犬はプルーンを食べても大丈夫?中毒症状の危険性あり!
他の果物に比べてビタミンやミネラルの含有量が多く、抗酸化作用も高いことから「ミラクルフルーツ」とも呼ばれ愛されているプルーン。
また、プルーンには食物繊維がバランスよく含まれており、便秘解消にも役立ちます。
「愛犬が便秘がち」という場合、「プルーンを食べさせることで便秘を解消できるのでは?」と考えている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、犬がプルーンを食べても大丈夫なのか、中毒症状は出ないのかについて特集します。
犬はプルーンを食べても大丈夫?
犬には、プルーンを食べさせないほうがいいと言われています。
その理由としては、大きく3つ。
まず1つ目は、アミグダリンと呼ばれる中毒物質の存在。
そして2つ目は、豊富に含まれているカリウムの問題。
最後に、人間では便秘解消に役立つとされる食物繊維量の問題です。
犬がプルーンを食べたからといって、すぐに何らかの問題が出るというわけではない場合も多く、飼い主さんの中には愛犬にプルーンを常用させている方もいらっしゃるようです。
しかし、実は、犬にプルーンを食べさせるのはダメというのが定説となっています。
今回の記事では、なぜ犬にプルーンはダメなのかということを中心にお伝えしたいと思います。
犬がプルーンを食べると起こる中毒症状
犬がプルーンを食べると起こる中毒症状や、犬の体に与える影響についてみていきましょう。
アミグダリンによる中毒が起こるかもしれない
可能性は非常に低いとは思われますが、アミグダリンという青酸配糖体(せいさんはいとうたい)の中毒作用によって、呼吸困難やけいれん、嘔吐(おうと)、下痢といった中毒症状が起こるかもしれません。
プルーンのどこにアミグダリンが含まれているのかというと…、種子や茎、葉。
また、未成熟なプルーンにもアミグダリンは含まれています。
つまり、プルーンの種子や茎、葉や未成熟な実を食べさせない限りは、プルーンからアミグダリンを摂取する確率はほぼないということ。
もし、プルーンを丸ごと1個犬に与えてしまうと、種子にアミグダリンが含まれているため、かなり危険です。
また、家庭菜園等でとれたプルーンが未成熟だった場合も、同様に危険。
気を付けましょう。
高カリウム血症になるかもしれない
生のプルーン100gに含まれるカリウム量は、約220mg。
この量は、様々な果物の中でトップ20に入る程度ではありますが、決して少ない量ではありません。
ちなみに、乾燥のドライプルーンに含まれるカリウム量は、100g中に480mgと生の状態の倍以上となります。
この量は、確実に「多い」と言えるレベル。
カリウムには、体内に入ってきた余分な塩分や老廃物を排出する作用があり、犬にとっても必要な栄養素ではあります。
でも、腎機能が低下している犬にとっては、カリウムを過剰に摂取することは命取りになることも…。
血液中のカリウム濃度が過剰になると、高カリウム血症という病気を発症する可能性があります。
高カリウム血症になると、手足のしびれや筋力の低下、吐き気などが起こり、重篤になると不整脈から心停止してしまうことも。
体に必要とされる栄養素でも、過剰摂取は危険です。
食物繊維×ソルビトールで強烈な下痢になる可能性あり
プルーンには、100gあたり約1.9gの食物繊維が含まれています。
食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、プルーンの場合、ほぼ1:1の割合でバランスよく含まれているのが特徴です。
また、プルーンにはソルビトールと呼ばれる糖アルコールの一種が含まれています。
プルーンの場合、食物繊維とソルビトールの相乗効果によって、非常に強い緩下(かんげ)効果があるとされています。
人間の場合、少量のプルーンを食べることによって、便秘をすっきり解消することができます。
でも犬に、プルーンを食べさせると、食物繊維×ソルビトールの緩下効果が強すぎるため、強烈な下痢を起こすことがあります。
「ちょっと便秘がち」というワンちゃんには、プルーンは強すぎるかもしれません。
もちろん普段、便秘をせず、どちらかといえばおなかが緩いという子にプルーンを食べさせるのはかなり危険です。
少量でもダメ?犬のプルーンによる致死量は?
犬にプルーンを食べさせると、「アミグダリン中毒」「高カリウム血症」「食物繊維×ソルビトールによる下痢」が起こる可能性があるかもしれないということをお伝えしました。
しかし、実はどのぐらいの量のプルーンを食べたら、犬に影響が出るのか、ということはわかっていません。
つまり、犬のプルーンによる致死量は不明です。
ただ、どんな中毒物質にも言えることですが、同じ体重、同じ犬種、同じ年齢の犬でも、感受性にはかなりの個体差があります。
大量に食べても平気な子もいれば、ほんの少量食べただけで下痢や嘔吐に苦しむ子もいます。
愛犬がプルーンに対して、どの程度の感受性があるのかということがわからない限り、ほんの少量のプルーンでも食べさせないほうが無難でしょう。
愛犬がプルーンを食べてしまった場合の対処法
それでは、誤って愛犬がプルーンを食べてしまった場合は、どうすればいいのでしょうか?
口の中をチェックして残っているプルーンをかきだす
まずは、愛犬の口の中をチェックして、口の中に残っているプルーンをかきだしましょう。
できれば、ガーゼなどを使って、細かい欠片までしっかりと取り除いてあげるといいでしょう。
ただし、飲み込んでしまったものを無理に吐かせようとすることはやめてください。
吐しゃ物で窒息する可能性があります。
また、塩水やオキシドールを飲ませて吐かせるという方法も、逆に中毒を起こす可能性がありますので、危険です。
動物病院へ連絡を
プルーンを食べたことがわかったら、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
その際に伝えることは…
- いつ、どのぐらいの量のプルーンを食べたのか
- 今の健康状態(吐き気・嘔吐・下痢・麻痺などないか)
- 愛犬の犬種・体重・年齢・病歴など
です。
もし、プルーンのパッケージなどが残っている場合は、それらを持参してみましょう。
愛犬がプルーンを食べないようにする対策
愛犬がプルーンを食べないようにするには、飼い主さんが日ごろから対策をしておく必要があります。
愛犬の目のつくところにプルーンを置かない!
まず、愛犬の目のつくところにプルーンを置かないようにしましょう。
テーブルの上に置いていたとしても、留守中にテーブルの上に上がって食べてしまう可能性はあります。
愛犬が入らない部屋にしまうか、高い戸棚の中や冷蔵庫の中などにしまうようにしましょう。
また、プルーンを食べた後のごみ処理も念入りに。
例えば「室内のオープンタイプのごみ箱にプルーンの種を捨てる」はアウトです!
プルーンの種は、絶対に愛犬があさる可能性のないごみ箱に捨てましょう。
散歩途中にプルーンの木がないかチェックを
最近は、家庭菜園や自宅の庭にプルーンを植えているお宅も増えてきました。
散歩途中に、プルーンの実が落ちている可能性もゼロではありません。
季節ごとに、散歩コースを見直しましょう。
ちなみに、プルーンの収穫時期は7~9月。
もちろん、それ以前にも、未成熟なプルーンが落下している可能性は十分にあります。
気を付けましょう。
プルーン以外に犬が食べてはダメな果物
プルーン以外にも犬が食べてはダメな果物があります。
ぶどう
ぶどうのどの成分が、犬に中毒を起こすのかは分かっていませんが、犬がぶどうを食べると、急性腎機能不全を起こしたり、死亡したりする例が報告されています。
致死量としては、体重1kgに対してぶどう3~57gという数字があげられています。
つまり、犬によって感受性にはかなり差があるということです。
ぶどうを干したレーズンも、もちろんNG。
特に、レーズが入ったパンなどに注意しましょう。
アボカド
野菜のようですが、果物に分類されるアボカド。
アボカドも、犬には与えないほうがいいでしょう。
アボカドには、ペルシンという殺菌成分が含まれます。
犬が、ペルシンによって中毒を起こした事例はごく稀(まれ)ですが、牛や山羊には中毒成分として認識されています。
また、アレルギーを起こす可能性が高いと言われています。
いちじく
いちじくには、ソラレンという紫外線吸収物質と、フィシンと呼ばれるたんぱく質分解酵素が含まれています。
ソラレンを大量摂取すると、下痢や嘔吐、脱水症状が起こります。
フィシンを摂取すると、刺激によって口腔内の荒れや口内炎があらわれることが報告されています。
また、アレルギーの可能性も高い果物です。
ザクロ
ザクロには、ペレチエリンやタンニン、エストロンといった物質が含まれています。
ペレチエリンは、ザクロの種子や果皮に含まれ、多量に摂取すると下痢や嘔吐、神経症状などが出ることも。
また、タンニンも多量摂取により、胃の荒れや便秘が起こります。
さらに、エストロンは女性ホルモンに似た物質なので、オス犬には厳禁とされています。
種子や果皮、未熟な実もNG
果物の種子や果皮、未熟な実には、中毒物質が含まれることが多いです。
これは、果物が害虫等に食べられないよう自衛している作用の一つですが、その物質を犬が摂取してしまうと、何らかの中毒症状を起こす可能性があります。
また、固い果皮や種子には、犬が消化を苦手とする食物繊維も多量に含まれています。
消化不良を起こす可能性はもちろんのこと、大きすぎる種子などを丸飲みしてしまうと、喉や消化器官に詰まることも…。
そうなると腸閉そくとなり、外科的手術で取り出すしか方法がなくなります。
犬には、熟した実のみを与えるようにしましょう。
便秘の愛犬に与えたいプルーン以外の食べ物
最後に、便秘の愛犬に与えたいプルーン以外の食べ物をご紹介します。
果物や野菜のほとんどには、食物繊維が含まれています。
食物繊維と水分が確保されれば、便秘に効果が期待できます。
つまり、「犬も食べていい」と言われている果物や野菜なら、何でも便秘に効果があるはず!
犬におすすめの果物や野菜は、
【果物】
【野菜】
です。
また、無糖のヨーグルトなども良いとされます。
ただし、あくまでおやつとして与えるということを忘れないでください。
つまり、与える量はごく少量。
どんなに体にいい食べ物でも、与えすぎると毒となります。
しつこい便秘に悩んでいる場合は特に、少量しか与えられない人間用の食材では十分な便秘対策にはならないかもしれません。
そういう場合は、運動や水分摂取量を見直すのはもちろんのこと、胃腸ケアを重視したフードに切り替えるのも一つの手段。
まとめ:犬にプルーンを与えるのは危険!便秘解消にはまず水分や運動を
今回は、便秘解消のために、犬にプルーンを与えても大丈夫なのか、ということを中心にお伝えしました。
犬は、プルーンを食べることによって、中毒を起こす可能性があります。
犬には、プルーンを与えないようにしましょう。
便秘解消に他の果物や野菜を与えてみるというのもいいとは思いますが、まずは水分や運動をしっかりと。
便秘の原因は様々なので、頑固な便秘に悩んでいるようなら、獣医師に相談するといいでしょう。