犬はアボカド食べても大丈夫?中毒症状やアレルギーについて
森のバターと言われるほど、栄養価が高い人気の「アボカド」
ビタミンEやオレイン酸が豊富に含まれ、コレステロールを低下させ、各種病気の予防、老化阻止に効果ありと言われています。
できれば犬にも「アボカドの健康効果を与えたい」と思う飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、
- 犬にアボカドを与えても大丈夫なのか
- アボカドを犬が食べると中毒症状やアレルギーを起こしてしまうという情報は本当なのか
ということについて検証したいと思います。
犬はアボカドを食べても大丈夫なの?
まず、「犬はアボカドを食べても大丈夫なのか」という点についてですが、中毒症状という点に着目すると、どちらとも言えないというのが正直なところです。
「アボカドには、犬が食べると中毒を起こす成分が含まれるので、食べさせてはいけない」という意見と、「アボカドを犬に食べさせても大丈夫」という意見、また「アボカドを犬に食べさせて中毒症状が出たとしてもごく軽微なものだから、それほど神経質にならなくていい」という意見など。
専門家の間でも、実に多彩な見解があります。
また、アメリカのドッグフードには、アボカドを原料に使っているものも。
しかも、そのフードは、かなり人気が高い商品で日本でも販売されています。
とはいえ、現在の日本での風潮としては、「危険かもしれないものを犬に与えるのはNG」というもの。
また、アボカドはアレルギーのリスクも高い食材なので、犬が食べても大丈夫とは言い切れません。
今回の記事では、犬にアボカドを与えた場合の可能性について、深く掘り下げていきたいと思います。
犬に起こるアボカド中毒症状やアレルギー症状
それでは、犬に起こる「アボカド中毒症状」や「アレルギー症状」の原因や状態について詳しくみていきましょう。
アボカドの中毒成分とされる「ペルシン」
アボカドの中毒成分とされているのが「ペルシン」と呼ばれる殺菌成分です。
このペルシンを鳥が摂取した場合は24時間以内に死亡し、牛や山羊(やぎ)の場合は24時間以内に乳房炎になることが報告されています。
犬の場合は、胃腸炎などの比較的軽微な症状でおさまることが多いようですが、心筋障害を起こしたという例も。
ペルシンは、アボカドの果肉よりは、皮や種に多く含まれます。
果肉ではなく皮や種を食べてしまった場合は、より危ないと考えましょう。
また、アボカドにはいくつか品種がありますが、特にグアテマラ種とメキシコ種にペルシンは多く含まれます。
スーパーで販売されているのは、ほぼこの2種なので、注意しなければなりません。
ちなみに、アボカド摂取による胃のむかつきなどの症状の原因は、ペルシンだけでなく、アボカドに含まれる豊富な脂肪分が原因と考える専門家もいます。
アボカドは「森のバター」という異名を持つほど、脂肪分が豊富な果物です。
アレルギーを起こす場合もあり
上記のペルシンの中毒症状とは別に、アレルギーを起こす場合もあります。
その際に原因となるのが、アボカドに含まれるタンパク質です。
アボカドのタンパク質はラテックス構造といって、ゴムのタンパク質とよく似た構造をしています。
そのため、アボカドによって引き起こされたアレルギーのことを、ラテックス・フルーツ症候群と呼ぶこともあります。
症状としてはかゆみや、じんましん、下痢、嘔吐、さらにひどくなると喘息発作やアナフィラキシーショックに陥ってしまうことも。
犬がアボカドを食べてしまった時の致死量は?
それでは、犬がアボカドを食べてしまった場合、致死量はいったいどれぐらいなのかが気になりますよね。
現状では、アボカドを食べてしまった時の致死量は不明です。
犬に大量のアボカドを与えたという実例がなく、またアボカドの種類によって含まれるペルシンの量も違ってくるため、致死量がどのぐらいかというのは分かりません。
また、前述したように、犬がアボカドを食べてしまったとしても、腹痛や胃部不快感など軽微な症状でおさまることが多いので、アボカドをかじったぐらいでは死に至るということは考えにくいでしょう。
犬がアボカドを食べてしまった時の対処法
もし、犬がアボカドを食べてしまった時は、下痢や嘔吐(おうと)などの体調の変化がないかよく観察しておきましょう。
心配なら、念のため動物病院へ連絡し、指示をあおぐといいでしょう。
ただし、アボカドの種を食べてしまった場合は、別です。
種にはペルシンが多く含まれているというのもありますが、それ以上に種の繊維質が腸管に詰まって腸閉塞を起こす可能性が心配です。
種を食べた場合は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
アボカドが含まれているドッグフード「アボダーム」は大丈夫?
アメリカのブリーダーズチョイス社によって製造されているドッグフード「アボダーム」。
アボダームは、アボカドの果肉を原材料にしていて、アボカドに含まれるビタミンやミネラルを摂取できる総合栄養食です。
特に、「美しい皮膚や被毛(ひもう)を維持したい」というユーザーに支持されているドッグフードで、全世界で30年以上にわたって販売実績があります。
アボダームに使われているアボカドは、ペルシン含有量の少ない品種であり、ペルシンの量も常にチェックされています。
30年以上にわたる歴史の中で、中毒事例は1件も報告されていないとのことです。
ブリーダーズチョイス社日本総代理店「株式会社Biペットランド」のHPの「よくあるご質問」のページにも、以下のように記載がありました。
Q:アボカドは与えてはいけないと聞いたのですが…。
A:アボカドには食用に適さない部分(皮、種、枝、葉など)や毒性を持った品種がありますので、生のアボカドは愛犬、愛猫には基本的に与えない方が良いでしょう。
弊社の製品に使用しておりますアボカドの部位は、安全な果肉部とオイルのみですので、ご安心ください。
補)米国製造元のホームページにも記載がございますとおり、アボ・ダームは約30年強販売し続けており、全世界で何百万頭の愛犬、愛猫に与えて参りましたが、アボカド中毒の報告は一度も確認されておりません。
出典:株式会社Biペットランド
つまり、アボダームを食べさせることによる中毒は、心配しなくてもいいということですね。
アボカドの良さを愛犬にもとお考えの飼い主さんは、生のアボカドを愛犬に与えるのではなく、フードをアボカド由来のものにチェンジしてみるといいでしょう。
中毒が心配なら犬には生のアボカドを与えないこと!
今回は、犬はアボカドを食べても大丈夫なのか、またアボカドの中毒症状がどんなものなのかを中心にお伝えしました。
犬がアボカドを食べることによって、どのような反応を起こすのかについては、まだまだ研究途上です。
ただ、アボカドに含まれるペルシンという物質が、鳥などの他の動物にとって中毒物質であるということは事実。
摂取量によっては犬にも、もしかしたらヒドイ中毒が起きるということも考えられます。
中毒が心配なら、犬には生のアボカドを与えないようにしましょう。
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