犬のキシリトール中毒とはどんな症状?少量でもダメ?
犬が「キシリトール中毒を起こす可能性がある」ということをご存じの飼い主さんは、多いと思います。
でも、犬がキシリトール中毒を起こすということが分かったのは、比較的最近のこと。
そのため…
- キシリトール中毒の症状って具体的にどんな感じ?
- どのぐらいの量を食べたら、キシリトール中毒を起こすの?
と、「キシリトール中毒とは?」と聞かれたときに、疑問ばかりという方も多いようです。
キシリトールは身近な食材だけに、キシリトール中毒が一体何なのかを知らないというのは、不安ですよね。
そこで今回は、犬のキシリトール中毒について徹底解説します。
これを読めば、犬にとって、いかにキシリトールが有毒なのかという事がお分かりいただけるはず!
そもそもキシリトールとは?
キシリトールとは、砂糖と同じレベルの甘さを持つ糖アルコールの一種で、自然界に存在する物質です。
人間の場合、キシリトールを摂取してもインシュリンが分泌されず、血糖値に影響を与えることはありません。
よって、糖尿病患者でも摂取できる甘味料として使われます。
砂糖とエネルギーを比較しても低いため、カロリーオフを狙った加工食品にも多く使われています。
また、キシリトールは口の中で発酵しないため、虫歯予防の効果も。
キシリトールを口の中で溶かすと、スーッとした涼感が広がります。
キシリトールを含む食べ物
上記のような特徴を持つキシリトールは、多くの加工食品に使われています。
虫歯予防を目的としたキシリトールガムやキャンディ、タブレット、ダイエットを意識した消費者向けのチョコレートや菓子類も。
また、キシリトールは天然成分。
果物や野菜の中にも含まれています。
特に含まれている量が多いのが、イエロープラムやいちご、カリフラワー、ラズベリーなどです。
他にも、ほうれん草やたまねぎ、にんじん、レタスなどの中にも含まれています。
犬がキシリトールを食べたら危険な理由
人間にとっては、糖尿病予防やダイエット、虫歯予防など、良い効果を確認できるキシリトールですが、犬にとっては有害です。
なぜなら、犬がキシリトールを摂取すると、インシュリンを大量に放出してしまうからです。
人間の場合には、キシリトールを摂取することによって抑えられるインシュリンの放出ですが、犬の場合には全く正反対に作用してしまうというわけです。
そのため、犬がキシリトールを摂取すると、低血糖を起こします。
犬のキシリトール中毒とはどんな症状?
犬のキシリトール中毒は、犬が低血糖となることにより起こります。
低血糖となった犬は、意識レベルが低下し、昏睡(こんすい)状態になり、けいれんを起こしてやがて肝障害を起こす可能性もあります。
さらに症状が進むと、死に至ることも。
実際にキシリトールによって犬が死亡した例は、いくつかあります。
犬の中毒物質に関しては、あまり研究が進んでいないものが多いなか、キシリトールはかなり危険度が高く、急性の中毒を起こすため、少しずつ研究が進みつつあります。
犬がキシリトールを食べてから中毒症状が出るまでの時間
犬がキシリトールを食べてから中毒症状が出るまでの時間は、30分。
もちろん例外もありますが、多くの症例が30分以内に中毒症状を発症します。
ある研究でキシリトールによる犬の血糖値の低下を調べたところ、キシリトール摂取後30分で最も血糖値が下がったそう。
ただし、なんと摂取後30時間経ってから中毒症状が出始めた例もあるので、個体差はあります。
少量でもダメ?犬がキシリトールを食べた時の致死量
人間が食べられる食材で中毒を起こす場合でも「少量なら大丈夫」というものが多いなか、キシリトールだけはダメです。
治療が必要になるのは、体重1kgあたり約0.1gのキシリトールを摂取した場合と言われています。
急性肝不全になる場合は、体重1kgあたり約1.6gのキシリトールとされています。
例えば、体重10kgの中型犬なら、1gのキシリトールを摂取したら要治療。
1gのキシリトール量とは、キシリトールガム2粒。
たった2粒のキシリトールガムで、中毒症状が起こってしまう可能性があるのです。
もちろん感受性には個体差があります。
なんと、体重1kgあたり3g程度のキシリトールを摂取しても、何の症状も出ない子もいるそう。
ちなみに、果物や野菜にもキシリトールが含まれてはいますが、犬に人間が食べる果物や野菜を与える場合は、ごく少量を与えますよね。
例えば、キシリトール含有量の多い「いちご」でも、気にする必要はないと言われています。
体重10kgの中型犬が、いちごでキシリトール中毒を起こすとしたら、2.5kg以上を一気に食べる必要があるからです。
この量を一気に食べてしまうというのは考えにくいため、果物や野菜のキシリトール量についてはあまり考えなくて大丈夫とされています。
愛犬がキシリトールを食べてしまった時の対処法
それでは、愛犬がキシリトールを食べてしまった場合、一体どのように対処すればいいのでしょうか?
すぐに動物病院へ!
「犬がキシリトールガムを食べた瞬間を見た!」という場合や、「犬がキシリトールを食べたかも?なんだかふらふらしているぞ」というような中毒症状がすでに出始めている場合は、迷わずすぐに動物病院へ。
どんなキシリトール入り加工品を食べたのかわかるようパッケージを持参し、どのぐらいの量を食べたかも把握しましょう。
一般的に中毒物質を誤飲した場合の処置として、嘔吐(おうと)を誘発させる催吐(さいと)処置や胃洗浄が行われますが、キシリトールの場合は、催吐処置も胃洗浄も行えないことが多いよう。
というのも、キシリトールが犬の体内に吸収されるのは非常に早く、30分という時間の制約があるから。
キシリトールを食べたのが30分以上前であった場合、催吐処置の途中で低血糖が起き、意識が混濁し逆に危険な状態になることも考えられます。
また、30分経つと、ほとんどキシリトールは吸収されているため、胃洗浄も効果がないとされます。
動物病院で施される一般的な治療は、輸液治療。
ブドウ糖を点滴することによって、低血糖状態を改善させます。
誤食後、かなり時間が経っていて元気な場合は?
キシリトールに関する感受性には個体差がかなり激しいため、キシリトールを誤って食べたとしても、体調に変化がない場合もあります。
それでも、キシリトールを食べたことが分かったのであれば、必ず動物病院を受診することをおすすめします。
ただ、「キシリトールを間違って食べたかもしれない」ことが分かった時、すでにかなり時間が経っていて元気にしているようなら、まずは食事や砂糖を与えてみるというのも有効。
動物病院への移動時間での急変を防げるかもしれません。
愛犬がキシリトールを間違って食べないようにする対策
最後に、愛犬がキシリトールを間違って食べないようにする対策をお伝えします。
果物や野菜などでキシリトール中毒を起こす可能性は低いため、まずはキシリトールが含まれる加工品に注意しましょう。
犬の手の届くところには、決してキシリトール加工品を置かないこと!
特に、ガムやタブレット、キャンディなどはサイズが小さく、コロンと床に転がっていても気づきにくいですよね。
床に転がったキシリトール入りガムやタブレットを愛犬が口にするという事故は本当に多いため、気を付けてください。
また、普段から
- 人間の食べ物を欲しがらないようしつけをする
- 拾い食いをしないようにしつけをする
- 口にくわえたものを「ハナセ」や「ちょうだい」の指示で人間に渡せるようしつけをする
など、愛犬へのしつけも重要です。
まとめ:ほんの少しのキシリトールガムが命取りに!
今回は、犬のキシリトール中毒について特集しました。
キシリトールは犬に低血糖を起こすため、中毒症状が出てしまうということが分かりましたね。
また、たった1粒、2粒のキシリトールガムが、愛犬の命を奪う可能性が分かることも確認しました。
犬には、ほんの少量でもキシリトールはダメです。
キシリトールを犬に与えないようにしましょう。