犬にチョコレートがダメって嘘?デマ?少量を舐めても中毒症状に!?
「犬にチョコレートを食べさせてはダメ」という情報。
犬を飼っている方なら、動物病院などで獣医師からも聞いたことがあるはずです。
でも、ネットを検索してみると…
「チョコレートを犬に食べさせても、中毒症状なんて起きなかった」
「犬にチョコがダメっていうのは、儲けたい獣医師の陰謀だ」
など、「犬にチョコレートがダメというのはデマ」という情報も…。
飼い主さんとしては一体どちらが本当なのか、迷ってしまいますよね。
そこで今回は、犬にチョコレートがダメという情報が嘘なのかホントなのか、徹底検証します。
- 犬にチョコレートを食べさせた場合の具体的な症状
- 犬にチョコレートがダメな理由
- 犬のチョコレートによる致死量
など、わかりやすく解説しますよ。
犬にチョコレートがダメって嘘?デマ?
ネットを検索してみると「犬にチョコレートを食べさせても大丈夫だった」「犬にチョコレートがダメなんてデマ」という情報があふれています。
これらの情報を鵜呑(うの)みにしないでください!
犬にとってチョコレートが中毒物質になるというのは、本当のことです。
チョコレートに含まれるデオブロミンという成分が、中毒物質となります。
では、なぜネット上には「犬にチョコレートを食べさせても、大丈夫だった」という情報が、掲載されているのでしょうか?
それは、その犬が中毒を起こすほどの量のチョコレートを食べていないからです。
どのぐらいの量のチョコレートを食べると中毒が起きるのかについては、個体差があると言われています。
つまり、チョコレートを食べて中毒を起こしてしまう子もいれば、起こさない子もいるというわけです。
ただ、変わらないのは、どんな犬でも、その犬のデオブロミン許容量を超えれば、必ず中毒を起こすということ。
ネット上で「犬にチョコレートを与えても大丈夫だった」という書き込みを見て、愛犬に試すのはやめてくださいね。
なぜ?犬がチョコレートを食べたら危険な理由
犬がチョコレートを食べたら危険な理由は、チョコレートにデオブロミンという中毒物質が含まれているからです。
デオブロミンには、大脳を興奮させる作用があります。
また、呼吸機能にも大いに作用することが知られています。
人間の場合、デオブロミンを摂取しても、分解していきます。
犬もデオブロミンを分解する力を持ってはいますが、その能力は人間の半分かそれ以下。
そのため、犬は長く強くデオブロミンによる影響を受けることになります。
そのため、犬がデオブロミンを摂取すると、中毒反応として様々な症状が体に出ることに…。
犬がチョコレートを食べるとどんな症状に?
それでは、犬がチョコレートを食べると、具体的にどんな症状に苦しむことになるのでしょうか?
まず代表的な中毒症状としてあげられるのは、嘔吐(おうと)や下痢です。
犬はデオブロミンを分解する力が弱いため、体からデオブロミンを強制排除する方法として「嘔吐」「下痢」が起こるというわけです。
さらに、デオブロミンの中毒症状が進むと、呼吸系統や大脳に影響を与えます。
ふらふらとした足取りになったり、興奮状態に陥ったり、呼吸や脈が早くなったりすることも。
そして、心臓の鼓動が激しくなり、痙攣(けいれん)を起こし、昏睡(こんすい)状態に陥ると、最悪の場合、死を覚悟しないといけない場合も…。
犬がチョコレートを食べてから中毒症状が出るまでの時間
犬がチョコレートを食べたことによって起こる中毒症状はかなり深刻なものですが、そうなるまでに一体どのぐらいの時間がかかるのでしょうか?
まず、犬がチョコレートを食べてから中毒症状が出るまでには、だいたい1~4時間程度かかることが多いようです。
ただし、それはその時間内に中毒症状がおさまるというわけではありません。
デオブロミンは、なんとその後72時間もの間、犬に中毒症状を起こし続ける可能性があるそう。
特に気を付けなければいけない時間帯は、チョコレートを食べてから、6~24時間と言われています。
チョコレートによって中毒死してしまう場合、その時間帯が最も多いそう。
少量でもダメ?犬がチョコレートを食べた時の致死量
デオブロミンの許容量は、犬によって個体差があるということはすでにお伝えしましたが、犬がどのぐらいの量のデオブロミンを摂取すると危険なのか、という一応の目安量は存在します。
犬の体重1kgにつき、100mg前後のデオブロミンを摂取すると、中毒が発生するとされます。
ただ、これはあくまで目安。
犬によって個体差がありますので、デオブロミンに対して感受性が高い犬は、この半分の量でも中毒症状が出る場合もあります。
また、チョコレートに含まれるデオブロミン量は、カカオの濃度によって違います。
一般的なチョコレートのデオブロミン量を下記に記載しておきますので、参考にしてください。
- ホワイトチョコレート ほぼ0mg
- ミルクチョコレート(1枚)150~180mg
- ビターチョコレート(1枚)450~600mg
- ブラックチョコレート(1枚)1000~1200mg
- 製菓用無糖チョコレート50g 650mg
- 無糖ココアパウダー(大さじ1)142mg
デオブロミンは「高カカオ」チョコレートにより多く含まれています。
例えば、体重5kgの小型犬が、チョコレートを1枚食べたとします。
体重5kgの一般的なデオブロミン致死量は、500mgのため、ホワイトチョコレートとミルクチョコレートならセーフとなりますが、ビターチョコレートやブラックチョコレート、製菓用無糖チョコレートはアウトとなります。
もちろん、デオブロミンの感受性に関しては個体差があるため、ミルクチョコレート1枚でもアウトの場合もありますので注意が必要です。
愛犬がチョコレートを食べてしまった時の対処法
それでは、愛犬がチョコレートを食べてしまった場合、具体的にどのように対処すればいいのでしょうか?
口の中に残っているチョコをかき出す
まず飼い主さんが一番にやるべきことは、愛犬の口の中にチョコが残っているようなら、それをかき出すことです。
ただ、チョコは熱で溶けやすいため、気づいたときにはもう口の中には何もないということも考えられます。
その時、食塩水やオキシドールなどを飲ませて、無理に吐かせるような処置をするのはやめてください。
素人の催吐(さいと)処置はとても危険です。
無理に吐かせようとすることで、気管等に嘔吐物が詰まったり、逆に中毒を促進してしまったりします。
なるべく早く動物病院へ!
デオブロミン中毒の一番の治療法は、摂取後2時間以内に嘔吐させること。
とにかく、胃の中にあるデオブロミンを致死量以下にまで下げることができれば、中毒が起こる可能性も低くなります。
そのため、愛犬がチョコレートを食べたことが分かったなら、なるべく早く動物病院へ連れていくことが大切。
その際に持参するのは、チョコレートのパッケージ。
どんな種類のチョコレートをどのぐらい食べたのかがわかれば、デオブロミンがどのぐらい体内に入ったのか換算できるからです。
ちなみに、催吐処置でうまくいかない場合は、胃洗浄などさらに高度な医療技術を用いた処置へと移ります。
血液検査や薬の投与、点滴なども行いますが、デオブロミン中毒に対する特効薬は存在しないため、いずれも対症療法となります。
愛犬がチョコレートを間違って食べないようにする対策
最後に、愛犬がチョコレートを間違って食べないようにする対策について、考えておきましょう。
まず、最も大切なのは、愛犬が手の届くところにチョコレートを置かないということです。
そして、できれば「犬が中毒を起こすものを犬の近くに置かない」のではなく、「人間が口にする食べ物すべてを犬の手の届くところに置かない」というルールを徹底しましょう。
チョコレートだけでなく、チョコレートが入ったパンやアイス、ココア、マテ茶、コーラ、コーヒーなどもデオブロミンを含みます。
犬にとっての中毒物質は、人間がふつうに食べられる食材の中に意外と多くあります。
これらをすべて把握するのは、なかなか難しいですよね。
普段から、犬に人間の食べ物を口にする機会を与えないようにしておけば、「知らない間に中毒を起こしていた」という事故を防げます。
また、どうしてもテーブルの上に手が届いてしまうという環境の場合は、せめて留守番の間だけでもケージ内で待たせるようにしましょう。
そうすることで、飼い主さんの目の届かないところで中毒物質を口にしてしまうというリスクを減らせます。
まとめ:犬がチョコレートを食べて中毒を起こすのはホント!
今回は、犬がチョコレートを食べて中毒を起こすのが嘘なのか、それともホントなのかということを検証しました。
もちろん、犬がチョコレートによって中毒を起こすのはデマではなく、ホントのことです!
チョコレート中毒になる理由は、デオブロミンという中毒物質が原因。
チョコレート中毒の症状は、嘔吐や下痢、呼吸困難、痙攣などを経て、最悪の場合は死に至ることもある恐ろしいもの。
愛犬に苦しい思いをさせないよう、絶対に犬にチョコレートを与えないようにしましょう!
愛犬を守るために、食べたら危険な野菜もチェック!