犬に豆乳をあげても大丈夫!適量や与える時の注意点
大豆を原料としたヘルシーな飲み物「豆乳」。
豆乳に含まれる栄養成分には様々な健康作用があるので、人間の間ではとても人気のある飲み物です。
でも「人間にいいから」と安易に犬に与えていいものか悩みますね。
そこで今回は、犬に豆乳を与えても大丈夫なのかということを徹底検証します。
また、どのぐらいの量を与えてもいいのかということや、気になるアレルギーや牛乳との関係なども。
ワンちゃんのオヤツで人気の豆乳クッキーや豆乳ホイップクリームも取り上げますのでお楽しみに!
犬に豆乳を与えても大丈夫?
豆乳の主原料は大豆です。
大豆をゆでて、こしたものを豆乳と呼びます。
主な成分は、大豆由来のタンパク質。
豆乳には、犬にとって有毒な物質は含まれていませんので、犬に豆乳を与えても大丈夫です。
ドッグフードの中に、豆乳の成分である大豆を使っているメーカーもあります。
犬の多くは、豆乳の甘い香りが好きなので、食欲が落ちている時などにフードにかけて与えると食欲がアップするという報告もあります。
ただ、与え方によっては下痢を起こすこともあり、またアレルギーを持つワンちゃんもいます。
犬が飲む豆乳の種類は「調整豆乳」か「無調整豆乳」どっちが良い?
犬が飲むなら「調整豆乳」と「無調整豆乳」のどちらが良いのでしょうか?
答えはズバリ「無調整豆乳」です。
無調整豆乳とは、大豆と水分からできているもので、大豆固形分が8%以上含まれています。
無調整豆乳は特に味付けもされておらず、大豆の青くささを感じやすいでしょう。
一方の「調整豆乳」は、豆乳に砂糖や食塩、香料などを添加して、無調整豆乳を飲みやすく仕上げたものです。
犬に与えるなら塩分や糖分の含まれていない「無調整豆乳」がベストです。
犬が飲む豆乳の適量や与え方
犬が飲んでも大丈夫な豆乳ですが、与える量には制限があります。
目安は、1日に大さじ1杯程度。
犬に与えるおやつとしての目安ならエサの量の20%程度までとされますが、その量を与えてしまうと下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
例えば、5kgの犬なら1日に380キロカロリー程度必要なので、おやつとしては76キロカロリーまでOKです。
無調整豆乳なら100ml以上飲んで良いことになりますが、これは明らかに与え過ぎです。
豆乳を与える際は、そのまま「飲ませる」のではなく、フードのふりかけやおやつの材料として使うのがベストです。
フードに大さじ1杯程度の豆乳をかけて、風味をつけてあげるのもいいでしょう。
手作りのおやつに使うなら、なるべく1日に与えるおやつの量に含まれる豆乳の量が、大さじ1杯を超えないように設定できるといいですね。
犬に豆乳をあげても大丈夫だけど注意点が!
犬に豆乳をあげても大丈夫ですが、いくつか注意点があります。
確認しておきましょう。
添加物に注意
上で説明した「調整豆乳」を犬に与える場合は、添加物に注意しましょう。
調整豆乳には、食塩や砂糖の他に、植物油脂や香料なども添加されています。
それらは、全て犬にとって不要なものです。
さらに豆乳飲料になると、調整豆乳で添加されているものに加え、着色料や果汁、コーヒー、牛乳、穀類の粉末、シリコーン樹脂などが添加されていることもあります。
豆乳を愛犬に与えるなら、裏側の成分表示をしっかりとチェックして、なるべく添加物の少ないものをチョイスしましょう。
豆乳アレルギーをもつ犬も
まれに、豆乳に対してアレルギーを持つ犬もいます。
大豆に対するアレルギーがあるワンちゃんは、豆乳もNGですので注意しましょう。
食事でアレルギーを出したことがないという子でも、念のため生まれて初めて豆乳を与えるときは、少量から様子をみましょう。
また、今まで豆乳を飲んでアレルギーが出たことがないのに突然アレルギーを発症することもありますので、油断は禁物です。
ちなみにアレルギーになると、口周りや皮膚、耳の内側などがかゆくなったり、下痢を起こしたりします。
ヒドい場合は、血圧が低下し、呼吸困難や意識障害、痙攣(けいれん)などのアナフィラキシーショックと呼ばれる状態に陥ることも。
処置が遅れてしまうと死に至ることもあるので、愛犬の体調に変化があった場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
飲み過ぎると消化不良に!下痢や嘔吐の危険性
よく犬に与えて下痢を起こすのが、食物繊維が多すぎる野菜や果物です。
豆乳の場合は、ほとんど食物繊維を取り除いているため、食物繊維が原因となって下痢となることは考えにくいのですが、その代わりに水分が非常に多い食べ物となります。
一度に大量に摂取してしまうと、下痢を起こす可能性があります。
また、豆乳に含まれるレクチンやサポニンといった成分も大量に摂取しすぎると、下痢を引き起こす原因となり得ます。
レクチンの場合は、腸の表面にくっついて腸が栄養を吸収しにくくしてしまいます。
サポニンは、抗酸化作用に優れた成分ですが、脂質を壊す作用があります。
腸表面の脂肪にもアタックをかけ、腸の炎症を引き起こす可能性があります。
腎臓への負担
豆乳には、約3%程度のタンパク質が含まれます。
腎臓疾患のある子の多くは、タンパク質の摂取制限をかけているはずです。
豆乳をフードにかける程度のことでも、タンパク質が過剰になってしまう可能性があります。
また、豆乳にはカリウムも含まれていますので、腎臓疾患のある犬には与えないほうが無難でしょう。
結石のリスク
豆乳には、マグネシウムが豊富に含まれています。
何らかの原因により、尿がアルカリ性に傾いた時にマグネシウムを摂取すると、マグネシウムはアルカリ性下では溶けずに結合してしまい、尿結石になってしまいます。
この症状を「ストルバイト結石」と言います。
現在、健康なワンちゃんならそれほど気にするほどの量ではありませんが、現在ストルバイト結石になっている子の場合は、ミネラル豊富な豆乳の摂取は見合わせておいたほうが無難です。
犬が豆乳を飲んで得られるメリットや健康効果
それでは次に、犬が豆乳を飲んで得られるメリットをあげておきます。
食欲減退気味のワンちゃんに
ドッグフードの食いつきがよくないワンちゃんや、夏バテで食欲が落ちているワンちゃんには、上手に豆乳を使ってみましょう。
例えば、いつものフードに豆乳を少しかけてあげるだけで、ぐっと風味がアップするため、食いつきが良くなることも。
また、暑い季節には、豆乳を凍らせてアイス状にしたものを散歩から帰宅した時などに与えると、熱中症予防にもなります。
豆乳にはミネラルが豊富!
豆乳には、ミネラルが豊富に含まれています。
酵素を助ける働きをするマグネシウムや、不要なナトリウムを排出するカリウム、糖質・脂質の代謝を促すモリブデン、貧血予防や被毛(ひもう)維持に役立つ銅など、含まれているミネラルの種類も多彩です。
いずれも、摂取過多になると悪影響が出るものですが、1日に大さじ1杯程度でおさえるなら、適度な栄養補給になりますね。
若々しさを保つイソフラボンも含まれている!
豆乳には、若々しさを保つ成分であるイソフラボンも豊富に含まれています。
イソフラボンは、体にとって毒である活性酸素を取り除いてくれる抗酸化作用を持っていて、老化のスピードを遅くする効果があります。
豆乳200mlに約55mgのイソフラボンが含まれていますので、大さじ1杯には4mgほどのイソフラボンが含まれることに。
イソフラボンは、骨粗しょう症の予防や循環器系の疾患の予防にもなると言われています。
犬にあの豆乳加工品は大丈夫?
豆乳をそのまま大量に飲ませるのは、NGでしたね。
とすると、やはり豆乳を使った加工品に目が向きます。
犬に豆乳の加工品を与えてもいいのかを確認していきましょう。
豆乳クッキー
豆乳クッキーは、犬用のものならおすすめの健康おやつですが、人間用のものはダメです。
人間用の豆乳クッキーはとても甘く、油脂類もたくさん入っていて、犬にとっては体への負担が大きすぎます。
甘味は毒ではありませんが、カロリー過多となり、将来の糖尿病のリスクもあげてしまいます。
豆乳ヨーグルト
豆乳ヨーグルトの場合は、無糖のものなら人間用のものでも犬に与えて大丈夫です。
乳酸菌も共に摂取できるタイプが人気ですね。
現在のところ、豆乳ヨーグルトで犬専用のものは発売されていないようですが、犬用のケーキ等に豆乳ヨーグルトを使ったものは見かけます。
豆乳ホイップクリーム
人間用に販売されている豆乳ホイップクリームも、犬に与えても大丈夫です。
ただし、砂糖を使わずに泡立ててください。
こちらも人間用で充分なので、あえて犬用の豆乳ホイップクリームは発売されていません。
しかし、豆乳ホイップを使ったケーキは、愛犬家にも大人気。
豆乳ホイップクリームで可愛く華やかに仕上げられた誕生日用ケーキなど、愛犬用に購入される方も多いです。
豆乳アイス
犬は、豆乳アイスも食べられます。
ただし、こちらも人間用のものは甘すぎるので、犬には与えないでくださいね。
犬に食べさせるなら、犬用として販売されている豆乳アイスクリームか、無調整豆乳を使って自宅で手作りしても。
手作りするなら、砂糖を入れずに豆乳だけで作りましょう。
アイスクリームメーカーがあれば、簡単に手作りできます。
犬には豆乳と牛乳どっちが良い?
「牛乳の代わりにヘルシーな豆乳を与えようかな?」と考えている方は、ちょっと待ってください!
実はこの2つ、全く別物ですよ。
たとえ牛乳を飲めない子でも、豆乳で置き換えるのはNGです。
豆乳≠牛乳!栄養価が全く違う!
豆乳と牛乳は2つとも「乳」という字がついていますが、そもそも全く違う成分を含む飲み物です。
豆乳は「乳」という文字がついていますが、それは見た目が牛乳に似ているからであって、成分的に乳製品であるというわけではないのです。
つまり、豆乳と牛乳は「どっちが良いか」という比較対象にはなり得ません。
例えば、カルシウムが含まれている量を比較すると、豆乳は牛乳の約8分の1程度しか含まれていません。
また、牛乳に含まれるビタミンAも豆乳には含まれません。
豊富に含まれているタンパク質も豆乳は植物性ですが、牛乳は動物性です。
つまり、牛乳の代わりに豆乳を飲ませるというのはNG。
牛乳の場合、体重5kgの犬なら1日に50~100mlほど飲ませてもOKですが、豆乳を同量飲ませてしまうと、体に不調をきたします。
豆乳は先に記載したように、ごく少量を与えるだけにとどめましょう。
犬には犬用牛乳やヤギミルクがおすすめ
ちなみに、犬に人間用の牛乳を飲ませると下痢になる場合があります。
犬には、乳糖を分解する成分を持たない子が多いので、牛乳を飲むと下痢をしてしまいます。
乳糖不耐症の子には、犬用の牛乳がおすすめです。
犬用の牛乳は、あらかじめ乳糖を分解する成分を混ぜていたり、そもそも乳糖自体が入っていなかったりします。
犬用牛乳でもアレルギーが出る子には、犬用のヤギミルクがいいでしょう。
ヤギミルクは、アレルゲンとなりにくく栄養価も高いため、牛乳の代わりを充分に果たしてくれます。
犬に豆乳を与えるなら少量で!豆乳クッキーなどの加工がおすすめ
今回は、犬に豆乳をあげても大丈夫なのかというところから、与える量やアレルギーなど気になるポイントもおさえていきました。
犬に豆乳を与えるなら、1日に大さじ1杯程度を目安にして、与えた後は犬の様子をよく観察しておきましょう。
大さじ1杯程度というと、かなり少ない量になります。
豆乳クッキーや豆乳ホイップクリームなど、加工しておやつにすると満足度もアップしますよ。