犬が梅干しを食べても大丈夫?適量や種の誤飲に注意!
日本人の食生活の中で欠かせない梅干し。
食欲増進や疲労回復にも役立つため、「愛犬にも食べさせてみたいな」と考える飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
でも、犬に食べさせてはいけない食べ物も多いため、「梅干しを与えても大丈夫かな?」と不安になりますよね。
そこで今回は、犬が梅干しを食べても大丈夫なのかを検証してみたいと思います。
どのぐらいの量までなら食べてもいいのかということや、種の誤飲についても取り上げます。
犬が梅干しを食べても大丈夫?
まず「中毒性」という観点からみるなら、梅干しの中には犬が中毒を起こす成分が含まれていないため、食べてもすぐに体調に変化をきたすことはないと言えます。
ごく少量の梅干しなら、人間同様に犬にも、疲労回復効果や食欲増進効果が期待できるのではないか、という意見が多いよう。
ただし、それはあくまで「少量の梅干し」を与えた場合の効果です。
例えば、体重3kgほどの小型犬に大きな梅干しを種ごと1個与えてしまうと、最悪の場合、死に至る可能性があります。
決して「毒」というわけではないけれど、与え方には細心の注意をはらう必要があるのが梅干しです。
犬は梅干しが好き?嫌い?
日本人と縁の深い梅干しですが、日本人だからといって皆が皆、梅干しが好きというわけではありませんよね。
犬も同じです。
梅干し独特の酸味が苦手、という犬もたくさんいます。
犬が梅干しを食べたがらないようなら、無理をして与える必要はありません。
「どうしても食べさせてみたい」という場合は、梅干しの実を細かく刻んで、ふかしたジャガイモなどと混ぜて与えてみましょう。
ジャガイモは、梅干しの酸味を和らげる働きをしてくれますよ。
愛犬へ与える梅干しの適量や与え方
愛犬に梅干しを与える場合には、まず量に注意します。
人間の場合、梅干し1~2個を1回の食事で軽く食べてしまいますが、犬には多すぎます。
体重10kgの犬でも、梅干し半分程度までが限界です。
体重5kgの犬なら梅干し5分の1程度におさえておきましょう。
梅干しは、犬にとって絶対に必要な食材ではありません。
与えるのは、せいぜい週に1回程度にします。
そして、犬に梅干しを与える場合は、必ず種を取り除き、細かく砕いて与えます。
火を通す必要はありませんが、焼いたり煮たりすることによって酸味が少し和らぐため、食べやすくなります。
犬が梅干しを食べるメリットや栄養効果
犬にあえて梅干しを食べさせるのは、やはりそれなりのメリットがあるからです。
梅干しの栄養効果を確認してみましょう。
クエン酸で疲労回復&食欲増進&殺菌効果
梅干しの酸味のもとである「クエン酸」には、疲労回復効果があります。
糖質の代謝をスムーズにして、素早くエネルギーに変えてくれます。
フードと一緒に食べさせるとフードの栄養素を効率よく使って、元気に活動できる体に。
また、クエン酸の酸っぱさは、唾液の分泌を促すため、食欲増進効果も期待できます。
さらに、クエン酸には、殺菌・除菌効果があることも分かっています。
特に、フードの腐敗が気になる梅雨時~夏場には、ほんの少しの梅干しをプラスしてあげると、腐敗防止に一役買ってくれるはず。
梅リグナンで抗酸化作用
梅には、他にも様々な健康効果が期待できる栄養素が含まれていますが、中でも梅リグナンは注目の成分です。
梅リグナンは、抗酸化作用が強く、体の中に入ってきたサビの元となる活性酸素の働きを抑制してくれます。
活性酸素の働きをおさえることによって、動脈硬化を防止したり、ガンを抑制したりという効果が期待でき、老化も防止してくれます。
犬は梅干しを食べても大丈夫だけど注意点が!
犬は梅干しを食べても大丈夫ですが、多くの注意点があります。
一歩間違うと、犬の命を脅かしかねないため、しっかり確認しておきましょう。
種の誤飲に注意
梅干しを犬に与える場合は、必ず種を取り除きましょう。
種付きの梅干しを犬に食べさせると、そのまま丸飲みしてしまう可能性が高いため、危険です。
種を飲み込むと、喉(のど)や消化器官などで詰まってしまう可能性があります。
特に、腸の太さが細い小型犬は要注意。
腸で詰まると腸閉塞を起こし、手術になることも…。
最悪の場合は、死に至ることも有り得ます。
愛犬が種を誤飲したことに気づいたら、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
生の梅は与えない
梅干しになる前の、生の梅を犬に与えてはいけません。
生の梅には、アミグダリンという成分が含まれています。
アミグダリンは、犬の体内で青酸という強い毒性のある成分に変化します。
青酸を摂取すると、めまい・頭痛という軽度な症状で済む場合もありますが、体の麻痺、呼吸困難という症状から、最悪の場合、死亡してしまうことも…。
散歩途中に生の梅を誤って食べてしまった場合、少量なら大事に至らない場合もありますが、念のため早急に動物病院を受診することをおすすめします。
塩分の取り過ぎに注意
梅干しで怖いのは、塩分の取り過ぎ。
1個あたりの梅干しには、1~3g程度の塩分が含まれています。
上記でお伝えした「週に1度、体重5kgの犬なら1/5程度、体重10kgの犬なら1/2程度」という摂取量を守っていれば、健康を害することはないと思いますが、これ以上摂取した場合や既に梅干しを常用させている場合は、経過を見守る必要があります。
塩分を摂取しすぎると、腎臓や心臓などの内臓に大きな負担をかけてしまいます。
腎臓や心臓を患っている犬の多さから考えても、犬にとって塩分がいかに気を付けなければいけない成分なのかが分かります。
ちなみに最も怖いのは、塩分中毒です。
一気に塩分を取り過ぎると、犬は死亡してしまうこともあります。
致死量は、体重1kgあたり約4g。
体重5kgの犬なら20gの塩分を摂取しないと中毒死することはありませんが、誤って大量に梅干しを食べてしまうと可能性が無いわけではありません。
犬が梅干しを大量に食べてしまわないよう、気を付けましょう。
アレルギーの可能性
そもそも、梅干しを犬に食べさせるというのは、かなりレアケースなので、犬が梅干しに対してアレルギーを持ちやすいのかどうかは分かりません。
ただ、どんな食べ物でも、アレルギーを起こす可能性はあると言われています。
梅干しを食べさせて、皮膚や耳・目などにかゆみや赤みが出たり、嘔吐(おうと)や下痢といった症状が出たりした場合は、アレルギーの可能性が考えられます。
早急に動物病院を受診しましょう。
あの梅製品は犬に与えても大丈夫?
梅には、梅干し以外にも様々な加工品がありますね。
「はちみつ梅干し」や「カリカリ梅」「梅ジュース」「梅肉エキス」を犬に与えても大丈夫なのか、確認してみましょう。
はちみつ梅干し
梅干しを作るときに、紫蘇(しそ)を加えず塩だけで漬けた梅干しを塩抜きし、はちみつで漬けなおしたものが「はちみつ梅干し」です。
はちみつ梅干しのほうが梅干しよりも梅リグナンの量が多く、また塩分量も少ないので健康的とも言われますが、食中毒を引き起こす可能性があるボツリヌス菌の危険性もないとは言えないため、子犬や体力の弱っている犬、老犬には与えないほうがいいでしょう。
カリカリ梅
カリカリ梅は、未成熟なまだ硬い梅を使って塩で漬けこんだものです。
未成熟の梅を使っているといっても、きちんと漬けこまれた商品であれば、毒素はありません。
カリカリ梅と梅干しとでは、栄養成分もほとんど大差ないので、どちらでも好むほうを与えて構いません。
一つだけ気を付けてほしいのが、種です。
梅干しは肉質が柔らかいため、種を取り除きやすいと思いますが、カリカリ梅は表皮が硬く、種を取り除くのが大変。
でも、カリカリ梅の種を残したまま犬に与えてしまうと、危険です。
カリカリ梅の種も、きちんと取り除いてから与えてくださいね。
梅ジュース
青梅を氷砂糖に漬けこんで作る梅ジュース。
爽やかな香りで程よく酸味もあり、美味しいですよね。
梅ジュースの中に、犬にとって有毒な成分は含まれませんので、与えても大丈夫です。
ただし、犬に与える場合は、糖分量が気になりますので、ものすごく薄めたものを少量与えましょう。
夏バテ気味で、水をあまり好んで飲まないというお悩みには、梅ジュースが有効かもしれません。
梅ジュースの原液をスプーンの先にほんの少しとって、垂らしてあげましょう。
梅の爽やかな風味がついて、飲みやすくなるかもしれません。
梅肉エキス(梅エキス)
青梅の果汁を長時間加熱して、水分を飛ばした状態のものを「梅肉(ばいにく)エキス」と言います。
梅の栄養素がギュッと凝縮されていて、煮詰めるという作業から梅干しにはないムメフラールという健康に有効な成分も含まれます。
しかも、梅肉エキスには気になる塩分が含まれないため、塩分量を気にせず犬に与えることができます。
様々な薬効効果が期待できる梅肉エキスですが、なんと犬のガンにも有効なのではないかという情報も。
具体的に梅肉エキスの何が犬のガンに効くのかというところまでは研究されていませんが、梅肉エキスを犬に飲ませるという民間療法を試されている飼い主さんも多いようです。
まとめ:週に1度程度、少量なら梅干しOK
今回は、犬に梅干しを与えても大丈夫なのかについて考えました。
梅干しには様々な健康効果がありますが、やはり気になるのは塩分量です。
また種の誤飲にも気を付けなければいけません。
週に1度程度、少量なら梅干しを与えても大丈夫です。
ちなみに、もし梅干しの塩分量が気になるようでしたら、「梅肉エキス」がおすすめ。
「ドッグフードだけでは、犬の健康状態が心配」という飼い主さんは、ぜひ梅肉エキスを試してみてくださいね。