犬はナッツを食べられる?大丈夫なナッツと中毒の危険性があるナッツ
「ナッツ中毒」という言葉を聞いたことがある方は、多いと思います。
犬にナッツを食べさせると中毒を起こす、というものですね。
でも、ナッツは私たち人間にとって、とても身近な食べ物。
つい与えてしまったり、落としたナッツを拾い食いしたり、という事態に陥ってしまう飼い主さんは多いようです。
「愛犬がナッツを食べてしまった!」
緊急事態に大慌てをして動物病院に駆け込む方もいらっしゃるようですが、ナッツすべてに中毒が起こるわけではありません。
今回は、犬が食べられるナッツと中毒を起こしてしまうナッツについて特集します。
また、ナッツで中毒を起こすと、一体どんな症状が出るのかも確認していきましょう。
犬はナッツを食べても大丈夫?
それでは、犬がナッツを食べても大丈夫なのかを確認していきましょう。
マカダミアナッツ以外のナッツなら、中毒性は無し
犬がナッツを食べて中毒を起こすのは、現在のところマカダミアナッツのみ。
その他のナッツを食べて中毒を起こしたという事例は、報告されていません。
そのため、その他のナッツ類を愛犬が誤って食べたからといって、中毒を心配して動物病院へ駆け込む必要はありません。
ナッツ類で腸閉そくの可能性あり
ただし、ナッツ類は食物繊維がとても多く、硬いという特徴があります。
そのため、犬がナッツを丸飲みしてしまった場合は、喉や消化器官に詰まってしまう可能性も…。
犬がナッツを食べて苦しそうな様子を見せるようなら、迷わず動物病院を受診してください。
ナッツ類を積極的に食べさせるのは×!
また、ナッツが犬にとって良い食材なのか…というと、それは違います。
前述したように、ナッツは犬が消化を苦手とする食物繊維が多く、硬いため、食べる過程で消化不良を起こす可能性が高いと言われています。
さらに、ナッツ類の多くには脂肪が多く含まれています。
太るだけでなく、脂肪を上手に消化できない場合は、嘔吐(おうと)や下痢に苦しむことに。
その他、ミネラルも多いため、尿路結石の原因となることも。
ナッツ類を積極的に犬に食べさせるのはダメです。
犬が食べると中毒症状が起こる可能性があるナッツ
犬が食べると中毒症状が起こる可能性があるナッツは「マカダミアナッツ」のみ。
では、マカダミアナッツを犬が食べると一体何が危険なのか、そしてどんな中毒症状が出るのかを確認しておきましょう。
マカダミアナッツは危険
犬がマカダミアナッツを食べると中毒症状が出るため、危険と言われています。
ただし、マカダミアナッツの中の一体何が犬にとって中毒物質なのかは、はっきりと分かっていません。
原因は分かっていない状態ですが、とりあえず現段階では、「犬にマカダミアナッツを食べさせると、中毒症状が出る可能性がある」ということだけは分かっています。
マカダミアナッツの主な中毒症状
マカダミアナッツを犬に食べさせると、以下のような中毒症状が出る可能性があります。
- ぐったりと元気がなくなる
- 呼吸が浅くなる
- ふらふらする
- 意識が混濁する
- 嘔吐
- 下痢
- 腎不全
これらの症状は、マカダミアナッツを摂取後60分程度で起こることもありますが、平均すると6~12時間程度たってから発症することが多いそう。
発症まで、かなりタイムラグがあるので、一体何の中毒なのか気づきにくく、対処が遅れてしまうこともあるようです。
最悪の場合は死に至る可能性もあるため、くれぐれもマカダミアナッツを犬に食べさせないようにしましょう。
少量なら犬が食べられるナッツ
それでは、少量なら犬が食べても害がないと言われているナッツ類をご紹介します。
ただ、ここにあげているナッツ類も、あえて積極的に食べさせる必要はありません。
ピーナッツ
殻をとり、薄皮をむいた、味付けされていないピーナッツなら、犬に与えても大丈夫と言われています。
ピーナッツには、抗酸化作用の高いビタミンEが豊富に含まれています。
ただ、ピーナッツの約半分が脂質であり、食物繊維も豊富。
食べさせすぎると膵炎(すいえん)を起こす可能性もあるため、あまり積極的に食べさせるのはNGです。
カシューナッツ
カシューナッツの組成もピーナッツとよく似ていて、ビタミンEやオレイン酸が豊富に含まれています。
ただし、ピーナッツと異なるのは、生の状態だと中毒を起こす物質が含まれているということ。
カシューナッツを与える場合は、必ずローストしたものを。
また、カリウムも多いため、腎臓に難があるワンちゃんにはNGです。
ヘーゼルナッツ
ナッツ類の中で、最も安全と言われているヘーゼルナッツ。
ビタミンEやオレイン酸が豊富に含まれていて、抗酸化作用に期待大です。
ただし、ヘーゼルナッツはナッツ類の中でもかなり大きいため、犬が丸飲みしてしまわないよう注意が必要。
必ず、細かく砕いたものを与えるようにしましょう。
くるみ
くるみも少量なら、犬が食べても大丈夫です。
くるみも、他のナッツ類のように脂肪を多く含みますが、脂肪といっても体に良いと言われているオメガ3脂肪酸を多く含んでいます。
オメガ3脂肪酸は、日常の食事ではなかなか摂取し辛い栄養素であり、脳の働きを良くしたり、血液をサラサラにしたりする効果があります。
ただ、古いくるみにはカビが含まれるそう。
カビ毒による中毒も考えられますので、新鮮なものを与えるようにしましょう。
アーモンド
アーモンドも少量なら、食べても大丈夫と言われています。
ただし、アーモンドはナッツ類の中でも犬が消化し辛いため、与えるにしてもごく少量にとどめるべきでしょう。
アーモンドの中にも、不飽和脂肪酸であるオレイン酸やビタミンEが含まれていて、被毛や皮膚を美しく保つ効果が期待できます。
愛犬がナッツを食べてしまった時の対処法
最後に、愛犬がナッツを食べてしまった時の対処法をお伝えします。
マカダミアナッツを食べた場合
ナッツ類の中でも中毒物質を含むマカダミアナッツを食べてしまった場合は、少量でもとりあえず動物病院へ連絡しておきましょう。
その際に、
- 食べた量
- 食べた時間
- 現在の症状
- 年齢や病歴、体重など
を伝えておきます。
動物病院の指示をあおいで、受診するかしないか決めましょう。
マカダミアナッツを食べた後、何らかの症状が出ているようなら、早急に動物病院を受診します。
マカダミアナッツの致死量は、体重1kgあたり2.2gと言われていますが、個体差がかなり大きいそう…。
「少量だから大丈夫」とは言えないので、気を付けてください。
その他のナッツ類を食べて、何らかの身体症状が出ている場合
マカダミアナッツ以外のナッツ類を食べて、何らかの身体症状が出ている場合も、すぐに動物病院を受診したほうがいいでしょう。
動物病院を受診した方がいい身体症状は、以下のような内容です。
- 嘔吐や下痢
- お腹を痛がる様子がある
- 便が出なくなった
- 元気がなくなった
- 意識消失
- 痙攣(けいれん)
特に、腸閉そくを起こしている場合は、緊急性があります。
外科的手術によって、詰まっているナッツを取り除かなければ、命が危ない場合もあります。
まとめ:ナッツ中毒=マカダミアナッツのみ
今回は、「愛犬が、間違ってナッツを食べてしまった」と慌てている飼い主さんのために、犬が食べられるナッツと中毒を起こすナッツの違いについて特集しました。
犬がナッツ中毒を起こすのは、マカダミアナッツのみ。
ただし、他のナッツでも丸飲みすれば腸閉そくを起こしたり、食べ過ぎれば嘔吐や下痢に苦しんだりする可能性があります。
犬がナッツを食べたときは、その後の体調の変化に十分気を付けてあげましょう。