犬にポカリを与えても大丈夫?犬用スポーツドリンクの作り方を紹介
熱中症対策といえば、ポカリスエットやアクエリアスといったスポーツドリンク!
暑さには弱い犬種が多く、下手をすると一瞬で命を奪われることも…。
犬の熱中症対策はとても重要ですが、果たして犬にポカリやアクエリを与えてもいいのでしょうか?
今回は、
- 犬にポカリやアクエリなどの人間用スポーツドリンクを飲ませても大丈夫?
- 犬用のスポーツドリンクがあるってホント!?
- 犬用にスポーツドリンクを手作りするには?
など、犬のためのスポーツドリンクを特集します。
犬の熱中症対策としてスポーツドリンクは効果あるの?
まず、犬の熱中症対策にスポーツドリンクが必要なのか、また熱中症以外の場面でスポーツドリンクが犬に役立つことがあるのかを確認しておきましょう。
犬の熱中症対策にスポーツドリンクは必要なし!
「犬の熱中症対策として」スポーツドリンクを犬に与える必要はありません。
人間の場合は、暑さによって大量に汗をかき、ナトリウムなどを失います。
しかし、犬は暑いとき、汗をかくことで体温を下げるのではなく、ハァハァと浅く呼吸をするパンティングによって体温を下げます。
つまり、犬は暑いからといって、人間ほどナトリウム等の電解質を失うことはないということです。
そのため、犬の熱中症対策にスポーツドリンクを与えても、あまり意味がありません。
犬の熱中症対策として適切なのは、エアコンによる室温の管理と水分補給のみ。
水分は、普段与えている水で大丈夫です。
スポーツドリンクを水と同じ量与えてしまうと、塩分や糖分などを大量に摂取することになり、犬にとっては危険。
「熱中症になったらいけないから」とスポーツドリンクを飲ませるのは、やめましょう。
「食欲がなく、何も食べない」「下痢や嘔吐時」にはスポーツドリンクが応急処置に
では、犬にはスポーツドリンクは全く必要ないのかというと、そうではありません。
例えば、食欲が全くなく、何も口にしないという時には、とりあえずスポーツドリンクを飲ませて命をつなぐという場合もあります。
また、下痢や嘔吐(おうと)で体が何も受け付けない時も、犬の体液に近いスポーツドリンクなら、有効に働いてくれることでしょう。
ただし、いずれもあくまで「応急処置」です。
犬の体調が悪くなった時に、いつでも動物病院が開いているというわけではありませんよね。
そういう場合に、動物病院受診までのつなぎとして、スポーツドリンクに頼るというのもアリということです。
もちろん「熱中症になってしまった」という場合も、体を冷やすなどの適切な処置をしたうえで、水分を受け付けないようなら、犬用に調整されたスポーツドリンクを飲ませてもいいでしょう。
その後は、できればすぐに動物病院を受診してくださいね。
かかりつけ動物病院が開いていない場合は、救急の動物病院を受診しましょう。
犬にスポーツドリンクを与える時の注意点
それでは、犬にスポーツドリンクを与える時の注意点をあげておきます。
水で薄める
できれば犬用スポーツドリンクを自宅に1本は常備しておいてほしいところですが、どうしてもない場合には、ポカリスエットやアクエリアス等のスポーツドリンクを3~4倍に水で薄めて使用してもいいと言われています。
そのまま与えると、塩分や糖分、甘味料や添加物等の摂取しすぎによって、障害が起こりますので注意が必要です。
冷やしすぎない
犬にスポーツドリンクを与える場合、冷蔵庫で冷やしたものをそのまま与えないようにしましょう。
冷たすぎる飲み物だと、下痢を起こす可能性があります。
できれば、常温のものが理想的ですが、急いでいるときは、冷蔵庫から出したスポーツドリンクに常温の水を加えることで、温度を調整しましょう。
糖分の過剰摂取に注意
人間用のスポーツドリンクは、味を良くするため、かなり糖分が含まれています。
犬にとって人間用のスポーツドリンクはかなり甘く、糖分の摂りすぎになる可能性が高いでしょう。
糖分過多になると、犬は確実に太ります。
肥満になると、心臓病やそのほかの内蔵疾患などのリスクがぐっと上がり、犬の命を脅かします。糖分量には気を付けましょう。
塩分の過剰摂取に注意
人間用のスポーツドリンクの塩分量は、犬にとっては多すぎます。
そもそも、きちんと食べられている犬には、スポーツドリンクを与えることはないと思いますが、食事を摂れていない犬でもスポーツドリンクに含まれる塩分量は多すぎ。
塩分の過剰摂取になると、塩中毒を起こしたり、腎臓や心臓に負担がかかったりします。
体に良くない添加物や成分は避ける
人間用のスポーツドリンクで恐ろしいのは、犬に有害な添加物や成分が含まれているかもしれないということ。
例えば、とあるスポーツドリンクには、犬にとって有害なぶどうやオレンジピール、キシリトール(甘味料)が使われています。
ぶどうもキシリトールも犬を重篤な中毒状態に陥れる可能性があり、またオレンジピールにもソラレンと呼ばれる紫外線吸収物質が含まれており、犬には有害です。
またもちろん、香料や保存料、人口着色料なども摂取させない方がいいに決まっていますが、犬にスポーツドリンクを与えるのは「緊急時のみ」ということを考えると、そこまで神経質になる必要はないか…と思います。
スポーツドリンクの添加物をチェックする際には、「キシリトール」「ぶどう」「オレンジやレモンのピール(ソラレン含む)」など、犬が中毒を起こす可能性がある物質が含まれていないかに注目してください。
腎不全などの疾病がある犬には?
腎不全などの疾病がある犬には、スポーツドリンクの中の塩分が命とりになる可能性があるため、安易に与えないほうがいいでしょう。
何らかの疾病がある場合、熱中症時や食欲がないときの対策をあらかじめ獣医師に確認しておくといいですよ。
また、かかりつけ医が休みの場合を想定し、救急病院をチェックしておくことをおすすめします。
愛犬が深夜に体調を崩しても、すぐに運び込める動物病院を探しておくと、安心ですよ。
犬にポカリスエットやアクエリアスを与えても大丈夫?
犬に人間用のスポーツドリンクを与えるには、
- 3~4倍に薄めて使用すること
- 常温で与えること
- 「どうしても」という緊急時以外には使用しないこと
- 疾病がある犬には避けること
を確認してきました。
でも、人間用のスポーツドリンクも様々な種類がありますよね。
具体的にどのメーカーのどの商品なら、犬にも一時的に与えることができるのかを確認しておきましょう。
まず、ポカリスエットの組成で気になるのは、「果汁」ですが、これはグレープフルーツがメインでしかも全体の5%に満たない配合量とのこと。
少量を薄めて飲ませる分には問題ないでしょう。
ちなみに、他にもいろいろと添加物は含まれます。
決して常用はさせないように。
次にアクエリアスの組成では、果汁は一切含まれません。
甘味料にはスクラロースが使われていますが、スクラロースはキシリトールとは違い、現在のところ、犬に対して中毒性があるという報告はありません。
アクエリアスもポカリ同様、添加物はいろいろと含まれますので常用はダメです。
ただ、ポカリとアクエリは、人間用スポーツドリンクの中では比較的安全。
緊急性がある時には、犬にも薄めて飲ませることができるので、自宅に常備するならポカリかアクエリと覚えておきましょう。
犬用ポカリ「ペットスエット」
犬にスポーツドリンクを飲ませる必要がある時におすすめなのは、犬用ポカリ「ペットスエット」です。
こちらは「犬用」として作られているため、犬の体液に近い電解質組成となっています。
食事を摂れなくなっている犬や、下痢・嘔吐を起こしている犬に、素早く必要な水分とミネラルを補給してくれます。
犬が好むヨーグルト風味になっているところもポイント。
ただし、こちらも常用するのはもちろんダメ。
成分をみると、人工甘味料や果糖ぶどう糖液糖、保存料、香料などが入っています。
長期常用すると、体に本当に必要なフードを食べなくなったり、添加物等による影響が出たりするかもしれません。
あくまで緊急用として常備しておくといいですよ。
手作りで安心!犬用スポーツドリンクの作り方
「添加物を犬に与えるのが心配」という場合は、犬用スポーツドリンクを手作りすることもできます。
【材料】
・水 1リットル
・はちみつ 大さじ1
・自然塩 小さじ1
【作り方】
常温の水にはちみつと自然塩を溶かすだけ。
「1リットルも必要ない」という場合は、少量で作っても。
【飲ませる量】
- 子犬には大さじ3程度(45cc)
- 体重3kgなら大さじ4~5(60~75cc)
- 体重5kgなら100~150cc
- 体重10kgなら200~230cc
程度を目安としてください。
【注意点】
冷蔵庫なら3日程度保管できますが、できれば1日程度で作り変えてください。
飲ませる時は常温に。
【まとめ】犬にポカリは緊急時のみ!熱中症対策にはならない!
今回は、犬に熱中症対策としてポカリを与えても大丈夫なのか?ということを確認しました。
犬と人間では、熱中症対策は大きく違います。
犬の熱中対策の基本は、涼しい部屋で過ごし、純粋な水を飲ませること。
スポーツドリンクを飲ませることは、決して熱中症対策にはなりません。
それでも「食欲がない」「嘔吐や下痢が続く」という緊急時には、スポーツドリンクも有効。
ただし、できるだけ犬用のものを用意してあげましょう。
ポカリしかない時は、3~4倍に薄めて、常温で。
絶対に与えすぎないよう、常用させないようにします。
体調がおかしいときは、まず動物病院に相談を!