犬の夜泣きがひどい原因は?老犬・成犬・子犬のしつけや対策法
夜、突然「ワンワン!」という愛犬の大きな泣き声で起こされて、困っているという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
中には、夜中ずっと泣き続けるという夜泣き(夜鳴き)がひどい状態のワンちゃんもいるよう。
犬の夜泣きは、飼い主さん自身も眠れませんし、近所迷惑にもなることから、なるべく早くやめさせたいですよね。
そこで今回は、犬の夜泣きの原因について徹底解説します。
子犬・成犬・老犬と年齢のステージに応じて、夜泣きのしつけや対策についても確認していきますので、愛犬の夜泣きにお困りの飼い主さんはぜひ参考にしてください。
子犬の夜泣きがひどい場合
それではまず、子犬の夜泣きがひどい場合についてみていきましょう。
夜泣きの原因
子犬の場合、最も大きな原因は「分離不安」です。
例えば、今まで母犬のもとで過ごしていた子犬なら、急に一人で知らない場所に連れてこられ、不安になっていることでしょう。
子犬にとって頼りになるのは、飼い主さんだけですが、その飼い主さんが夜になると自分から離れて行ってしまうため、不安になって泣いているという状況です。
分離不安の場合、飼い主さんのそばにいるうちは泣かないという特徴があります。
次に考えられるのが、「要求吠え」。
これは分離不安から、端を発したものです。
子犬が飼い主さんと離れた不安から泣き出すたびに、飼い主さんが姿を見せて構うということを繰り返していると、「吠えれば思い通りになる」ことを学習してしまいます。
「一人になりたくない」という思いから、思いが叶うまでいつまでも「ワンワン」と泣くようになります。
あとは単純に、空腹であったり、トイレに行きたいという要求であったり、ストレスや運動不足であったりということが考えられます。
しつけや対策法
実は、犬の夜泣き対策は、子犬時代にするのがベストです。
逆を言えば、子犬時代にしつけしておかないと、成犬になってからはかなり苦労します。
どうにか子犬時代に夜泣きをおさえられるよう、頑張りましょう。
まず、「子犬が夜泣きするのは当たり前」ということを頭に入れておきましょう。
おそらく、どんな子犬でも夜泣きします。
つい心配になって様子を見に行って構ってしまうと、夜泣きは永遠に続きます。
ポイントは、泣いても無視し続けることです。
とはいえ、この夜泣き。
いつおさまるのか…は、犬によってかなり個体差があるので、分かりません。
1週間ほどでおさまる場合もあれば、半年続くという屈強な精神の持ち主のワンちゃんもいるよう。
その間ずっと泣かせ続けるのは、飼い主さんとしても辛いですよね。
そういう場合は、以下の対策を試してみてください。
・ラジオなどを一晩中、小さな音でかけておく。
・ケージに毛布をかけて、外の刺激から遮断する。
・ケージを落ち着く場所に移動させてみる。
・ケージから飼い主さんが見える場合は、ケージを飼い主さんが見えない位置へ移動させる。
ケージの中がガランと寂しい状態になっているより、ある程度、狭い空間になっていたほうが犬は安心します。
また、飼い主さんの臭いがするものを置くと、犬はかなり安心するようです。
ただ、ケージから飼い主さんが見えてしまうと、犬は要求吠えをおさえることができません。
できれば、別の部屋で飼い主さんは休むようにしましょう。
成犬の夜泣きがひどい場合
それでは次に、成犬の夜泣きがひどい場合の原因としつけ・対策法についてみていきましょう。
夜泣きの原因
成犬になってからの夜泣きも、ほぼ子犬時代と変わらない理由であることが多いようです。
分離不安・要求吠えが改善されずにそのまま成犬になっている場合は、子犬時代よりも夜泣きがひどくなっていることも…。
また、空腹や運動不足、ストレスも夜泣きの原因となります。
成犬になってからの特有の夜泣きとしてあげられるのが、発情期のストレスです。
これは、特に去勢していないオスの場合に見られる症状。
ヒート中のメスのフェロモンに反応して発情し、メスに会いたいがために泣き続けるということです。
自宅でメス犬を飼っていない場合でも、メスのフェロモンは半径2km圏内に届くため、油断できません。
発情期にメスと交尾できないストレスは相当なもの。
夜泣きだけでおさまればいいのですが、中には家から脱走してメス犬に会いに行こうとし、行方不明になってしまうオス犬もいます。
外飼いしている場合は、鎖を引きちぎって脱走を試みるという例もあるので、家の中に入れ、絶対に外に出さないようにしましょう。
しつけや対策法
原因が分離不安や要求吠えの場合は、子犬でも行う対策を根気強く続けましょう。
また、成犬になると子犬時代の運動量では、とても足りていないことが多いようです。
あまりに夜泣きがひどい場合は、普段の運動量を見直してみましょう。
昼間充分に遊べていない場合、夜中に体力が有り余っていて眠れないということがあります。
ストレスが原因の場合は、昼間にできるだけ関わる時間を作ってあげましょう。
一緒に家の中で遊ぶ時間を増やすだけでも、夜泣きが改善されることがあります。
空腹が原因の場合は、食事量を増やすという手段もありますが、適正量を超えてしまうと肥満が気になります。
その場合は、夕方の食事時間を1時間ほど遅くするなどの対処法をまず試してみてください。
そして、成犬の夜泣きで最もやっかいな発情期が原因の場合は、繁殖させるという目的がないなら、去勢手術を考えたほうがいいかもしれません。
去勢手術をすることで、必ずしも「夜泣きがすぐおさまる」というわけではありませんが、改善は期待できます。
また、去勢手術をすることで、未然に病気を防ぐという効果もあります。
発情期の夜泣きにお困りなら、ぜひ去勢手術を検討してみてください。
老犬の夜泣きがひどい場合
次に、老犬の夜泣きがひどい場合の原因としつけ・対策法についてみていきましょう。
夜泣きの原因
老犬の場合、
- 痴ほうによる夜泣き
- 関節の痛みによる夜泣き
- 体の衰えに対する不安から来る夜泣き
の3点が考えられます。
まず、痴ほうによる夜泣きは、体内時計が狂い、昼と夜が逆転してしまうことによって起こります。
つまり、夜なのに昼だと思って泣いているのです。
昼間寝続けて、夜起きているという状態になったら、痴ほうかもしれません。
痴ほうは他に、真っすぐに歩けず色んな所に体をぶつけるようになったり、ぐるぐると同じところを周回したり、という行動がみられることもあります。
次に関節による痛みからくる夜泣きです。
犬も人間と同じように、年を取ると関節の痛みが出てきます。
歩きづらそうな仕草を見せるようになったら、関節痛を疑いましょう。
また、目が見えにくくなったり、嗅覚(きゅうかく)が弱まったりと、その他の体の部位の衰えも目立ってくるのが高齢の犬の特徴です。
今まで「できていた」ことが「できなくなる」不安は計り知れません。
不安による夜泣きは、ある程度仕方ないものと考えましょう。
しつけや対策法
老犬の夜泣きは加齢によるものなので、ある程度、許容してあげる必要がありますが、放置しておくのも良くありません。
老犬ができるだけ快適に過ごせるよう、飼い主さんはサポートしてあげましょう。
まず、痴ほうによる夜泣きかなと思ったら、昼夜逆転生活を元に戻すようにしましょう。
昼間にずっと寝ているということがないよう、散歩に行ったり、家の中で遊んだりします。
散歩に行けない子でも庭や窓の近くに連れていき、日光を浴びるよう促すと、体内時計が正しく働くようになります。
関節の痛みで苦労している子は、犬専用のサプリメントを使ったり、関節ケア成分を配合したフードに変えてあげたりするといいでしょう。
動物病院等で関節ケアの相談も行っているので、獣医師に方法を尋ねるのもおすすめです。
他部位の衰えによる不安からくる夜泣きには、寄り添ってあげましょう。
子犬や成犬時代は、夜泣きしても絶対に「相手をしない」「反応しない」というのが鉄則でしたが、老犬にこの方法は当てはまりません。
犬が安心するようなら、一緒の布団で眠ってあげるのもいいでしょう。
犬の夜泣きに病気の可能性はある?
今まで夜泣きしていなかった犬が、突然激しく夜泣きを始めた場合には、病気やケガなどの可能性もあります。
病気やケガで、どこか体に痛いところがあって、辛くて泣いているというわけです。
また、もしかしたら、首や脚などにタオルなどが絡まって苦しいという緊急の物理的要因かもしれません。
あまり夜泣きしなかった子が突然泣き始めた時は、「要求泣き」ということはあまり考えにくいため、すぐに様子を見に行きましょう。
そして、何か異常を発見した場合は、動物病院で診てもらいましょう。
子犬・成犬・老犬によってそれぞれ違う夜泣きの原因を見極め、適切な対策を
今回は、犬の夜泣きについて特集しました。
犬の夜泣きの原因は、子犬・成犬・老犬それぞれのステージによって異なることが分かりましたね。
子犬や成犬時代には、夜泣きしないようしつけや対策が重要です。
対して老犬時代には、夜泣きに寄り添う姿勢が大切。
それぞれのステージに応じたしつけや対策で、少しでもひどい夜泣きを改善できるようにしましょう。