犬を電車に乗せる時の注意点は?マナーやルール、料金について
愛犬と出かけるのは近所の散歩だけ…という方も多いと思いますが、犬と電車に乗ることができたら、ぐっと行動範囲が広がりますね。
でも、そもそも犬を電車に乗せるのはマナーに反していないのか、気になっている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、犬を電車に乗せるときのマナーやルール、料金について特集します。
移動前に、どんな事に気を付けておけばいいのかということや、電車内で吠えたときの対処法なども詳しくお伝えしますので、お楽しみに!
犬を連れて電車移動できるの?
まず、そもそも犬を連れて電車移動できるのかが気になりますね。
小型犬なら電車に乗せることは可能です。
ただしその際、犬は「手回り品」という位置づけになります。
つまり、人間の持ち物としての扱いになるということです。
また、各鉄道会社によって細かな決まりは異なりますので、利用する電車がペットを乗せる際にどのような決まりを設けているのか、あらかじめチェックしておく必要があります。
ちなみに、盲導犬・介助犬・聴導犬に関しては、そのまま車内に持ち込むことが可能です。
もちろん然るべき機関から認定を受けた身体障害者補助犬であることを証明できる場合に限るなど、こちらも様々な条件があります。
鉄道会社によって犬との乗車ルールや料金が違う
鉄道会社によって、犬との乗車ルールや料金が異なりますので、確認していきましょう。
なお、どの電車でも共通なのが、
- 他のお客さんに迷惑をかけない
- 手回り品として持ち込む
- 犬の全身を隠す
ということです。
JR
JRでは、長さ70cm以内でかつ、縦+横+高さの合計が90cm程度になるケースに小犬の全身を入れて、手回り品として乗車することができます。
ただし、ケースと小犬の重量を合わせて10kg以内になるものに限ります。
手回り品料金は、1個280円です。
ドッグスリングは、小犬の全身がすっぽりと入るタイプのものでも使用はNG。
ペットカートの場合は、ケースとカートを分離できるタイプで、手回り品の制限を超えないものならOKです。
東京メトロ
東京メトロでも、子犬を「手回り品」として持ち込み可能です。
持ち込む際は、JR同様、長さ70cm以内でかつ縦+横+高さの合計が90cm程度のケースに入れます。
子犬+ケースの重量が10kg以内におさまるものに限ります。
料金は無料です。
東京メトロの場合、手回り品は2個まで持ち込むことができます。
東京メトロも、JR同様、子犬の全身が隠れないとアウトです。
また、ペットカートも手回り品のサイズを超えるため、そのままではダメ。
分離できるタイプならOKとのことです。
また、JRでNGとされるドッグスリングは、きちんと全身が隠れて蓋が閉まればOK。
都営地下鉄
都営地下鉄も犬を手回り品として持ち込むことができます。
ただ、都営地下鉄の場合、手回り品のサイズがJRや東京メトロよりやや大きく、縦+横+高さ合計が250cmで、重さ30kg以内のもの2個までOKとのこと。
料金は無料。
完全なケースに入れることは必須です。
ドッグカートは、キャリーケースの蓋を閉じて乗車できるなら可能。
また、ドッグスリングも完全に犬の身体が覆われるもので、顔や手足が外に出ない蓋つきのものなら、乗車可能です。
名古屋市交通局(地下鉄)
名古屋市交通局の地下鉄も、犬を手回り品として持ち込むことが可能です。
犬を入れるケースは、長さ200cm以内でかつ、縦+横+高さの合計が250cm以内のものとされています。
ケース+犬の重さが30kg以内であることが求められ、ケースの個数は合計2個までです。
手回り品の料金は無料なので、犬も無料で乗車できます。
名古屋市交通局は、上記の範囲内であればドッグスリング使用も可能です。
ただし、全身をしっかりと覆うことができるものに限ります。
ドッグカートもファスナー付きで全身が隠れれば使用可能です。
なお、系列のバスの場合、ドッグカートはNGとのことなのでご注意ください。
名古屋鉄道
名古屋鉄道も子犬なら、手回り品として280円で持ち込むことができます。
駅の改札でどんな犬なのかを見せてから、手回り品切符を購入しましょう。
子犬を入れるケースは、長さ70cm以内でかつ、縦+横+高さの合計が90cm以内のものです。
ケース+子犬の重さが10kg以内のものに限ります。
名古屋鉄道は上記の規定の範囲内なら、スリングやドッグカートでの持ち込みも可能です。
スリングなら、ジッパー等で完全に隠れるタイプを。
ドッグカートの場合、分離できるタイプならコンパクトになるので持ち込み可能です。
大阪メトロ
大阪メトロでも、小型犬の持ち込みが無料で認められています。
ケースに関しては、明確なサイズの規定はありませんが、飼い主さんの膝(ひざ)の上に乗せられる大きさならOKとのこと。
もちろん、犬の姿が外から見えないようにする配慮は必要で、蓋(ふた)ができなければなりません。
ケージの場合、出入り部分のみ金網となっているものは可。
ちなみに多くの電車で使用不可のドッグカートも、犬の姿が見えないよう大部分が不透明なものでかつ、車内で転回可能なサイズなら持ち込んでも大丈夫です。
全身がすっぽりと隠れており、鳴き声や臭いがないなら、ケースに関する制限は比較的緩い会社と言えます。
阪急電車
阪急電車でも、小犬を手回り品として乗車させることができます。
小犬を入れるケースは、長さ70cm以内で容積は0.025㎥以内。
重量は、小犬とケースを合わせて10kg以内におさまるものです。
券売機で280円の手回り切符を購入することで乗車できます。
参照:阪急電車 よくあるご質問
近鉄電車
近鉄電車も1個280円の有料手回り品として小犬の持ち込みが可能です。
ケースは長さ70cm以内のものでかつ、縦+横+高さの合計が90cm程度のもの。
ケース+小犬の重さが10kg以内におさまるようにしましょう。
なお、全身が入ることが大前提であり、顔や手足が出ないようにします。
ちなみに、ドッグスリングはたとえ全身が隠れるものでもダメです。
ドッグカートも寸法が制限を超えるためNG。
参照:近鉄電車入場券・手回り品など、近畿日本鉄道株式会社 手回り品のご利用案内
犬と一緒に電車移動する時は何に入れる?
各電車会社は、犬をどんなケースに入れるのかについて細かく規定を設けていましたね。
犬と一緒に電車移動する時は、どんなケースに入れるのかが重要ポイントです。
スリング
飼い主さんにとっては、楽に犬を抱っこでき、犬にとっても飼い主さんと密着することで安心できる魔法のアイテム「ドッグスリング」。
でも、多くのドッグスリングが蓋をできず、犬の顔が出てしまうため、JRや近鉄電車等で使用NGとされています。
東京メトロや都営地下鉄などは、全身が隠れて蓋が完全に閉まるドッグスリングなら使用OKとしています。
スリングを用意するなら、飛び出し防止フックがついていてかつ、ジッパーなどで完全に蓋ができ、素材もしっかりとしたナイロン製の型崩れしにくい形状のものがおすすめです。
こういうタイプのスリングは、いわばキャリーバッグとスリングの良い所だけを合わせたような機能性となっていて、飼い主さんからもとても人気がある商品です。
キャリーバッグ
ナイロンなどのソフトタイプのキャリーバッグは、硬質なクレートよりも犬が安心して過ごすことができ、また重量も軽いので持ち運びしやすいという利点があります。
ただ、電車で使うなら、しっかりと蓋ができるものでないといけません。
トートタイプのように蓋が甘いバッグは、多くの電車で使用不可となっていますので、気を付けましょう。
ソフトタイプのキャリーバッグには、犬が安心できるようメッシュ布が多用されている場合がありますが、電車利用の際はメッシュが多いタイプは犬の姿が丸見えになるため歓迎されません。
メッシュ布とブラインド布の両方がついていて、必要によってブラインド布で隠せるタイプがおすすめです。
また、持ち手の形状も重要。
手で持つだけでなく、紐を肩に掛けられたり、斜め掛けできたりするショルダータイプだと楽に移動できます。
旅行バッグのように足元にキャスターがついているタイプなら、持ち運びに疲れた時にコロコロと転がして移動できるのでより便利でしょう。
クレート
電車に犬を乗せる場合に最も推奨されているのが、ハードなプラスチック素材でできたクレートです。
ハードな素材でできていますので、犬を入れてもたわむこともなく、衝撃にも強いので安心して使えます。
クレートの場合は、出入り口部分が網目になっていて犬の姿が見えても、OKとされています。
クレートを選ぶ際に注意すべきは、サイズ。
JRや東京メトロなどサイズ規定の厳しい電車では、おそらくSサイズ程度のクレートしか持ち込むことはできません。
犬のクレートを選ぶ際に「クレート内で充分な広さで休めるスペースが欲しい」と大き目を購入すると、電車に持ち込めないサイズとなりますので注意しましょう。
また、多くのクレートは、手で持つハンドグリップしか備えていません。
腕力にあまり自信がない方の場合、クレートでの犬の持ち運びは疲れてしまう可能性もあります。
クレートに入れて犬を移動させる自信が無い場合は、キャリーバッグやリュックなど他のタイプのケースを選ぶようにしましょう。
カート
ドッグカートは都営地下鉄や大阪メトロなど一部の電車では、蓋が閉じられるならOKとなっていますが、その他多くの電車でドッグカートのまま乗ることは不可能です。
骨組み部分とキャリー部分を分離させられるタイプならOKというところが多いよう。
JRなど、色んな電車を利用するなら、キャリーケースのみ分離できるタイプを選びましょう。
キャリーケースのみを取り外せるタイプは、キャリーケースを車載用としても利用できるなど、使用シーンもドッグカートとしてだけでなく色々と広がります。
カートを選ぶ際には、キャリーバッグが手回り品のサイズを超えないよう気を付けて選びましょう。
キャリーバッグの蓋がきちんと閉まるかどうかということや、メッシュ部分が多すぎないかということも確認しておきましょう。
また、カート自体の小回りが利く方が、人込みを歩く時は便利です。
リュック
腕力にあまり自信のない飼い主さんにとって、リュックタイプのキャリーは力強い味方です。
両手が空くので、切符を買ったり改札を通ったりするのも楽々。
その他の手荷物も余裕で持てます。
ただし、リュックタイプのキャリーの多くは、縦長になっています。
犬のサイズによっては、小さく丸まってリュックの中におさまっていなくてはいけないため、犬自身が疲れてしまうことも。
犬自身に負担がかからないよう、リュックとしてだけではなく、横型のキャリーバッグとしても使える2wayや3wayのキャリーバッグを選んでおくと、より便利に使えますよ。
また、リュックタイプは人間の背中に背負うため、どうしても密着度が高くなります。
そのため、多くのメーカーのリュックは、メッシュを多用して熱がこもりにくい設計になっています。
犬にとっては快適に過ごすために必要なメッシュですが、電車に乗る場合は他者から犬が丸見えに近い状態になってしまうため、NG。
メッシュ部分をブラインド布で開け閉めできるようになっているものを選ぶと、電車でも使いやすいでしょう。
犬と電車に乗る前の準備
犬と電車に乗る前には、事前に準備が必要です。
まずは、自分が乗りたい電車のペット乗車規定を調べましょう。
そして、条件に合うケースを用意しておきます。
乗車当日までに、そのケースにすんなりと入れるよう、愛犬をトレーニングしておきましょう。
普段からケースの中でくつろいだり、眠ったりできるようになるまで、ケースに慣らしておきます。
ケースに入ることに慣れてきたら、いよいよお出かけです。
最初は、電車の駅までケースで移動する練習から。
落ち着いてできるようになったら、いよいよ乗車です。
ただし、いきなり目的地まで行くのではなく、最初は1駅から。
1駅を問題なく乗り切れたら、いよいよ本格電車デビューです。
特に、まだ幼い子や繊細な子、元気が良すぎる子などは、しっかりとトレーニングしておくことが大事です。
また、万全の体調で乗れるよう、事前にトイレを済ませたり、食事も2時間前には済ませたりするなど、配慮しましょう。
乗車してから排泄したり、嘔吐(おうと)したりすることを防ぎます。
犬と一緒に電車移動する時の注意点やマナー
それでは最後に、犬と一緒に電車移動する時の注意点やマナーをおさえておきましょう。
以下の注意点やマナーは、どの電車でも共通。
世の中には犬嫌いの人や、動物アレルギーの人もたくさんいるということを考えて行動することがポイントです。
犬の存在を知らせないこと
多くの電車で「犬の全身を隠す」ということが求められています。
これはつまり、犬の存在を周囲に知らせてはいけないということを意味しています。
電車の駅に着いたその時点から、どんなに犬の様子が気になっても、ケースを開けて犬の様子を見たり、ましてや犬をケースから出したりしてはいけません。
例え、犬好きの人が犬の存在に気付いて「犬を見せてください」「犬に触ってもいいですか?」と声をかけてきたとしても「マナー違反になりますので」と言ってお断りしましょう。
犬が吠えないようにしつけをしておく
犬と一緒に電車に乗る時に、最も心配なのは、犬が吠えてしまうこと。
充分に自宅で練習を繰り返しても、どうしても吠える場合は、犬が大きなストレスを抱えていることが考えられます。
犬のストレスを取り除き、ゆったりとリラックスして電車移動中は眠ってくれるようになると、電車移動が楽になります。
どうしても電車移動でキャンキャンと鳴いてしまう子は、電車に乗る前にたくさん散歩をして運動させ、疲れさせてみてください。
疲れていると、電車に乗った途端にウトウトと眠ってくれるはずです。
また、愛犬が好きなおもちゃなどを入れておくと、気がまぎれる場合も。
それでも、ハアハアと興奮気味になっていたり、立ってグルグルとケースの中を動き回っていたり、震えたり、あくびを頻繁にしたりする場合は、吠える直前の合図と考えられます。
吠える前に下車しましょう。
吠えるからといって、くれぐれも犬をケースから出してなだめる…ということをしないように。
その他の最低限の乗車マナー
その他にも最低限の乗車マナーはいくつかあります。以下に挙げておきます。
- ラッシュ時など混雑する時間帯は避ける。
- 犬のそばから離れない。
- 犬のケースを網棚に乗せない。
- 座席がいっぱいの時は、座席に座らず、なるべく隅のほうに立つ。
愛犬との電車でのお出かけは、マナーを守って万全の準備を!
今回は、犬を電車に乗せる際の鉄道会社ごとの細かなルールや料金を中心にお伝えしました。
愛犬と電車で移動できると、行動範囲がぐっと広がって楽しみが増えますね。
ただし、世の中には犬嫌いの人や動物アレルギーの人もいるということを頭に入れて、最低限のマナーを守ることはとても大切です。
特に「吠える」ことに関して、世間は厳しい目を持っています。
愛犬との電車でのお出かけは、マナーを守って万全の準備を!