犬の散歩のしつけ方は?歩かない・嫌がる・引っ張る癖の対処法
犬との散歩は、本来とても楽しいものです。
でも
- 突然歩かなくなる
- 散歩自体を嫌がる
- リードをグイグイ引っ張って好きな方向へ行ってしまう
など、飼い主さんの散歩の悩みは尽きません。
特に、グイグイ引っ張って行ってしまうというのは、重大な事故にもつながりかねないため、早急に改善したいですね。
そこで今回は、犬の散歩の仕方にお悩みの飼い主さんのために、犬の散歩のしつけ方を徹底解説します。
「歩かない」「嫌がる」「引っ張る」という犬の散歩の3大お悩みも、ちょっとした工夫で解決しますよ!
⇒【散歩の基礎知識】回数や時間、距離について知りたい方はこちら
犬の散歩の「基本のしつけ」はリーダーウォーク
犬の散歩の「基本のしつけ」は、リーダーウォークと呼ばれるものです。
リーダーウォークとは、犬が飼い主さんのサイドを歩くことで、決して犬が飼い主さんより前に出ない散歩の仕方になります。
完成されたリーダーウォークは、リードが張られることはなく、常にたるんでいる状態にあります。
このリーダーウォークができるようになると、犬が勝手にリードを引っ張ってどこかに行くことはないので、飛び出しや飛びつきなどの散歩中の事故を防止できます。
また、リーダーウォークができるということは、犬が飼い主さんのことをリーダーとして認めているという証拠なので、散歩以外の生活場面でもよく言うことを聞くようになり、犬との生活がより快適になります。
犬の散歩中の排泄のしつけ
散歩の時間が排泄の時間になってしまっているという飼い主さんは、ぜひ今日からその習慣をあらためるべく、犬の排泄のしつけをやり直してください。
近年、犬の散歩中の排泄に関しては、環境美化の観点からタブーとされる傾向にあります。
最低限、散歩前に排泄する習慣をつけましょう。
散歩前に「散歩に行くよ」と声をかけ、トイレをするように促します。
トイレができたら散歩に行ける、というサイクルを作りましょう。
ただ、散歩前に排泄していても、やっぱり散歩中に排泄してしまう犬はいます。
特に、去勢していないオス犬の場合は、散歩中の排泄はマーキングの意味合いが強いため、なかなかおさまりません。
そういう時は、尿を流す水やトイレシーツなどを持参し、排泄物の汚れを残さないように配慮しましょう。
犬の散歩のお悩み1:歩かない時や嫌がる時のしつけ方や対処法
それではここからは、犬の散歩のお悩みを具体的にみていきましょう。
まずは、犬が歩かない時や嫌がる時に、どういう対応をすればいいのか考えます。
犬が歩かなかったり嫌がったりする原因は、大きく5つに分かれます。
1.病気やケガ
1つ目は、病気やケガがある場合です。
昨日まで、ご機嫌で散歩していたのに、急に歩かなくなった場合は、どこか体に異常がないか確認しましょう。
老犬の場合は、体力の低下も考えられます。
そういう時は無理をせず、犬のペースで散歩をさせるようにしましょう。
散歩をできない身体状態なら、犬用キャリーに乗せて外の空気を感じさせてあげるだけでも、犬にとっては気分転換になります。
2.脳の血液の流れの低下
2つ目は、脳の血液の流れの低下が原因になる場合です。
人間も同じですが、犬も食後すぐは食べたものを消化するために血液が使われるため、脳の働きが低下します。
食後すぐに散歩させようとすると、ボーっとした状態にあるため、なかなか歩かなくなることがあります。
食後すぐの散歩は、胃がねじれる胃捻転(いねんてん)を起こす可能性もあり、危険を伴います。
食後すぐの散歩は、なるべく避けましょう。
3.天候が散歩に適していない
3つ目は、天候によるものです。
例えば、あまり体が濡れるのが好きではない子の場合、雨が降っている中の散歩を嫌がることもあります。
また、ものすごく暑い日にアスファルトの上を歩かせようとすると、肉球が焼けてしまうため、嫌がります。
逆に、ものすごく寒い日の散歩も、特に室内飼いされている小型犬は、気温差に嫌がることも。
こういう時は、天候が回復するまで散歩に行かないというのもアリです。
暑さ・寒さの場合は、一日のうちで散歩に適した時間帯を見つけて、季節によって散歩する時間を変えることも考えましょう。
4.怖いモノや苦手なモノがある
特に、散歩に対して免疫のない子犬の場合は、何らかの理由で「怖い」「苦手」と思ったモノが散歩途中にあることも。
そういう時は、いわば足がすくんでしまう状態になり、道路上にへたりこんで歩かなくなることがあります。
まずは、「怖いモノや苦手なモノが一体何なのか」という原因を特定しましょう。
無理に怖いモノや苦手なモノに慣れさせようとせず、とりあえず、それらを避けて散歩できるルートを考えます。
または、苦手なモノがある場所に入る前に、オヤツやおもちゃを与えて気をそらして通り過ぎます。
子犬から成犬に近づくにつれ、徐々に慣らしていけるといいですね。
5.飼い主に甘えているだけ
5つ目は、単に飼い主に甘えているだけというもの。
実は、このパターンが最も多いと考えられます。
例えば、飼い主の目を見ながらグーッとリードを引っ張って停止し、ペタンとその場に座ったり伏せをしたりして、飼い主さんが構ってくれるのを待っているような場合は、まさしくこのパターンです。
こういう時は、決して犬のペースに巻き込まれてはいけません。
ここで飼い主さんが犬を抱き上げたり、優しく声をかけたりしたら、犬は「自分がリーダー」と思ってしまいます。
ワガママが原因と考えられる場合は、無言でリードを軽く引っ張って立たせて歩くように促しましょう。
犬の散歩のお悩み2:リードを引っ張る癖のしつけ方や対処法
それでは次に、犬にリードを引っ張る癖がついている場合のしつけ方や対処法をみていきましょう。
まずは基本のリーダーウォーク
犬が、グイグイとリードを引っ張る癖がついてしまっている場合は、とりあえず基本のリーダーウォークのしつけを試してみましょう。
まずは、リードを短く持ち、犬を飼い主さんの左側に置きます。
歩き始めた後、犬が飼い主さんより前に行こうとしたら、クイッと軽くリードを引いて犬を誘導します。
それでも、そのまま前進するなら、やや強めにリードを引き、犬を静止させます。
クイッとリードを引いて犬が飼い主さんのそばに戻ってきたら、「いいこ!」と大げさに褒めてあげましょう。
犬は、飼い主さんが喜ぶことが大好きなので、やがてリードを引っ張らずに歩いてくれるようになります。
この時に気を付けたいのが、リードがまだピンと張っている状態で褒めてしまうこと。
これをやると、犬は何をしたら褒められるのか分からず、混乱します。
また、逆に犬が戻って来たのに、褒めずにスルーしていると、いつまでたっても犬はリードを引っ張り続けます。
リードの引っ張りっこになっている場合は道具に頼ってもOK
基本のリーダーウォークを実践しようと思っても、
- 結局リードの引っ張りあいになって、なかなか言うことを聞いてくれない…
- 大型犬で力が強いので、飼い主の私が犬に引きずられてしまう
という場合は、リードを引っ張ることが犬にとって遊びの一つになっている可能性があります。
飼い主さんがリードを強く引っ張れば引っ張るほど、犬は楽しくなって益々引っ張り返すという悪循環に陥ります。
こういう時は、道具に頼ってもOKです。
まずは、最も簡単な「バランスリード」がおすすめ。
いつも使っているリードを普通に首輪につなぎます。
その後、リードをクルッとループ状にして犬の首にゆとりをもってかけます。
輪になった状態をキープしつつ、散歩するだけで、犬は前に行こうとしなくなります。
このリードを使うと、犬の前足に不必要な力が入らなくなり、引っ張らなくなるという原理です。
また、ヘッドカラーやコントロールハーネスなどの矯正グッズを使うのも、引っ張りが激しい場合はやむを得ないでしょう。
こういった道具を使うのは一見可哀そうに思えますが、犬の安全を守るためには必要です。
リーダーウォークのしつけとこれらの道具を併用して、できるだけ早くリーダーウォークを身に着けられるようにしましょう。
犬の散歩のお悩み3:吠える時のしつけ方や対処法
散歩中、他の犬や人とすれ違うたびに、ワンコが吠えてしまう愛犬にお困りの方もいらっしゃると思います。
散歩中に吠える時のしつけ方や対処法をみていきましょう。
他の犬や人とすれ違う際に、リードを引っ張らないこと
「うちの子、他の犬や人に吠えてしまう」という状況の場合、つい他の犬や人とすれ違う際に、愛犬のリードを強く引っ張っていないでしょうか?
実はこの行為は、飼い主さんが犬に対して「警戒せよ」という合図を出していることと同義。
犬の立場になって、考えてみましょう。
飼い主さんの横についておとなしく歩いていたのに、急にクイッとリードを引かれて、ふと前を見ると犬が歩いてきているという状況…。
「怪しいヤツが来た!」と犬が勘違いしても仕方ないですね。
もし、犬自身が勝手に警戒して吠えてしまった場合は、飼い主さんが「警戒しなくていいよ」と教えてあげましょう。
時にはご近所さんと立ち話しながらの散歩も、犬にとっては社会性を育む意味でとても良い経験となります。
根本原因は犬の社会化不足
犬が散歩中にガウガウと吠えてしまうのは、飼い主さんのリード使いのミスということと、もう一つ根本原因があります。
それは、子犬の頃の社会化不足。
他の犬や人と触れ合う経験が少なすぎて、相手に対して恐怖心や警戒を抱いてしまっているということです。
飼っている犬がまだ子犬という場合は、今からどんどん社会化を促していきましょう。
知り合いの犬や人と触れ合いを持たせる機会を増やすことによって、犬は自然と「人は怖くない」「犬も怖くない」と学習していきます。
成犬になっている場合は、「マテ」「オスワリ」のしつけ優先で
すでに成犬になっている場合は、今から社会化を促すのはなかなか大変な作業となります。
「怖いよ~!」と他の犬に対して吠えているワンちゃんを無理やりに他の犬に慣れさせようとしても逆効果。
ますます怖いという感情を持ってしまい、手に負えなくなります。
もちろん、吠えるからといって飼い主さんが叱りつけてしまうのもダメ。
「他の犬に会うと叱られる」とインプットされてしまいます。
成犬になっているワンちゃんに必要なのは、「マテ」や「オスワリ」などの合図で落ち着けるようになるしつけです。
散歩中に他の犬とすれ違う前に、「オスワリ」をさせて、オヤツをあげましょう。
すると「他の犬がきたらオヤツがもらえる」とインプットされ、他の犬に対して悪い感情がなくなっていきます。
どうしても吠えグセが治らない時は、プロのトレーナーに依頼を
これらを試しても、なかなか吠えグセがおさまらない時は、プロのトレーナーに頼るのも一つの手段です。
素人ではなかなか完璧にしつけできない部分も、プロのトレーナーなら犬の個性も考慮しつつ、上手にしつけしてくれますよ。
犬の散歩のお悩み4:拾い食いのしつけ方や対処法
犬が散歩中に拾い食いするのは、本能的なもの・空腹によるもの・飼い主さんの気を引くためなど様々な原因があります。
拾い食いのしつけ方や対処法をみていきましょう。
拾い食いしにくい環境を整える
まずは、家の中で拾い食いしにくい環境を整えましょう。
家の中で、落ちているものをパクリと口の中に入れる習慣がついてしまうと、外でもその習慣のまま何でも口に入れるようになります。
床にモノを置くのをやめて、犬がむやみやたらにモノを口に入れないようにします。
また、散歩コース自体もゴミが少ない場所を選びましょう。
例えば、ゴミステーションの近くを通るのをやめたり、コンビニやスーパーなどの近くにゴミが落ちているようなら、そこも通るのを避けたりするのがおすすめです。
犬にとって害になるのは、ゴミだけではありませんが、ゴミを口に入れる癖があるワンちゃんには有効ですね。
合図を出してから口にモノを入れるよう、しつけをする
まずは、ご飯やオヤツを食べさせる時に、必ず「オスワリ」「オテ」「マテ」をさせるようにします。
飼い主さんの合図なしには食べられないよう、しつけをしましょう。
そして、散歩中に犬がモノを口に入れそうになったら「ダメ」と合図を出します。
飼い主さんの方を見て拾い食いを阻止できたら、ご褒美としてオヤツを与えます。
ちなみに散歩が終わってから、好みのオヤツやご飯を用意しておいてあげると、「散歩終了後には、オヤツやご飯がある」と学習するため、道路に落ちているもので空腹を紛らわそうという行動も減ります。
どうしても拾い食いしてしまうようなら、口輪やプロトレーナーに
拾い食いは、犬の生死に関わる問題になることもあります。
いろいろと試して、どうしても拾い食いがおさまらないようなら、散歩中に口輪(くちわ)をつけるという手段もあります。
ただ、口輪をつけるのは、犬にとってかなりのストレスです。
散歩そのものが嫌になってしまう可能性もあります。
口輪は、一時的なしつけ以外では使ってはいけないものと考えましょう。
自力では、どうしても拾い食いが治らないと判断したら、早めにプロのトレーナーにお任せしましょう。
プロのトレーナーなら、室内での繰り返しの訓練によって、犬が拾い食いしないようしつけをしてくれます。
ちなみに、もし道路上で拾い食いしてしまった場合は、念のため動物病院を受診することをおすすめします。
例えば、タバコを拾い食いしてしまった場合、震えに続きおう吐や下痢という症状になり、最悪は死亡することもあります。
犬の散歩で必要なのは「リーダーウォーク」
今回は、犬の散歩で困りがちな「歩かない」「嫌がる」「引っ張る」といった問題行動にスポットを当て、その対策やしつけ方について考えていきました。
犬の散歩では、様々な悩みが発生しがちですが、それら全てを解決するのが「リーダーウォーク」です。
リーダーウォークができるようになれば、犬のしつけも随分と楽になります。
ぜひ、散歩ではリーダーウォークを実践し、愛犬との散歩の時間を楽しいものにしていきましょう!
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