犬のフケが多い原因は?対策や取り方について解説!病気の可能性も注意!
犬を飼っているとある日突然「あれ?フケ?」と気づくことがあります。
フケはかゆみを伴ったり、また病気の可能性もあったりするため、しっかりと原因をつきとめて対策を立てる必要があります。
そこで今回は、犬のフケの原因について考え、対策や取り方についてもしっかりとおさえていきたいと思います。
犬も人間も快適に過ごすには、フケのない清潔な地肌へと導いてあげることが大切。
ぜひ参考にしてください。
そもそもフケとは?
まず、そもそもフケとは一体何なのかをおさえておきましょう。
犬のフケも人間のフケ同様に、皮膚の代謝によって古い皮膚がはがれたものです。
犬の皮膚は、だいたい3週間ほどでターンオーバーされています。
皮膚表面のバランスが良いと、不要になった古い皮膚(角質)を常在菌(じょうざいきん・体内に存在し、普段は病気を起こさない菌)が分解します。
しかし、何らかの原因で皮膚表面のバランスが崩れてしまうと、角質は上手く分解されずフケとなります。
フケとなる場合は、ターンオーバーサイクルも3週間より短くなります。
ちなみに毛が無い部分は、フケではなく「垢(あか)」となりますが、毛が生えている部分はフケとなって出てきます。
フケには2種類ある
フケには、「乾燥したもの」と「脂っぽいもの」との2種類あります。
乾燥したフケは、白っぽくカサカサとしていますが、臭いはありません。
逆に、脂っぽいフケは、油分で湿っており、臭いもあります。
この2種類のフケは、原因が異なるためフケ対策も全く違ったものになります。
脂っぽいフケが出るときは、何らかの皮膚の病気を疑います。
乾燥したフケでも病気が原因のこともあるため、厳密にはフケの状態だけでは原因を確定できませんが、フケがどちらの種類なのかを知っておくことは重要です。
犬のフケが多い原因は?
それではここからは、犬のフケが多い原因を具体的にみていきましょう。
肌が乾燥している
犬のフケが冬場にかけて増えてきた場合に疑うのが、肌の乾燥です。
人間同様、犬も冬場は肌が乾燥しがち。
冬場に体をかくような仕草が増えて、さらにフケも増えてきたなら、肌が乾燥していないかチェックしてみましょう。
ちなみに、長毛種よりも短毛種のほうが、肌が直接空気に触れる面積が大きい分、肌の乾燥は進みがち。
短毛種のボストンテリアやミニチュアピンシャー、フレンチブルドッグ、チワワなどは注意しましょう。
肌の乾燥状態を放っておくと、皮膚のバリア機能が低下して皮膚病への感染リスクもぐっとアップしてしまうので、対策が必要です。
シャンプーが合っていない&やり方を間違っている
シャンプーが犬の肌質に合わない場合や、シャンプーのやり方が間違っている場合も、犬のフケの原因となります。
シャンプー後、1~3日以内にフケが増えた場合は、シャンプーが原因かもと疑いましょう。
犬の皮膚に合わないシャンプーを使い続けると、どんどん皮膚状態は悪くなりますので、シャンプー剤を変えることをおすすめします。
また、シャンプーの頻度や洗い方、乾かし方も全てフケの原因となる可能性がありますので、正しいシャンプーのやり方を身に着ける必要があります。
ストレス
なんと、犬のストレスもフケの大きな原因の一つと考えられています。
しかも、このストレスを原因とするフケは、近年増加傾向にあるよう。
ストレスが原因のフケの場合、同時に脱毛が見られたり、体臭がきつくなったりと他の症状もみられることが多いです。
ストレスの原因は、犬によって様々。
例えば、長時間の留守番や散歩不足、飼い主が犬に厳しすぎる場合などは、顕著に身体症状として現れる場合も。
また、動物病院やトリミング、苦手な人や犬との対面など、一時的なストレスでもフケが増えてしまうことがあります。
細菌やカビ
細菌やカビが、犬のフケの原因であることも。
犬の皮膚に付着した細菌やカビが、かゆみなどを伴って、犬のフケを増やします。
カビが原因となる病気に「マラセチア皮膚炎」や「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」などがあります。
細菌が原因となる病気は「膿皮症(のうひしょう)」が代表格。
これらは、いわゆる犬の「皮膚病」として扱われ、動物病院での診察が必要となります。
中には人間にも感染する菌もあるため、早期の治療が望まれます。
犬のフケがひどい場合に考えられる病気とは?
それではここからは、犬のフケがひどい場合に考えられる病気についておさえておきます。
単なる乾燥やストレス、シャンプーが原因でない場合は、動物病院へ連れて行くと原因が判明します。
ツメダニ皮膚炎
イヌツメダニという寄生虫が原因となって、白いカサカサとした「かさぶたのようなフケ」が主に背中に出てくる病気です。
赤い発疹やかゆみを伴い、人間にも感染してしまう可能性があるため、早期の治療が必要。
ツメダニ症にかかるのは主に子犬で、成犬には症状が出ない場合もあります。
動物病院でスポットオンタイプの殺虫剤や薬用シャンプーで治療します。
アトピー性皮膚炎
強いかゆみを伴い、フケとともに湿疹や赤い斑点ができる紅斑(こうはん)・むくんでしまう浮腫(ふしゅ)などがみられた場合は、アトピー性皮膚炎の可能性も。
アトピー性皮膚炎かどうかは、フケの状態では見分けづらく、他の皮膚病ではないという診断が出てから、アレルゲンを特定する検査をしてやっと判明します。
薬物治療や食事療法など、治療法は多岐にわたります。
脂漏症(脂漏性皮膚炎・マラセチア皮膚炎)
脂漏(しろう)症は、マラセチアという常在カビ菌の一種が原因となる皮膚病であり、脂漏性皮膚炎やマラセチア皮膚炎と呼ばれることも。
フケ以外に皮膚のべたつきや赤み、かゆみを伴います。
常在菌ですが、免疫力低下など何らかの理由で増殖し、皮膚炎を引き起こすとされています。
菌を特定できれば、抗真菌薬(こうしんきんやく)や殺菌シャンプーなどで治療できます。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症もカビを原因とします。
かゆみは少ない皮膚病ですが、フケの他に脱毛が見られた場合は、皮膚糸状菌症の可能性を考えます。
診断がつけば、内服薬や塗り薬、薬用シャンプーなどで治療可能です。
マラセチア皮膚炎と違い、人や他の動物にも感染する可能性があるため早期治療を。
家でできる犬のフケを予防する対策や取り方
それではここからは、家でできる犬のフケを予防する対策や、フケの取り方について考えていきます。
シャンプーで対策
犬の皮膚は薄くてデリケートなので、シャンプー選びはとても重要。
フケが気になる場合は、そのフケの原因を見分けてシャンプーを選ぶ必要があります。
乾燥肌なのか脂性なのかも見極め、判断しなければならないため、獣医師やトリマーなど専門家にアドバイスをもらうといいでしょう。
また、シャンプーのやり方を間違っている場合にフケが増えてしまうことも。
シャンプーのすすぎが充分でなかったり、シャンプー後に乾かさず湿ったままにしておいたりするのもダメです。
シャンプーのやり過ぎも皮脂を取り過ぎてしまうのでNG。
シャンプー剤をつけて本格的にシャンプーするのは、せいぜい月に1~2回程度におさえましょう。
食べ物を見直す
「フードを見直した途端にフケ症が治った」という話をよく聞きます。
ドッグフードの中には、粗悪な原材料で犬の体に負担をかけているものも多くあります。
犬のフケで困っている方は、ぜひフードを良質なものに変えてみてください。
添加物をはじめ、肉自体の質や肉の含有量、炭水化物の量などチェックしなければいけない項目は多数。
皮膚を生成するのに重要な役割を果たす脂質も、その質に注目する必要があります。
選び方が分からないという方はまず、「グレインフリー」「プレミアム」「ヒューマングレード」「低アレルゲン」「無添加」などをキーワードとしているフードをチェックしてみてください。
ブラッシング
シャンプーは定期的に行っているのに、毎日のブラッシングはほとんどやっていないという飼い主さんが多いようです。
ブラッシングは、毛並みを整えるだけでなく、毛についた汚れをしっかりと落とす役割も果たしています。
また、血行を良くして皮膚を健やかに保つ役割も。
できれば、しっかりとしたブラシで汚れを上手にかき出してあげたいところですが、ブラッシングが苦手な子の場合は、ブラシの質を柔らかいものに変えてみましょう。
ゆったりとした気持ちでブラッシングしてあげることで、愛犬とのコミュニケーションもより良好に。
ストレスを緩和
近年、増加傾向にあるというストレスによる犬のフケ症。
犬のストレスを緩和してあげる大事なポイントは、
- 恐怖心を与えない
- 痛みを加えない
- 寂しい思いをなるべくさせない
- 充分な運動時間をとる
など。
仕事などで留守番の時間がどうしても長くなりがちな方は、家に帰ったら犬と過ごす時間を大事にしてあげてください。
散歩に連れ出すのはもちろんのこと、一緒に犬用のおもちゃで遊んだり、抱っこしてあげたりするだけでも、犬は落ち着きます。
保湿ケアをする
乾燥が原因でフケが増えている場合は、
- 室内の湿度を保つ
- 保湿剤の入ったローションやミストなどをお手入れにプラスする
というのがポイント。
まずは、犬の皮膚を乾燥させないために、家の中の湿度を50~60%程度に保つと良いでしょう。
特に乾燥が気になる冬場や、冷房をかけ続ける真夏などは、室内の湿度に注意しましょう。
また、犬自身が水分不足になっている場合、皮膚も乾燥してきます。
あまり水を飲まないワンちゃんの場合、しっかり水分をとれているか確認しましょう。
保湿ローションや保湿ミストは、犬用として専用のものが販売されているほか、人間用のベビーオイルを水で10倍ほどに薄めたものをスプレーして、ブラッシングしてあげてもいいでしょう。
犬のフケの原因を見分け、しっかり対策を!
今回は、犬のフケの原因やその対策、フケの取り方などについてお伝えしました。
犬のフケの原因は、乾燥やストレス、シャンプー、病気と様々です。
愛犬のフケの原因は、一体どこにあるのかをしっかりと見分けて、それに合った対策をとることが大切です。
フケの原因が自分では分からないというときは、「フケぐらいで大げさかも…」と心配せず、ぜひ積極的に動物病院を受診してください。
動物病院では、飼い主さんが気づかなかった病気などもしっかりと見つけてくれます。