犬はピーナツを食べたらダメ?薄皮は大丈夫?アレルギーに注意
甘くて油脂分たっぷりのピーナッツが好き!というワンちゃんは多いようです。
でも、犬はピーナッツ(落花生)を食べられるのでしょうか?
「ナッツ中毒」という言葉もありますし、アレルギーの心配も…。
そこで今回は、犬がピーナッツを食べられるのか徹底調査しました。
薄皮を食べても大丈夫なのか、またピーナッツバターは食べていいのかなど、飼い主さんが気になるポイントをまとめていますので、ぜひ確認してみてくださいね。
犬はピーナツを食べても大丈夫?薄皮は?
「ナッツ中毒」という言葉がありますが、実はピーナッツには犬にとって中毒となる成分は含まれていません。
ナッツ中毒を起こすのは、マカダミアナッツです。
ピーナッツはナッツ類の中でも、犬にとって比較的安全と言われている種類となります。
つまり、犬にピーナッツを食べさせても大丈夫です。
ただし、ピーナッツについている茶色の薄皮は消化しにくいので、取り除いてあげましょう。
また、与える量や与え方にも気を付けないと、嘔吐(おうと)や下痢などを起こしてしまうことがあるので、気を付けましょう。
犬が食べられるピーナッツの適量と与え方
まず、ピーナッツをそのままの形で犬に与えてしまうと、特に小型犬の場合は、喉(のど)や消化管に詰まるおそれがあります。
中型犬や大型犬でも、ピーナッツは消化に良いものではありませんので、できるだけ細かく砕いて与えましょう。
すりつぶして、ペースト状にしてもいいですね。
犬にとってのピーナッツの適量は特別に定められていませんが、犬にとっておやつの適量は決められています。
1日に摂取すべきカロリーの約20%をおやつの目安にしましょう。
ピーナッツの場合、特にカロリーが高いため、上限をきちんと守ることが大切です。
ちなみに、体重5kgの犬なら1日に必要なカロリーは350キロカロリーほどですので、その20%の70キロカロリーがおやつの上限です。
ピーナッツのカロリーは100gで600キロカロリー程度なので、約11gが上限となります。
ピーナッツ11gというと、だいたい3粒。
かなり少量ですね。
犬はピーナツを食べられるけど注意点が!
犬はピーナッツを食べられますが、いくつか注意点があります。
確認していきましょう。
消化不良による下痢や嘔吐
ピーナッツを食べさせるうえで、最も注意してほしいのが、消化不良による下痢や嘔吐です。
これは、ピーナッツの主成分が油脂分であることに由来します。
ピーナッツは、その重量の約半分が油脂分となり、かなり脂っぽい食べ物と言えます。
犬にとって油脂分も必要ではありますが、問題は摂り過ぎた場合に起こります。
油脂分を上手に分解できなかった場合、下痢や嘔吐といった症状となって犬を苦しめてしまいます。
また、油脂分分解に関わっている臓器といえば、すい臓です。
すい臓は体内に油脂分が入ってくると、分解酵素を出します。
そのため、分解できないほど大量の油脂分が体内に入ってくると、すい臓を痛めつけることに。
ピーナッツを食べ過ぎることによって「膵炎(すいえん)」といった病気を発症してしまう可能性もありますので、注意しましょう。
アレルギーに注意
人間では、重いアレルギー症状を引き起こすこともあるというピーナッツですが、実は犬がピーナッツを食べたことによるアレルギーの報告はそれほど多くありません。
ピーナッツは、犬にとってアレルギーを発症しにくい食べ物と言えます。
しかし、まれに皮膚のかゆみや目の充血、耳のかゆみ、嘔吐や下痢といった、アレルギー症状を発症してしまうワンちゃんも。
特に、すでにマメやヨモギ、シラカバなどに対してアレルギーがある犬の場合、交差反応としてアレルギー症状が出ることもあります。
犬に初めてピーナッツを食べさせる際には、まず少量から試して様子をみましょう。
少しでも異変を感じたら、動物病院を受診し、獣医師の診断をあおぎましょう。
殻(から)を食べさせない
最初に「ピーナッツの薄皮を食べさせない」ということを確認しましたが、もちろんピーナッツの薄皮のさらに外側にある「殻」を犬に食べさせてはいけません。
殻は固く、繊維が多いので消化しづらいため、ワンちゃんが丸のみしてしまった場合、腸管などで詰まって腸閉塞(ちょうへいそく)を起こすことも考えられます。
小型犬の場合は、喉で詰まって窒息のリスクも。
殻をむかずに、そのままテーブルに置いていたものを盗み食い…という危険性もありますので、気を付けましょう。
もし、殻付きのまま丸のみしてしまった場合は、ワンちゃんがケロッとしていても念のためすぐに動物病院に相談してください。
結石のリスク
ピーナッツには、マグネシウムが含まれます。
マグネシウムは、もちろん犬にとって必要な栄養素ではありますが、何らかの原因で尿がアルカリ性に傾いてしまった時にマグネシウムを摂取すると、ストルバイト結石になるリスクがあります。
すでに、尿結石を起こしたことがあるワンちゃんや、泌尿器系にトラブルがあるワンちゃんには、ピーナッツを与えないほうがいいでしょう。
ただし、ピーナッツに含まれているマグネシウムは少量です。
健康体の犬なら、大量に食べない限りは、それほど気にしなくてもいいでしょう。
ピーナッツチョコなどの加工品はNG
ピーナッツは、人間用のお菓子やおつまみなどにも、よく使われていますね。
人間用に味付けされて加工されたピーナッツを犬に与えるのは、絶対にやめましょう。
ピーナッツチョコのピーナッツだけを犬に取り出して与えるのもNGです。
チョコレートの成分は犬にとって毒です。
チョコの中からピーナッツを分けたとしても、チョコの成分がピーナッツに染みている可能性もあります。
また、人間用に、ほどよく塩味のついたミックスナッツなども犬に与えるのはやめましょう。
人間にとっては気にならない塩分量も、犬にとっては多すぎます。
また、塩分以外にも様々な添加物が犬にどんな影響を与えるのか、まだまだ解明されていません。
犬に人間用の加工品を与えるのは、かなりリスキーなことだということを覚えておきましょう。
犬がピーナッツを食べるメリットや栄養効果
それでは、犬がピーナッツを食べるメリットや栄養効果についてみていきましょう。
不飽和脂肪酸はコレステロール低下に役立つ
ピーナッツの栄養効果について語るのは、なかなか難しい側面があります。
というのも、ピーナッツを食べる際の注意点としてあげた「ピーナッツの豊富な油脂分」に、多くの栄養が含まれるからです。
つまり、ピーナッツの油脂分はメリットとデメリット、表裏一体に兼ね備えているということ。
まず、ピーナッツの油脂分には、オレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸が含まれます。
これらの不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らし、皮膚や被毛(ひもう)を保つのに不可欠です。
ただし、摂取しすぎると、上述したような下痢・嘔吐や膵炎のリスクがあります。
不飽和脂肪酸のメリットを享受するには、ピーナッツを食べさせる上限量をしっかりと守るということにつきます。
ビタミンEの抗酸化作用で老化防止
ピーナッツには、ビタミンEも豊富に含まれます。
ビタミンEは抗酸化作用が強いビタミンであり、摂取することによって皮膚を健康に保ち、毛ヅヤを良くし、がんを抑制する効果が期待できます。
また、ヒトへの研究ではありますが、目の病気にも良い効果を与えるのではないかという期待も。
ビタミンEは不足すると病気になってしまうため、適度に摂取することが望ましい栄養素です。
犬はピーナッツバターを食べても大丈夫なの?
ピーナッツの代表的な加工品といえば、ピーナッツバターですね。
ピーナッツバターは、犬用のおやつとしても販売されており、「あげても大丈夫なのでは?」と考えている飼い主さんが多いかもしれませんね。
もちろん、犬用に販売されているピーナッツバターなら、パッケージの上限量を守って犬に与えても大丈夫です。
ただし、人間用に調味されたピーナッツバターを犬に与えるのはやめましょう。
砂糖や油脂分が添加されており、高カロリーで犬の健康によくありません。
ごく少量ならピーナッツを食べさせても大丈夫!
今回は、犬がピーナッツ(落花生)を食べられるのかを細かく確認していきました。
薄皮をとった状態で、細かく刻んだりペースト状にしたりしたピーナッツを、ごく少量与える程度なら、犬にとっても美味しいおやつとなるでしょう。
ただし、ピーナッツには多くの油脂分が含まれるため、大量に摂取すると犬にとって有害。
量や与え方に気を付けることを忘れないようにしましょう。