犬が甘噛みをする理由とは?やめさせる方法やしつけ方
自宅にむかえたばかりの子犬の多くは、飼い主さんの手を甘噛みしてきます。
子犬の甘噛みは、とても可愛らしく感じますが、そのまま放置しておくと成犬になったときに噛みグセのある犬になってしまうことも。
そこで今回は、犬が甘噛みをする理由や、甘噛みをやめさせるしつけの方法まで詳しく解説します。
子犬の甘噛みにしっかりと向き合うことで、将来、人を噛まない犬に育てましょう!
犬の甘噛みとは?
犬の甘噛みとは、人や仲間の犬に対して本気で噛まず、軽く噛む行為のことを指します。
犬同士がじゃれあっている時に甘噛みをし合ったり、飼い主さんと遊んでいる時に飼い主さんの手を甘噛みしたりします。
犬の甘噛みは、特に子犬時代に多く見られます。
そもそも「噛む」という行為は犬にとって本能的なものなので、甘噛み自体は犬にとって正常な行動と言えます。
母犬や兄弟犬とのスキンシップの一環としても、甘噛みはみられます。
犬の甘噛みは放置すると本気噛みになることも
正常な子犬の多くにみられる甘噛みですが、じゃれ合いながら甘噛みしているときなどに興奮してくると、本気噛みになってしまうこともあります。
また、飼い主さんが甘噛みを「可愛いから」と放置してしまうと、犬は「何でも噛んでもいい」と誤解してしまい、成犬になった時に様々なものや人を力いっぱい噛むようになることも。
成犬になっても人やものを噛む行動がおさまらないと、他人や他の犬とトラブルを起こしかねません。
できれば子犬のうちに、甘噛みしていいものと悪いものの区別をつけさせたり、噛む時の力加減を学んだりすることが大切です。
犬が甘噛みをする理由や意味
それでは、犬が甘噛みをする理由や意味について考えていきましょう。
単純に噛むことが楽しいから
まず、犬は「噛みたい」という欲求を本能として持っています。
特に子犬時代は、噛むという行為自体が楽しくて仕方ない場合が多く、噛むことは遊びの一環に。
ひらひらと動くものや素早く動くもの、また生まれて初めて目にするものに対する好奇心が強く、「とりあえず噛んで確かめよう」という気持ちで甘噛みします。
興奮してくると、より強く噛むようになります。
人間に構ってほしいから
犬は飼い主さんのことが大好きです。
体力のある若いうちは特に、飼い主さんと遊んでストレスを発散させたいはずなので、「構って構って~!」とばかりに甘噛みしてくることも。
つまり人間に対して何らかの「要求」をしているということです。
この要求に応えてしまうと、いつまでたっても甘噛みのクセは治りません。
歯がかゆいから
子犬の歯が生えてくるのは生後1ヵ月ごろです。
そして、乳歯から永久歯に生え変わるのは、生後6ヵ月ごろ。
この時期になると、歯ぐきのかゆみを噛むことで解消しようと甘噛みがヒドくなると言われています。
ちなみに、歯の生え変わり時期でもないのに急に甘噛みするようになったという成犬の場合は、何らかの歯茎のトラブルも考えられます。
子犬はいつまで甘噛みをするもの?
甘噛みは子犬時期にみられる行為とされますが、一体いつまで続くのか気になっている飼い主さんも多いと思います。
歯の生え変わり時期特有の歯茎のかゆみから甘噛みがヒドくなっている場合は、歯が生えそろう生後6ヵ月ごろに落ち着きます。
しかし、いったん甘噛みのクセがつくと、そうそう簡単に治るものではありません。
犬は噛むことでストレスを発散し、落ち着いた精神状態になります。
そのため、生後6ヵ月以降もまだまだ甘噛みは続くと考えたほうがいいでしょう。
愛犬に甘噛みされた時の飼い主のNG行動
愛犬に甘噛みをされた時に、飼い主さんが間違った行動をとることによって、甘噛みがどんどんエスカレートしたり、また信頼関係を失ったりすることがあります。
確認してみましょう。
甘噛みを誘発する行為
まずは、甘噛みを誘発する行為からご紹介します。
犬は、ひらひらと動くものや、素早く動くものに噛みつく習性があります。
ゆえに、飼い主さんが手をひらひらとさせてワンちゃんと遊んだりすると、ワンちゃんは手に噛みついてしまいます。
スカートなど、ひらひらする服装もNGです。
また、犬は口の周りを触られるのを嫌がります。
甘噛み時期に口周りをしつこく触るなどの行為は避けましょう。
犬を興奮させる行為
犬に甘噛みされた時、びっくりして咄嗟(とっさ)に手を引いてしまうこともNGです。
素早く動いた手に犬は興奮してしまい、ますますしつこく手を追いかけるようになります。
また、犬に甘噛みされて高い声で「痛い!」と叫ぶ行為も×。
飼い主さんが高い声で反応したことで犬は「飼い主さんが喜んでくれている」と勘違いし、ますます甘噛みするようになります。
体罰
犬の噛むという行為に対して、暴力で抑え込むというのは得策ではありません。
例えば、犬を叩いたり、地面におさえつけたり、口を抑えるという行為は止めましょう。
体罰を受けた瞬間、犬は飼い主さんに対して攻撃的な気持ちにチェンジしてしまいます。
実は、犬は甘噛みをしている時、飼い主さんに対して攻撃的な気持ちは全く持っていません。
それが体罰を受けた途端、「飼い主さん=攻撃対象」に。
体罰は、甘噛みを悪化させるだけなので、決して行ってはいけません。
犬の甘噛みをやめさせる方法やしつけ方
それでは最後に、犬の甘噛みをやめさせる方法やしつけ方についてみていきましょう。
ストレス解消が先決!おもちゃで充分に遊んであげる
犬が甘噛みするのは、「遊び」の一環であることが多いため、充分に犬と遊んでストレスを解消してあげることが大切です。
遊ぶ時に注意してほしいのは、「飼い主さんの手で遊ばないこと」。
必ず「おもちゃ」を介して遊ぶようにしてください。
飼い主さんの手で遊ぶと、飼い主さんの手を噛むクセは治りません。
おもちゃのおすすめは、ひっぱり合いできる“ひも状のおもちゃ”。
アクティブに遊べますし、ひもを噛むことで犬はストレスを解消できます。
充分に遊ぶ時間が取れない時は、コングなど犬が一人で噛みながら遊べるおもちゃを与えるといいでしょう。
コングの中に美味しいオヤツを入れておくと、長く遊んでくれますよ。
おもちゃは犬専用のものを用意&甘噛み防止スプレーで対応
おもちゃは、犬専用のものを用意してください。
例えば、使い古したタオルや古いスリッパなどを犬用のおもちゃとして使う方もいますが、こうすると犬は「タオルは噛んでいいモノ」「スリッパは噛んでいいモノ」と学習してしまい、家中のタオルやスリッパを噛むようになってしまいます。
「犬用のおもちゃと生活用品とは違う」ということも教える必要があります。
甘噛みしてほしくない生活用品や家具に、噛み癖防止スプレーを吹き付けておくことも有効です。
噛み癖防止スプレーとは、なめると犬が嫌いな苦みを感じるというもの。
犬の体に害のない成分なので、安心して使えます。
遊びの最中に手に歯が当たった場合は?
遊んでいる最中に、犬の歯が飼い主さんの手に当たった場合は、すぐに遊びを中断してください。
遊びを中断することで犬は「あれ?僕、ダメなことしたのかな?」と「噛む」という行為がNGであることを学んでいきます。
「待て」「おすわり」などのコマンドを出して、言うことを聞けるようなら再び遊びを開始します。
犬の催促に乗って、遊びを開始するということがないように気を付けましょう。
遊びをやめても「ワンワン」と吠えて遊びを催促するようなら、いったん犬がいる部屋から退出します。
静かになったところで部屋に戻り、コマンドを出して再び遊びを開始しましょう。
【番外編】決まった行動の前に噛んでくる場合は?
甘噛みとは少し違いますが、甘噛みがさらにエスカレートして「嫌だ」という気持ちを表現するために、犬が噛むようになった場合のしつけの仕方も考えていきましょう。
例えば、「首輪をつける」「つめを切る」など決まった行動の前に噛むなら、おやつを有効活用するのがおすすめです。
ポイントは、犬が噛む前におやつをあげること。
噛んでからおやつをあげると「噛んだらおやつがもらえる」と勘違いしてしまいます。
「今から首輪をつけるぞ」という時に、犬にリードを見せながら「おすわり」「待て」とコマンドを出します。
言うことを聞けたら褒めておやつを与え、食べている隙(すき)に首輪をつけます。
これでも上手くいかない場合は、犬を高い台に上げておき、首輪をつけるという方法も。
犬は高い所が苦手なので、高い所にのぼると動きが止まります。
動きが止まったところで、おやつを使って首輪をつけましょう。
噛み癖のある犬にはまず「人を噛まない」という経験を積ませることが大切です。
犬の甘噛みは子犬段階でしっかりしつけを!
今回は、犬の甘噛みについて特集しました。
犬の甘噛みは「可愛いから」と放置しておくと大変なことになります。
まず、子犬段階でしっかりとしつけをして、飼い主の手を噛むことをやめさせることが大切です。
ただし無理やりにやめさせるというのではなく、犬の「遊びたい」「噛みたい」という気持ちを尊重しながらおこなう必要があります。
まずは「どうして甘噛みするのか」ということを一番に考え、犬の気持ちをくみとっていきましょう。
そうすることで、この先もずっと犬と良い信頼関係を築くことができますよ。