犬はパンを食べていい?アレルギーは大丈夫?塩分やカロリーに注意
「パンを食べていると愛犬からおねだりされて困る」という飼い主さんも多いのではないでしょうか?
なぜか「パンが好き」という犬が多いようです。
でも、「犬はパンを食べていいの?」と愛犬にパンを与えるのに躊躇(ちゅうちょ)してしまうという方も多いと思います。
特に気になるのは、アレルギーのこと。
犬は、果たしてパンを食べても大丈夫なのでしょうか?
今回は、犬がパンを食べていいのかということについて解説します。
アレルギーの可能性や塩分量・カロリーについても確認していきましょう。
犬はパンが好き?
飼い主さんがパンを食べ始めると、「ワンワン(ちょうだい!)」とおねだりにくるワンちゃんは多いようです。
犬は、とりわけ嗅覚(きゅうかく)が発達しています。
パンから立ちのぼる香ばしい香りにつられて「ほしい!」と訴えているというわけですね。
また、多くの犬にとっての主食はドッグフードです。
ワンちゃんにとってパンは普段食べ慣れないものなので、美味しく感じるのかもしれません。
犬はパンを食べていい?
まず、犬が小麦粉・イースト菌・塩・砂糖・バターのみでできたシンプルなパンを食べて、中毒症状を起こす可能性はありません。
つまり、犬はシンプルなパンなら食べても大丈夫と言えます。
ただし、それはあくまで「中毒症状を起こさない」というだけのこと。
パンには、想像以上に多くの塩分や糖分、油脂分、添加物等が含まれていて、高カロリーであるため、犬の健康を害する可能性があります。
また、小麦粉に対してアレルギーを持つ子も多く、安易に与えるにはリスクが高すぎます。
また、例えば一口に食パンと言っても、メーカーによって様々な原材料を使い、原材料の分量も様々です。
そのため「シンプルな食パンだからOK」と単純に示せません。
さらに、人間の味覚に合わせて美味しく作られているパンを犬に与えてしまうと、犬にとっての主食であるドッグフードを食べなくなるという弊害が出る可能性も。
犬はパンを食べても大丈夫だけど塩分やカロリーに注意
犬はシンプルなパンなら中毒症状を起こしませんが、塩分やカロリーには気を付けないといけません。
体重5kgの犬が食パン1枚食べると、1日の塩分量過多に
まず、塩分量を考えていきましょう。
一般的に6枚切りの食パン1枚には、約0.8gの塩分が使われています。
体重5kgの犬がもし、6枚切りの食パン1枚を食べてしまったら、もうその時点で1日の塩分必要量をオーバーしてしまいます。
人間同様、犬にとっても塩分は必要なものです。
塩分が不足すると、運動障害や体重減少など様々な弊害が出てきます。
ただ、ドッグフードを主食としている犬の場合、すでに完全栄養食であるドッグフードの中にも塩分が含まれています。
さらにパンを食べてしまうと、塩分過多となり、腎臓や心臓に負担がかかる可能性が出てくるというわけです。
体重5kgの犬が食パン1枚食べると、1日に必要なカロリーの約半分に
また、パンのカロリーの高さも気を付けなければいけません。
例えば、一般的な6枚切り食パンのカロリーは、約158キロカロリーです。
体重5kgの避妊・去勢済みの若い犬にとって、1日に必要なカロリーは350キロカロリーほど。
つまり、体重5kgの犬が食パン1枚食べてしまうと、1日に必要なカロリーの半分程度を摂取したことになります。
シンプルなパンでもロールパンやクロワッサンなどはカロリーが高めなので、さらにおすすめできません。
揚げパンやドーナツなども絶対にNGです。
油脂量が多すぎるパンの場合、下痢や嘔吐(おうと)を起こしたり、膵炎(すいえん)を引き起こしたりする可能性もあります。
絶対に与えてはダメなパンの種類
犬に与える場合、シンプルなパンなら中毒を起こす心配はありません。
しかし、例えば「ちょっとレーズンが入っているだけ」「ちょっとチョコがかかっているだけ」というパンを安易に与えてしまって、大変なことになってしまうこともあります。
人間にとって「シンプルでしょ?」というパンでも、犬にとっては有害であるということを頭に入れておきましょう。
犬が中毒を起こす食材でパンに使われていそうなものといえば、ネギ類(タマネギ・長ネギ・ネギなど)や、レーズン、チョコレート、ココア、マカダミアナッツです。
レーズンパンや総菜パン、菓子パン、クルミ系のパンには注意してください。
こういったパンの場合、成分が浸透していることが充分に考えられますので、例えば「レーズンを取り除いた、その他の部分」を与えることもやめてください。
また、カレーなどの香辛料が含まれているパンもNGです。
万が一、中毒を起こす可能性のあるパンを食べさせてしまった場合は、早急に動物病院を受診することをおすすめします。
中毒を起こす食材を食べたからといって、全ての犬が中毒になるというわけではなく、どのぐらいの量を食べたら中毒を起こすのかということも個体差があるため、はっきりとは分かっていません。
しかし、中毒症状によって死に至るケースがあるのもまた事実です。
食べてすぐなら、吐かせるという応急処置も可能。
「心配しすぎ」ということはありませんので、早急に動物病院へ連絡しましょう。
犬はパンで小麦アレルギーになる?
パンの主原料である小麦は、アレルギーを起こしやすい食材と言われています。
犬は、小麦に含まれているグルテンを上手く分解できないからです。
そもそも、小麦アレルギーがあるワンちゃんには、絶対にパンを食べさせてはいけませんが、今現在、小麦に対するアレルギーがない子でも、いつ小麦アレルギーを発症するかは分かりません。
また、小麦アレルギーがない子でも、大麦やライ麦などにアレルギーを持っている子の場合、小麦に対するアレルギーも持っている可能性が高いでしょう。
パンを生まれて初めて食べさせる場合は、まず少量から様子をみることをおすすめします。
パンを食べた後に皮膚・耳・目のかゆみや炎症、嘔吐や下痢などの症状があらわれるようなら、もしかしたら小麦アレルギーかもしれません。
症状が出た段階ですぐに動物病院を受診し、獣医の診断をあおぎましょう。
ちなみに、小麦が主原料ではない米粉パンやライ麦パンなども小麦のグルテンを混ぜ込んでいることも多いため、要注意です。
食欲の落ちた犬や、薬を飲ませる時にはパンが有効かも!?
パンは犬にとって有毒ではありませんが、積極的に摂取すべき食材ではないというのが、現在のところの結論です。
でも、実はパンが犬に役立つこともあります。
パンが好きな犬が多いという利点を生かす使い方をすれば、魔法のアイテムとなり得ます。
例えば、食欲が落ちて生命の危機にあるワンちゃんでも、食パンならバクバク食べたという報告があります。
パンは高カロリーの栄養食なので、生命を繋げる役目を果たしてくれます。
また、薬を飲ませるときにパンで薬を包みこんでおくと、薬に気づかず、あっという間に平らげてしまったという報告も。
つまり、パンは犬にとって常用すべき食材ではありませんが、困った時にお助けアイテムとして使うには、おすすめの食材ということです。
「ここぞ!」という時に、登場させると効果的ですよ。
犬専用のパンもあり
人間用のパンだと、どうしても塩分や糖分、油脂分が過多になりがちです。
また、どのぐらいの量を与えていいのかも、商品によってかなり違うため分かりづらいですね。
そこでおすすめなのが、犬専用のパンです。
犬専用のパンにもいろいろな種類がありますが、共通しているのは1日に与えて良い量がパッケージにしっかりと明記されているという点です。
与える量をしっかりと守って与える分には、弊害はほぼないと考えていいでしょう。
ただ、犬の健康を考えるなら、できれば素材の良さや製法にこだわりをもって作っているパンを選んでほしいと思います。
ドッグフードでも言えることですが、「犬専用」というのは「安全」「健康」であるということと同義であるとは限りません。
安価な商品の中には「犬専用」だからと、粗悪な原材料で作っているものもたくさんあります。
飼い主さんが、納得できるものを愛犬に食べさせてあげましょう。
犬に人間用パンはNG!犬専用こだわりパンがおすすめ
今回は、犬はパンを食べていいのかということを中心にお伝えしました。
犬に人間用のパンを食べさせるのは、よほどの事が無い限りはおすすめできません。
ただし、犬専用のこだわりパンなら、おやつとして与えても大丈夫。
犬専用といっても、素材をよく吟味してくださいね。
また、いずれにしても小麦アレルギーがあるワンちゃんにはパンはNGですよ。