犬は海苔を食べられる?味付けのりは大丈夫?適量や与える時の注意点
例えば、飼い主さんが、焼き海苔の巻かれたおにぎりを食べている時。
海苔の良い香りに誘われて「ワンワン!」と催促しにくるワンちゃんも多いのではないでしょうか?
犬は、とても嗅覚(きゅうかく)が良いので、香りの良い食べ物に食欲を刺激されることが多いようです。
でも、海苔付きのおにぎりを犬に与えても大丈夫なのかと気になりますよね。
そこで今回は、犬は海苔を食べられるのかどうかについて特集します。
犬に海苔を食べさせるなら、適量はどのぐらいなのか、また味付けのりも食べていいのかなどもお伝えしますね。
犬は海苔を食べられる?味付けのりは大丈夫?
海苔にも様々な種類がありますが、原料となるスサビノリやアオサノリには、犬が中毒を起こす成分は含まれていないため、犬は海苔を食べても大丈夫と言えます。
ただし、味付けのりは、砂糖や醤油などが多く含まれているため、犬が食べるのには適していません。
また、味がついていない海苔でも、あまりに大量に犬に与えると、様々な身体症状が起こる可能性があります。
犬に海苔を与える場合は、味がついていないものを少量と覚えておきましょう。
犬に海苔を与えるときの適量と与え方
それでは、犬に海苔を与えるときの適量と与え方を具体的に確認しておきましょう。
犬に海苔を与えるときの適量は、ごく少量が基本です。
犬に海苔を与える適量は公に発表されていないため、あくまで参考数値になりますが、だいたい体重5kgの犬で0.5gを目安にしてください。
0.5gというと、一般的な焼き海苔だと6分の1枚程度となります。
体重10kgの犬なら0.8gで焼き海苔4分の1枚程度を目安にしてください。
体重20kgの犬なら1.5gで焼き海苔半分程度です。
ただし、この量を毎日摂取し続けると、犬に何らかの影響が出る可能性があります。
犬に海苔を与えるのは、せいぜい週に1回程度とし、一度に与える限度量を上記の数字としてください。
犬は海苔を食べられるけど注意点が!
犬は海苔を食べられますが、いくつか注意点があります。
確認しておきましょう。
消化不良による下痢や嘔吐
実は、海苔には多くの食物繊維が含まれています。
犬は、もともと肉食なので、食物繊維の消化が苦手です。
あまりに多くの食物繊維を一度に摂取すると、消化不良を起こして下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす可能性があります。
犬に海苔を与える場合は、必ず上記の適量を守りましょう。
ただし、食物繊維をどの程度消化吸収できるかは、犬によって違います。
食物繊維の消化が比較的得意な子もいれば、少量でも下痢を起こしてしまう子もいます。
上記の適量で下痢を起こした場合は、食物繊維の消化が苦手と考え、海苔を与えないほうがいいでしょう。
また、海苔を食べさせた後は、必ず排便状態を確認してくださいね。
窒息する可能性も
板海苔や焼き海苔を食べたときに、歯にくっつくような感覚や喉(のど)に張り付くような感覚を味わったことがあるという方も多いと思います。
乾燥海苔の多くは、かなり水分量が少なく、口に入れると口の中に張り付いてしまうことがあります。
これは、犬も同様です。
人間の場合は、海苔が口の中に張り付く前に噛み砕いたり、水で流し込んだりと、どうにか自分で対処できます。
しかし、犬の場合は張り付いた海苔をどうにもすることができず、最悪の場合、窒息する可能性もあると言われています。
犬の中には「噛む」ことが苦手な子もいます。
食べ物を与えられると、全て噛まずに丸飲みする習性がある子がいるということです。
そういう子の場合、板海苔などを大きなサイズのまま与えられると、丸飲みしてしまい、喉の奥に海苔が張り付いて窒息に至ることがあります。
こういった悲しい事故を防ぐためには、犬に海苔を与える場合、必ず小さくちぎって水でふやかして与えることが大切です。
小さくちぎるだけだと、小さくちぎったものが塊(かたまり)となって喉に張り付く危険性があります。
必ず、水でふやかしたものを与えるようにしましょう。
塩分に注意
海苔を食べる際に特に問題になるのが、腎臓(じんぞう)や心臓に負担をかけると言われる塩分。
犬にとっても塩分は必要なものではありますが、ドッグフードを主食としている犬の場合は、既にドッグフードに適切な量の塩分が含まれているため、オヤツとして摂取する海苔に含まれる塩分はまさに余計なものとなります。
最初に、味付け海苔には砂糖や醤油などが多く含まれているため、犬が食べるのには適さないということを確認しました。
実は、塩分が含まれていないように感じる板海苔や焼き海苔にも、塩分が含まれています。
100g中に含まれる塩分量は、焼き海苔で1.3g、味付け海苔で4.3gです。
焼き海苔にも、意外と多くの塩分が含まれていることが分かりますね。
焼き海苔の塩分が気になるようなら、海苔を水につけてふやかすついでに、海苔を水で洗って絞ると、塩分を多少は除去できます。
犬に海苔を与えるなら、塩分摂取量が過多にならないよう、一手間かけてあげましょう。
アレルギーに注意
犬が食物アレルギーを起こす原因となるのは、主にタンパク質であると言われています。
実は海苔にも、100g中約41.4gとかなりの割合でタンパク質が含まれています。
実際に、海苔がアレルゲンになったという報告例は少ないものの、アレルギーを起こす可能性がある食品であるということに間違いはありません。
犬に生まれて初めて海苔を食べさせる際には、まず少量から様子をみてみましょう。
皮膚や耳のかゆみ・赤み、目の充血、下痢や嘔吐といった症状が現れた場合には、海苔アレルギーの可能性があります。
アレルギーの症状が出た場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
尿結石のリスク
海苔には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
犬にとって、ミネラルは必要な栄養素ではありますが、摂取しすぎると尿結石にかかるリスクがあがると言われています。
特に、すでに尿結石を起こしたことがあるというワンちゃんには、海苔を与えないほうがいいでしょう。
尿結石とは、尿の通り道である腎臓・尿管・膀胱・尿道などに結石ができてしまい、尿が出にくくなったり血尿が出たりする病気です。
痛みを伴うことも多いので、ワンちゃんにとってかなりしんどい病気と言えます。
愛犬の健康を考えるなら、フード以外のおやつから多くのミネラルを摂取するのは、控えたほうがいいでしょう。
病気持ちの犬は注意
海苔に含まれるヨウ素も、甲状腺の病気を持っている犬にとっては危険な成分です。
甲状腺に病気を持っている犬は、ヨウ素の摂取制限を指示されていることも多いため、海苔をオヤツとして与えるのはやめておきましょう。
ちなみに、ヨウ素は健康な犬にとっては必要な成分ですが、完全栄養食であるドッグフードにも必要量が含まれているため、あえてオヤツで摂取する必要はありません。
また、海苔に含まれているカリウムは、腎臓に障害のある犬にとって危険な成分と言えます。
腎機能が低下すると、カリウムを排出する機能が衰えてしまうため、カリウムを摂取することによって「高カリウム血症」という病気を発症するリスクが高まるからです。
いずれにしても、愛犬が何か病気を抱えている場合は、どんな食事をとったらいいのかを担当の獣医師から説明しておいてもらうといいでしょう。
犬が海苔を食べるメリットや栄養効果
それでは最後に、犬が海苔を食べるメリットや栄養効果についてみていきましょう。
若々しさを保つ抗酸化作用に期待
海苔には、抗酸化作用があると言われているβカロテン・ビタミンA・ビタミンCが含まれています。
抗酸化作用とは、体の中に取り込まれた活性酸素の働きをおさえる効果のこと。
抗酸化作用のある栄養素を摂取することによって、体の免疫力を上げ、血液をサラサラに保ち、若々しさを保ちます。
さらに、ガンを抑制する効果も期待できます。
また、海苔に含まれるビタミンB1も注目したい栄養素。
ビタミンB1は、代謝促進や疲労回復効果、皮膚や被毛を美しく保つ効果がありますが、熱や光、酸素、湿度の影響を非常に受けやすく、壊れやすい栄養素です。
もちろんドッグフードにも含まれていますが、フードの保管状態によっては、多くが失われてしまっていることも。
オヤツとして与える海苔でビタミンB1を補うことができれば、犬の若々しさを保つことに一役買ってくれるはず!
食物繊維やカリウムでデトックス効果
海苔に含まれる食物繊維やカリウムは、デトックス効果が期待できます。
まず、食物繊維は、便秘がちなワンちゃんにはおすすめ。
腸内の善玉菌を増やして、腸を健康な状態へと導いてくれます。
また、海苔に含まれるカリウムは、体内に取り込まれた不要なナトリウムを排出し、老廃物も排出してくれる効果があります。
適正な血圧を保って、腎臓の機能をサポートします。
神経がスムーズに働くよう、助けてくれる機能も。
体の中がキレイになると、必然的に犬は健康になっていきます。
ただし、いずれの栄養素も摂り過ぎると逆効果。
適量を守って与えることが大切ですよ。
犬に海苔を食べさせるなら少量をふやかして!
今回は、犬は海苔を食べられるのかということを中心にお伝えしました。
犬は海苔を食べられますが、食べさせ方や与える量には気を付けないといけないことが分かりましたね。
犬に海苔を与えるなら「小さく刻んだものを水でふやかし、少量を」が基本です。
ふやかした海苔をフードにふりかけてあげると、海苔の風味につられて食欲もアップしますよ。