犬は卵の殻を食べても大丈夫?カルシウムが摂れるって本当?
近年、カルシウム補給として、卵殻(らんかく)パウダーが注目されていますね。
「愛犬にも卵殻パウダーを与えたい」と思っている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
特に手作り食を犬に与えている方は、カルシウム補給は悩みの種ですよね。
そこで今回は、犬に卵の殻を与えても大丈夫なのか、徹底検証します。
卵殻パウダーを手作りする方法などお役立ち情報も満載ですよ。
お楽しみに!
犬は卵の殻を食べても大丈夫?
卵の殻は、カルシウム補給剤としてドッグフードの中に配合されていたり、犬用サプリメントとして販売されていたりします。
つまり、犬が卵の殻を食べても毒性はなく、大丈夫ということです。
ドッグフードを主食としている犬なら、カルシウムが不足することはありませんが、手作り食をメインとしている場合は、カルシウム補給は悩ましい問題です。
卵の殻は、手軽に取り入れられる良いカルシウム源となります。
ただし、犬に卵の殻をそのまま与えるのは危険です。
また、与える量や与え方にも気を付けないと、逆に犬の健康を害する場合があります。
特に、ドッグフードを主食としている犬の場合は、注意が必要です。
犬に卵の殻を与えるときの適量と与え方
それでは次に、犬に卵の殻を与えるときの適量と与え方について確認していきましょう。
犬の食事内容や体重によって適量は異なる
卵の殻を犬に与える場合、一番悩むのが「どのぐらいの量を与えてもいい?」ということですよね。
カルシウム量の調整は非常に難しく、一概に「これが適量」という数字を出すことはできません。
犬の食事内容や体重によって、それぞれ適量は異なると考えてください。
まず、手作り食の場合は、毎回その他の食材からどのぐらいのカルシウム量を摂取しているのかによって計算しなければなりません。
犬が1日に必要とするカルシウム量は、だいたい体重1kgあたり100~120mg。
卵の殻から摂取できるカルシウム量は、小さじ1杯で約1800mgです。
ドッグフードを主食としている場合、ドッグフードで1日に必要なカルシウム量はしっかりと補えています。
そのため、卵の殻をドッグフードにプラスする必要はありません。
必ず細かく砕いてパウダー状にすること
卵の殻をそのままの状態で食べさせると、卵の殻の鋭利な部分が喉(のど)に刺さる可能性があります。
特に丸飲み傾向の強いワンちゃんに与える場合は、気を付けましょう。
細かく砕いてパウダー状にしたものを与えるのが原則です。
犬に与える卵殻パウダーの作り方
犬用の卵殻パウダーは市販されていますが、手作りすることもできます。
- 卵の殻をよく水洗いして自然乾燥しストックしておきましょう。
この際、卵殻膜をとってしまうほうが後々パウダー状に崩れやすいというメリットがあります。
しかし、卵殻膜の栄養も一緒に摂取させたい場合は、そのままでも大丈夫です。 - 沸騰したお湯で卵の殻を5~10分程度煮沸消毒します。
- オーブンやレンジなどで完全に乾燥させます。焦げないように注意しましょう。
- すり鉢やミルサーなどで細かく粉状になるまで挽きます。
- 密閉容器で保存します。7~10日程度で使い切りましょう。
なお、すり鉢で卵の殻を粉にする作業は意外と大変です。
できれば、ミルサーやフードプロセッサーなどを使って粉状にしましょう。
また、汚れをしっかりと落とすことはとても大切です。
最終的にしっかりと乾燥させることで、防腐性が上がります。
犬が卵の殻を食べるメリットや栄養効果
それでは次に、犬が卵の殻を食べるメリットや栄養効果についてみていきましょう。
リンの影響を考えずにカルシウムを与えられる
カルシウム補給では、カルシウムの総量だけでなく、リンの量も関係します。
犬にとって理想的なカルシウムとリンの割合は、1~2:1。
手作り食でメイン食材とする肉には、カルシウムよりもリンのほうが大量に含まれています。
肉をメイン食材とした時点で、すでにカルシウムとリンのバランスは崩れてしまっていますね。
カルシウムを補給する必要があります。
そこで、理想的なカルシウム補給剤として注目されているのが、卵の殻。
卵の殻は、リンをほとんど含まず、カルシウム含有量が多いため、リンの影響を考えずにカルシウム補給剤として使えます。
手作り食の栄養計算をしてみて「カルシウムが足りない!」となったら、とりあえず卵殻パウダーをプラスしておけばOKです。
卵殻膜にはコラーゲンも
卵の殻の内側についている薄い膜のことを卵殻膜(らんかくまく)と言います。
卵殻の栄養素はカルシウムがメインですが、卵殻膜にはコラーゲンやヒアルロン酸など、犬の皮膚や被毛、関節などに良い成分が含まれています。
卵殻膜が残っているとパウダー状にしにくいため、市販の卵殻パウダーには卵殻膜は含まれていない場合が多いです。
卵殻パウダーを手作りする際も、卵殻膜が残っているとパウダー状にしにくい…というデメリットがありますが、せっかくなのでぜひ卵殻膜を残した状態でパウダー状にしてみてください。
犬は卵の殻を食べられるけど注意点が!
犬は卵の殻を食べられますが、いくつか注意点があります。
確認していきましょう。
サルモネラ菌に注意?
「健康」「安全」を売りにしていた犬用のおやつからサルモネラ菌が検出され、15匹もの犬が死亡した事件はまだ記憶に新しいですね。
卵といえば、やはりサルモネラ菌が気になります。
ただ現在、スーパーマーケット等で販売されている卵には、ほとんどサルモネラ菌はついていません。
よって、サルモネラ菌に関してはあまり心配する必要はありません。
卵アレルギーの可能性はある?
鶏肉や卵にアレルギーを持っている犬は、多いようです。
卵アレルギーがある場合、卵の殻も与えてはいけないのではないか…と心配になりますが、大丈夫です。
卵の殻には、卵アレルギーの原因とされるタンパク質は含まれていません。
ただ、卵殻膜を残して粉砕した場合には、アレルゲンとなるタンパク質が含まれているので注意しましょう。
消化不良で下痢や嘔吐に
卵の殻は卵殻パウダー状になっていれば、比較的消化されやすいカルシウム源となります。
しかし、粗く砕いた状態だと、消化されにくいと言われています。
消化不良を起こして、下痢や嘔吐を起こす可能性もあるので気を付けましょう。
カルシウムの過剰摂取に注意
卵の殻を犬に与える際に最も懸念材料となるのが、カルシウムの過剰摂取です。
カルシウムが過剰になると、骨折しやすくなります。
「カルシウムは骨を強くする成分なのに、なぜ骨折!?」と驚かれる方も多いと思います。
なぜ、カルシウムが過剰摂取になると骨折が起きやすくなるのかについては、はっきりと分かっていません。
骨の中に過剰にカルシウムが貯蔵されることによって、骨がもろくなる…というような意見もあるようです。
ドッグフードを主食としている犬には、カルシウムを足す必要はありません。
卵の殻をドッグフード主体の犬に与えるのは、絶対にやめましょう。
また、産褥期(出産後、母体が回復するまでの期間)や子犬期にカルシウムを足すという考え方は一昔前。
産褥期や子犬期であっても、しっかりと栄養バランスの良いドッグフードを与えていたら、カルシウム不足にはなりません。
過剰なカルシウム投与は、骨折だけでなく、股関節の異常や背骨・手足の変形などにつながります。
次亜塩素酸ナトリウムで殺菌されている
卵の殻には、サルモネラ菌はほとんどついていないということを前述しましたが、ではなぜ卵の殻にサルモネラ菌がついていないのでしょうか?
それは、次亜塩素酸ナトリウムでしっかり殺菌洗浄されているからです。
薬品で洗浄されていると聞くと、犬の身体に悪影響がないのか気になりますね。
考え方次第とも言えますが、一応、人間の身体にも全く影響のないレベルで殺菌されています。
卵の殻の洗浄に使われる次亜塩素酸ナトリウム濃度は、野菜や果物の洗浄に使ってもOKというレベルのものです。
まとめ:手作り食に活用したい卵の殻
今回は、犬に卵の殻を与えても大丈夫なのかについて特集しました。
卵の殻は、ドッグフードを主食としている犬には不要なものですが、手作り食メインという犬にとっては優れたカルシウム補給剤となりますね。
ぜひ、上手に卵の殻を食事に取り入れてくださいね。