1が欠乏すると、心臓が肥大したり、足腰に疾患が出たりします。
また、山芋にはビタミンCも含まれています。
ビタミンCには抗酸化作用があり、免疫力を高めて、がんを抑制する効果が期待できます。
犬は、自分でビタミンCをつくる能力があるとされていますが、老犬には不足しがちなので、食事から摂取できるといいでしょう。
犬は山芋を食べても大丈夫だけど注意点が!
犬は山芋を食べても大丈夫ですが、5つほど注意点があります。
確認しておきましょう。
皮膚が弱い犬には与えない
とても健康効果の高い山芋ですが、やはり生の山芋に含まれるシュウ酸カルシウム結晶による刺激が気になります。
皮膚の弱い犬には、与えないほうが無難でしょう。
特に、生の山芋をすりおろした、とろろを与えるのは、おすすめできません。
シュウ酸カルシウム結晶の働きは、加熱することによって、おさえられます。
皮膚の弱い子に山芋を食べさせるなら、加熱するという手もあります。
ただ、加熱するとアミラーゼやムチン、水溶性ビタミンなどの働きがおさえられてしまうため、生の山芋ほどの栄養効果は期待できません。
消化不良による下痢や嘔吐に注意
山芋には、犬が消化を苦手とする食物繊維や炭水化物が含まれています。
そのため、与え過ぎると消化不良による下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす可能性があります。
また、適量を守って与えた場合でも、消化不良を起こしてしまう子もいます。
食物繊維をどの程度消化できるのかは、犬によって個体差が激しく、ほんの少量でも無理という子もいます。
愛犬に野菜を与えると、よく下痢をしてしまう…
という場合には、山芋も控えておいたほうが無難です。
アレルギーの可能性
山芋には、アレルギーのリスクもあります。
シュウ酸カルシウム結晶による皮膚の反応は、アレルギーというわけではありませんが、アレルギーのように皮膚をかゆがるのが特徴です。
また、加熱した山芋の中にはアレルゲンとなりうる、たんぱく質が含まれています。
つまり山芋は、アレルギー反応が起きてもおかしくない食材ですので、与える際には注意が必要。
特に、生まれて初めて山芋を食べさせる場合は、ほんの少量から始めましょう。
山芋を食べた後、皮膚や目、耳などにかゆみや赤みが出たり、下痢や嘔吐が起こったりするようなら、アレルギーかもしれません。
早急に動物病院を受診しましょう。
結石のリスク
山芋を犬に食べさせると、結石のリスクもあります。
原因となるのは、山芋に含まれるシュウ酸カルシウム結晶です。
通常、食物から摂取したシュウ酸がカルシウムなどのミネラルと結びついて結石となり、尿管や尿道に詰まるのが尿結石と言われています。
山芋の場合、すでに山芋の中でシュウ酸はカルシウムと結びつき、結晶状になっているため、犬の強い胃酸で溶かされます。
つまり、犬の体内にシュウ酸カルシウム結晶が入っても問題ないとされますが、大量に摂取した場合は、結石を引き起こすのではないかという疑いがあります。
結石予防のためにも、犬には大量に山芋を食べさせないようにしましょう。
また、既に結石にかかっている犬には念のため、少量でも与えない方がいいでしょう。
カリウム制限がある犬には与えない
山芋には、カリウムも豊富に含まれています。
腎疾患などがあり、カリウム制限を受けている犬にも、山芋を与えないようにしましょう。
腎疾患の犬の全てがカリウム制限を受けるわけではありませんが、何らかの病歴がある犬には、療法食のみを与えるのが基本です。
おやつなどで余計な栄養素が加わると、病気の治癒(ちゆ)が遅くなります。
「病歴がある犬には、療法食のみ」と覚えておきましょう。
山芋を使った犬の手作りごはんレシピ
犬ごはん先生・いちかわあやこ先生の山芋を使った犬の手作りごはんレシピです。
ワンちゃんのお好きな野菜を入れて作る、「すりおろす→混ぜる→焼く」の簡単お好み焼き!
山芋の免疫力アップお好み焼き
【材料】
- 山芋
- お好きな野菜(わんこOKのもの)
- お好みで粉類(小麦粉や片栗粉など)
※今回は、大根、かぼちゃ、さつまいも、人参を使いました。
【作り方】
1:野菜を1cm角以下の小さめサイズに切ります。
(温野菜を使っても可)2:長芋をすりおろす。
3:カットした野菜とすりおろした長芋を混ぜます。
4:熱したフライパンに油をしき、弱火でじっくり焼きます。
※この時、粉類が入っているとしっかり固まり易いです。
※温野菜を使えば、焼き時間が短縮されます。5:両面を焼いて、出来上がりです♪
【まとめ】与え方や量に気を付けて、山芋の健康パワーを犬にも!
今回は、犬に山芋を与えても大丈夫なのか、ということを中心にお伝えしました。
山芋の場合、皮膚が弱い子や病歴がある子、アレルギーの子には与えられません。
また、健康な犬でも、大量に与えると下痢を起こすことも。
滋養強壮効果の高い山芋ですが、与え方や量に気を付ける必要がありますね。