犬が銀杏(ぎんなん)を食べたらどうなる?中毒症状や致死量は?
「犬に銀杏を食べさせてはいけない」と聞いたことがあるという飼い主さんも多いと思います。
人間にとっても、銀杏はそれほど大量に食べる食材ではありませんし、犬が銀杏を口にするリスクは非常に低いと思われます。
でも…やはり油断大敵!
- きれいな銀杏並木を愛犬と散歩していたところ、落ちていた銀杏を食べてしまった
- 茶碗蒸しに入っていた銀杏を知らない間に、愛犬が食べてしまった
など、「困った!」という状況になる飼い主さんも意外と多いようです。
銀杏を食べた量が少量であっても、中毒症状が出るのか気になりますよね。
そこで今回は、犬が銀杏を食べたらどんな中毒症状が出るのか、徹底解説します。
銀杏を食べてしまった場合の対処法などもお伝えしますので、参考にしてくださいね。
犬が食べても大丈夫?銀杏(ぎんなん)とは?
銀杏(ぎんなん)とは、秋に黄色く色づくイチョウの種子です。
9~11月にイチョウ並木を歩くと、そこらじゅうに銀杏が落ちている場合もありますね。
銀杏には、独特の臭い成分が含まれるため、銀杏が熟すとかなり臭くなります。
このニオイは、銀杏を包んでいる果肉部分から発せられていて、果肉は食用となりません。
人間が食べている銀杏は、この果肉の中にある種子の部分です。
茶碗蒸しが銀杏を使った代表的な料理ですが、銀杏を炒(い)っておつまみにして食べる方もいらっしゃるよう。
ただし、銀杏を食べ過ぎると中毒症状が出ることから、人間でも銀杏の食べ過ぎには気を付けないといけないと言われています。
そして銀杏の中毒物質は、犬にとっても有害です。
そのため、犬に銀杏を食べさせてはいけません。
なぜダメ?犬が銀杏を食べると危険な理由
では、なぜ犬が銀杏を食べると危険なのでしょうか?
それは、銀杏の中に神経系の毒が含まれているからです。
この神経毒は「ギンコトキシン」や「メチルピリドキシン」と呼ばれたりします。
犬がギンコトキシンを摂取すると、摂取量によっては中毒症状が出てしまいます。
また、銀杏の外皮には、ギンコトキシン以外にも、皮膚に接触障害を起こす「ギンコライド」という物質も含まれています。
いわゆる皮膚のかぶれのような症状を引き起こすため、こちらも注意が必要です。
犬が銀杏を食べると起こる中毒症状
それでは、犬が銀杏を食べると起こる中毒症状を具体的にみていきましょう。
神経毒であるギンコトキシン(メチルピリドキシン)による中毒症状
ギンコトキシンには、ビタミンB6の働きを抑える作用があります。
ギンコトキシンは犬の体内に入ると、神経毒として作用します。
元気がなくなり、呼吸困難や意識混濁(こんだく)が起こり、痙攣(けいれん)やてんかん発作が起こる可能性があります。
また、嘔吐(おうと)や下痢などの消化器系の症状が出ることもあります。
最悪の場合は死亡することも。
野菜や果物に含まれる中毒物質の中には、加熱によって消失するものもありますが、ギンコトキシンは熱に強い性質を持つため、加熱してもその毒性は変わりません。
ギンコライドによる皮膚炎にも注意!
銀杏の外皮に含まれるギンコライドは、皮膚に接触することによって障害を起こします。
ギンコライドは、皮膚にかぶれなどを引き起こすことが多いようですが、接触することによって頭痛や吐き気などが起こる可能性もあります。
ギンコライドは、スーパーマーケットで外皮を外した状態で販売されている銀杏には含まれていません。
注意したいのは、イチョウ並木の下に落ちている銀杏です。
犬が誤って銀杏を踏みつけてしまったり、口にくわえてしまったりすると、その部分に皮膚障害を起こす可能性があります。
犬が銀杏を食べてから中毒症状が出るまでの時間
犬が、銀杏を食べてから中毒症状が出るまでの時間は、食べた量や犬の解毒能力の強さの違いなどにより、かなり個体差があります。
しかし、多くの場合は、1~12時間以内に症状が現れ、症状がヒドい場合はどんどん状態が悪化してしまいます。
誤って犬に銀杏を食べさせてしまった場合は、12時間は様子をみるようにしましょう。
少量でもダメ?犬の銀杏による致死量は?
それでは次に、犬の銀杏による致死量について解説します。
- 茶碗蒸しに入っていた1粒の銀杏を食べただけ
- 散歩中に1粒の銀杏を食べてしまった
と、少量の場合でも中毒が起こる可能性があるのでしょうか?
犬の銀杏による致死量は、はっきりとしていません。
ただ、かなり個体差があるということと、多くの場合、大型犬よりも小型犬のほうが中毒症状の出る確率が高いということが言えます。
つまり、1粒食べただけで中毒症状に苦しむ子もいれば、2~3粒食べても平気な子もいるということです。
ちなみに、人間の場合も、かなり個人差があるそう。
ただやはり、大人よりも子供のほうが危険。
子供の場合は、7粒ほどで症状が出る場合があるそうです。
大人の場合は、40粒食べたら危ないと言われています。
人間も、銀杏の食べ過ぎには注意しましょう。
愛犬が銀杏を食べてしまった場合の対処法
それでは、愛犬が銀杏を食べてしまった場合、一体どう対処したらいいのでしょうか?
口に残っている銀杏をかきだす
最初にやるべきことは、愛犬の口の中をチェックすることです。
口の中に残っている銀杏があれば、口の中に手をつっこんで全てかきだしてしまいましょう。
飲み込む量が少なければ少ないほど、中毒症状が出る確率は下がります。
素人技で無理に吐かせようとしないこと!
犬が誤飲や誤食をしたときに、よく「食塩水やオキシドールを使って吐かせましょう」と推奨しているサイトがありますが、素人技で無理に吐かせようとするのはかなり危険です。
吐いたものが喉に詰まる可能性もありますし、「結局吐けない…」となったときに、体内には中毒物質とともに過度な塩分やオキシドールがとどまることになります。
動物病院へ!
口の中をチェックし終わったら、動物病院へ行く準備をしましょう。
まず動物病院へ連絡をします。
その際に、
いつ、どのぐらいの量の銀杏を食べたのか
- 愛犬の今の身体状態
- 愛犬の犬種・体重・年齢・病歴
などを伝えておくと、スムーズに診察を受けられます。
診察後は、心配なら動物病院へ愛犬を預けるという手段もあります。
食べ物による中毒は、経過観察が必要です。
特に「仕事に行かなければならないので、愛犬を見守り続けることができない」という場合などは、ぜひ相談してみてくださいね。
「かかりつけの動物病院が開いていない」という場合には、救急をチェックしてみてください。
休日や夜間でも、当番制で救急病院を設置している市町村が多いです。
愛犬が銀杏を食べないようにする対策
最後に、愛犬が銀杏を食べないようにする対策を考えておきましょう。
まず、散歩コースにイチョウ並木がある場合は、拾い食いによる中毒や皮膚のかぶれを防ぐため、秋の間だけでも散歩コースをチェンジするのがおすすめです。
ただし、最近は銀杏のニオイ対策のため、銀杏がつかない雄木を植えているところも多いよう。
イチョウ並木があっても、銀杏が落ちていない場合もありますので、確認してみてくださいね。
また、茶碗蒸しからの盗み食いや人間が落とした銀杏の拾い食いを防ぐには、普段からのしつけも大事。
人間の食べ物を盗んで食べるような習慣をつけさせないようにしましょう。
難しいようなら、「愛犬が届かないところに食べ物を置く」「違う部屋で食事をする」ことも検討してみてくださいね。
そして怖いのは、「銀杏が犬にとって毒」ということを知らない友人や家族らが、愛犬に銀杏を食べさせてしまうこと。
犬に銀杏がダメということを、あらかじめ友人や家族に伝えておく必要がありますね。
まとめ:犬に銀杏はNG!神経系の中毒症状に注意を
今回は、犬が銀杏を食べた場合にいったいどんな中毒症状が出るのか、また食べてしまった場合の対処法をどうすればいいのかということを中心にお伝えしました。
犬が銀杏を食べると、神経系の中毒症状が出る可能性があります。
犬に銀杏はNGですので、気を付けてくださいね。
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