犬がため息をつく意味や理由は?病気の可能性もある?
犬と暮らし始めると、意外にも人間のような仕草をすることに驚かされます。
「ため息」もその一つ。
「はぁ~」とまるで人間のように大きく肩を上下させながらため息をつく姿や「フンッ」と鼻息のようなため息をつく姿を目撃したことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に寝る前は、必ずため息をつくという犬も多いようですが、あまりにため息がひどいと「病気なのでは?」と気になりますよね。
今回は、病気の可能性も含めて、犬がため息をつく意味や理由を徹底検証します。
犬がため息をつく意味や理由
犬がため息をつく意味や理由は、複数あります。
リラックスして安定した精神状態でのため息もあれば、逆に心配事があるなど、不安な気持ちでのため息も。
全く異なる精神状態なのに、同じようなため息をつくというのは一見、犬独特でおもしろいように思います。
しかし、実は人間もそれは同じです。
例えば、仕事を終えリラックスした状態で「ふぅ~」と長いため息をつくこともあれば、逆に厄介な仕事を抱えて困ったというときに「ふぅ~」と長いため息をつくこともあります。
犬も人間同様、感情が大きく揺れたときに「はぁ~」とため息をつくことが多いようです。
つまり、犬がため息をつく意味や理由を考えれば、おのずと犬の気持ちが分かるということ。
愛犬の気持ちが知りたいという方はぜひ、犬がため息をつく場面をとらえて、気持ちを探ってみてください。
ため息で犬の気持ちを知ろう
それではここからは、ため息から犬の気持ちを探ってみましょう。
犬のため息を観察してみると、実に表情豊かな犬の気持ちが見えてきますよ。
リラックスして安心している
まず、最もよく目撃されるのが、犬がリラックスした状態でのため息です。
ベターっと床に寝た状態で、「フーン」と大きなため息をつく様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
そういう時、犬はとても精神が安定しています。
おいしいご飯をお腹いっぱい食べた後や、好きなブラッシングをしてもらっている時、日光浴をしている時、シャンプー好きな子ならお風呂に入っている時などが挙げられます。
ちなみに、目をつぶった状態でベターっと寝そべってため息をついているのが、極限のリラックス状態なんですよ。
ストレスや不満を感じている
リラックスとは逆に、ストレスや不満を感じている時も、犬はため息をつきます。
例えば、犬が気持ちよさそうに寝ていたのに急に「可愛いねー」などと言って触ったりすると、迷惑そうに「フーン」とため息をつくことがあります。
構いすぎは良くありません。
また、散歩の時間なのに散歩に連れて行ってもらえなかったり、相手をしてほしいのになかなか遊んでくれず放置されていたりする時などは、不満そうに「フンッ」と鼻息のようなため息をつくことも。
こういうため息が見られたら、なるべく早く不満を解消してあげられるようにしましょう。
落ち込んでいる
犬は落ち込んだ時も、ため息をつきます。
例えば間違えてじゅうたんや布団に粗相をしてしまい、飼い主さんに怒られたとします。
犬は飼い主さんに褒められるのが好き。
怒られるのは大の苦手です。
飼い主さんの怒りを買ってしまった時、犬は激しく落ち込みます。
犬が落ち込んでいるのかどうかを見極める仕草は、ため息だけではありません。
他にも、背中を丸めていたり、上目遣いで見てきたり、ぐるぐる回ってしっぽを追いかける仕草を見せたりといった行動が共にあるようなら、犬が落ち込んでいると判断していいでしょう。
疲れている
犬は疲れている時にも、大きく「はぁ~」「フー」とため息をつくことがあります。
例えば、いつもより長い距離を歩いた散歩の後。
家に着いて落ち着いてから寝転がって「フー」と大きくため息をついているのは、「あぁ、今日は歩きすぎだよ。疲れたよ」と言っているのかもしれません。
また、自宅に来客があった後なども、お客さんが帰った後、寝そべったままで「はぁ~」とため息をつく姿を見られることも。
これは、知らない人が家にいるということで、緊張していた気持ちが緩んだということです。
犬も人に気を遣って疲れてしまうことがあるということですね。
飼い主の気を引くため
飼い主に構ってほしいときに「フーン」などとため息をつくことがあります。
愛犬がため息をつくと何だか気になって「どうしたの?」と話しかけてしまうという方も多いのではないでしょうか。
犬はそういった飼い主の心理を利用して、構ってほしいときに「フーン」とため息をつくのです。
また、「むやみに吠えたらダメ」というしつけができている犬の場合、飼い主に何か言いたいことがあると、ため息や鼻息で知らせてくることも。
愛犬が足元に来て「フー」とため息をついていたら、様子を気にしてあげてください。
においを嗅ぐため
犬の嗅覚(きゅうかく)は、とても発達しています。
そのため、いろんなにおいを嗅いで「これは何なのか」「この人は誰なのか」を把握しています。
犬を散歩に連れ出すと、いろんなところのにおいを嗅ぎ回る様子が見られます。
これは、散歩コースのにおいを確認しているのです。
このにおいを嗅ぐ動作中にも犬はため息をつきます。
例えば散歩中にクンクンとたくさんのにおいを嗅いだ後、「はぁ~」と大きなため息をつくことがあります。
ため息をつくことで、鼻の中のにおいを一旦追い出し、リセットして、再び新たな場所のにおいを嗅ぎやすくするという意味があります。
散歩でのため息は、疲れているからなのか、においを嗅ぐためなのか、判別しにくいですね。
ため息の前後でにおいを嗅ぐ仕草があるかどうか、距離を歩きすぎていないかをチェックすると、おのずとどちらの理由でため息をついているのか分かるので、気を付けてみてください。
なぜ犬は寝る前にため息をつくことが多いの?
犬は基本的によく眠る動物です。
平均は12~15時間程度ですが、老犬や子犬の場合は18時間以上寝ます。
実際、深い眠りに就いているのは、その約2割程度の時間なのですが、その時間は犬にとってもリラックスタイムであることに変わりはありません。
犬が寝る前にため息をつくことが多いのは、リラックスした状態だからです。
「今から寝る」という態勢に入るということは、外敵など何も心配することがなく、安心できる環境にあるということと同じ。
犬は、リラックスした状態の時にため息をつきます。
よって、寝る前にため息をつくことが多くなるというわけです。
ため息をつきやすい犬種
犬はどんな犬でも多かれ少なかれ、ため息をつきますが、中には「うちの子、やたらため息をつく…」と気になるような、ため息をつく回数の多い犬種も。
短頭種と呼ばれる鼻の低い犬種で、フレンチブルドッグやパグ、キャバリア、ボストンテリアなどが代表です。
鼻が低い短頭種は、鼻やのどにつながる空気の通り道が先天的に狭く、時には気道を塞ぎがちになっていることも。
その他の犬種に比べ、呼吸がしづらく、口を開けて大きく呼吸をしないといけないため、その動作がため息のように聞こえてしまいます。
ちなみに、あまりに呼吸がしにくくなってしまうと、いびきをかき始めたりすることも。
症状がひどくなると、酸素不足に陥って唇や舌が青紫色に変色するチアノーゼが出たり、失神してしまったりすることもあるため、短頭種は呼吸に関しては注意が必要な犬種と言えます。
犬のため息が多い場合は、病気の可能性も
短頭種でなくても、犬のため息が多すぎる場合は、病気の可能性もあります。
考えられる病気としては、気管虚脱や心臓の病気、フィラリアなどが挙げられます。
特に小型犬や大型犬では、心臓病のリスクが高いため、注意しましょう。
フィラリアに関しては薬で予防できるものなので、しっかり予防してあげることが必要。
症状としては、ため息の中に聞きなれない苦しそうな音が混じっていた場合、すぐに犬の様子をチェックしてください。
苦しそうな様子があれば、即動物病院へ連れていきましょう。
また、ため息の中に咳(せき)が混じっている場合やため息の回数が増えて鼻水がやたらと出ている場合も、何らかの病気が隠れているかもしれません。
こちらも普段の様子と違うと飼い主さんが感じるようなら、動物病院を受診したほうが安心です。
犬の鼻息とため息の違い
人間の場合は、口から「は~」と大きく息を吐くのがため息で、鼻から息を「フン」と出すのが鼻息です。
犬の場合も鼻息とため息に違いはあるのでしょうか?
結論から言うと、犬の場合は「は~」と聞こえるため息のような音も実は鼻から出ています。
もちろん、短く「フンッフンッ」と鼻を鳴らす鼻息もあります。
つまり、犬のため息だと思っていた音は、鼻息ということです。
ただ、短頭種の場合は、鼻から息を出しづらいということもあり、口を大きく開けてため息をつく様子が見られます。
ちなみに犬の正常な状態の鼻息というのは、ものすごく静かなもの。
人間の耳に明らかに聞こえる「は~」という音や「ふーん」という音は、全てため息と考えていいでしょう。
ため息には犬の何らかの感情が込められており、ため息を紐解くことで、愛犬とのコミュニケーションはより密になります。
犬のため息の意味・理由から気持ちを探って、病気も防ぐ
今回は、「愛犬がため息をつくのはなぜ?」と不思議に思っている飼い主さんのために、犬のため息や鼻息の意味や理由を検証しました。
主に寝る前に犬がため息をつくのを目撃するという方が多いと思いますが、他にも様々な意味や理由がありましたね。
また、あまりにため息がひどいと、病気の疑いもあることが分かりました。
犬のため息の意味・理由から犬の気持ちを推測し、未然に病気も防げるようにしましょう。